AIを使っていると、だんだんこんなことを思うようになります。「もう少し、自分のことを分かってくれたらいいのに。」例えば、同じ「ホームページを作りたい」という相談でも、人によって条件はまったく違います。一人でやっている人なのか、店舗があるのか、会社なのか、予算があるのか、Webが得意なのか苦手なのか、自分で更新したいのか、誰かに任せたいのか。ここが違えば、考えるべきことも変わります。AIに「正しい質問」をするだけではなく、「自分の前提」を伝える。これだけでも、AIとの会話はかなり変わってきます。
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AIに伝える「自分のこと」は、プロフィールだけではない
当たり前のことですが、AIはあなたの仕事を最初から知っているわけではありません。あなたの頭の中を読んでくれるわけではなく、「いつもの感じで」と言っても、その「いつもの感じ」がAIには分からないことがあります。例えば僕なら、「Webサイトを作る」と言っても、単純にページを作ることだけを考えているわけではありません。誰に伝えるのか、何を伝えるのか、何を伝えなくてもいいのか、その人が次に何をするのか、どう運用していくのか。そういうことまで含めて考えます。でも、これは僕の頭の中にある前提です。AIからすれば、何も言われていなければ知りません。AIに伝える「自分のこと」は、プロフィールだけではありません。どんな仕事をしているか、誰を相手にしているか、どんな商品・サービスがあるか、どんな経験があるか、何が得意なのか、何が苦手なのか、どんな考え方を大切にしているか、どんな表現が好きなのか、逆にどんな表現を使いたくないのか、仕事で何を優先するのか。こういうものも「自分の情報」です。そして、仕事をAIに手伝ってもらうなら、むしろこういう情報のほうが重要だったりします。ここで「事実」と「好み」は分けて伝えたほうがいい。「北海道旭川市でWebの仕事をしている」は事実。「こういう仕事が得意」は、経験から自分で判断していること。「派手な表現より、分かりやすく整理された表現が好き」は、好みや価値観です。この3つは似ているようで違う。分けておくと、AIとのやり取りでも、自分自身の整理にも役立ちます。
教えることは、自分を整理することでもある
ここが、僕が一番面白いと思っているところです。「AIに自分の仕事を説明してください」と言われたら、意外と難しいと思います。普段やっていることは、自分にとって当たり前だからです。でも、AIに伝えようとすると、「自分は何をしているんだろう?」「誰のためにやっているんだろう?」「何を大切にしているんだろう?」「逆に、何はやりたくないんだろう?」と考えることになります。AIに自分を教えるつもりが、自分が自分の仕事を理解し直すことになる。これは、AIを使うことの意外なメリットだと思います。プロフィールを作るだけでは足りないとも思っています。プロフィールは基本的に「外から見た自分」をまとめたものだからです。実際の仕事には、よくある相談、過去に失敗したこと、判断するときの基準、お客さんからよく聞かれること、仕事で困りやすいこと、自分がついやってしまうこと、過去にうまくいったやり方などがあります。こういう情報まで積み上がると、AIとの会話も、ただの一般論から少しずつ変わってきます。AIに文章を書いてもらうときも同じです。「パン屋さんの紹介文を書いて」だけでは、かなり一般的な文章になります。でも、店を始めた理由、人気の商品、実際のお客さん、店主が大切にしていること、実際にあった出来事といった材料を渡せば、文章の元になる情報が増えます。AIに「うまい文章」を作ってもらうより、「自分にしかない材料」を渡す。こちらのほうが、僕は重要だと思っています。AIに「考え方」を教えると、文章の方向も変わります。同じ商品について文章を書くとしても、「とにかく売れる文章にしたい」という人もいれば、「商品のことを正確に伝えたい」「押し売りっぽくしたくない」という人もいる。これも、AIにとっては重要な情報です。「こういう考え方で仕事をしているので、その雰囲気を壊さない文章にしたい」と伝えるだけで、出てくる文章の方向は変わります。
まとめ|何でもAIに渡せばいいわけではない
ここは、便利さとは別に考えておきたいところです。AIに渡す情報には、仕事上の機密情報や個人情報などが含まれる場合があります。だから、誰の情報なのか、公開していい情報なのか、仕事上の秘密ではないか、第三者の個人情報が含まれていないか、そのAIサービスでのデータ利用条件はどうなっているか、などを確認する必要があります。「AIだから危険」と一括りにする必要もありません。逆に「便利だから何でも入れていい」でもありません。これは、AIに限らず、クラウドサービスやSNSなどでも同じです。目指したいのは、AIを「何でも知っている先生」として使うのではなく、「自分の仕事を理解するための材料を渡して、仕事を手伝ってもらう道具」と考えること。自分のプロフィール、商品情報、過去の記事、よくある質問、仕事のルール、表現の好み、過去の事例。そういうものが整理されていけば、AIとのやり取りに使える「自分の仕事の材料」が増えていきます。そして、これはWebにもつながっています。自分の仕事を整理する、情報を整理する、経験を記録する、考え方を言葉にする、それをWebに残す。すると、人が読むことも、必要な情報を検索することも、AIに仕事の材料として使うこともできる。つまり、「整理して残す」という行為そのものの価値が、少しずつ大きくなっているのだと思います。