AIを使えば仕事が速くなる、とは限らない

AIを使えば仕事が速くなる、とは限らない

AIを使うと、仕事が速くなる。

最近は、そんな話をよく聞く。

文章を書いてくれる。

画像を作ってくれる。

情報をまとめてくれる。

アイデアを出してくれる。

コードを書いてくれる。

メールまで作ってくれる。

確かに便利だ。

僕自身もAIを使う。

使わないより、使ったほうが明らかに早くなる仕事もある。

でも、AIを使うようになってから、逆に時間がかかるようになったこともある。

それは、

「何を作るのかを決める時間」

だ。

目次

作る時間は短くなった。でも、考える時間はなくならない

例えば文章。

以前なら、最初の一文を書くまでにかなり時間がかかった。

何から書こうか。

どういう順番にしようか。

どんな言葉を使おうか。

そんなことを考えながら、少しずつ書いていく。

AIを使えば、この部分はかなり速くできる。

テーマを伝えれば、文章が出てくる。

構成も出てくる。

タイトルの候補も出てくる。

言い回しも変えられる。

これは本当に便利だ。

でも、その文章を見たときに、

「これで本当にいいのか?」

という判断は残る。

むしろ、文章が簡単に出てくるようになったことで、その判断が目立つようになった。

「書くこと」と「決めること」は違う

文章を作るとき、実は二つの仕事がある。

一つは、文章を書くこと。

もう一つは、

「何を書くのかを決めること」

だ。

AIが得意なのは、前者をかなり助けてくれること。

でも後者は、別の仕事だ。

誰に伝えるのか。

何を伝えるのか。

何を伝えないのか。

どこまで説明するのか。

どんな印象を残したいのか。

最後に何をしてほしいのか。

こういうことは、AIに文章を書かせる前に決めておいたほうがいい。

AIに任せるほど、人間の仕事が減るとは限らない

これは少し逆説的だけれど、

AIが優秀になるほど、人間が考えなければならないことが増える場合がある。

例えば、100文字の文章を書くのに30分かかっていたとする。

AIを使えば5分でできるようになる。

一見すると25分の短縮だ。

でも、その5分でできた文章をそのまま使えるとは限らない。

事実関係を確認する。

自分の考えと合っているか確認する。

言葉が強すぎないか確認する。

読んだ人に誤解されないか確認する。

自分の会社らしい文章になっているか確認する。

そうすると、別の仕事が出てくる。

AIが書く時間を減らした分、

「判断する時間」

の価値が上がってくる。

「それっぽい文章」が一番怖い

AIの文章で怖いのは、明らかにおかしい文章だけではない。

むしろ、

「なんとなくちゃんとしている文章」

のほうが怖い。

文法は正しい。

文章もきれい。

見出しも整っている。

それらしいことが書いてある。

でも、

「本当にこの会社が言いたいことなのか?」

と考えると、違うことがある。

誰が書いても同じような文章になる。

どこかで見たような言葉になる。

それは、文章としては整っていても、情報としては弱い。

AIは「平均的にうまい文章」を作るのが得意

AIに文章を頼むと、読みやすい文章が出てくる。

でも、読みやすいことと、伝わることは少し違う。

例えば、

「お客様一人ひとりに寄り添ったサービスを提供します」

という文章。

悪くはない。

でも、どんな会社でも言える。

「地域の皆さまに愛される存在を目指します」

これも悪くない。

でも、やはり多くの会社で使える。

AIに任せれば、こういう無難な文章はかなり簡単に作れる。

だからこそ、人間側が、

「うちは何が違うのか」

を持っていないと、どんどん平均化していく。

AIを使う前に、自分の材料を持っておく

では、どうすればいいのか。

僕は、

「AIに考えてもらう」

より先に、

「自分の材料を出す」

ことを大切にしている。

例えば、

実際のお客様から言われたこと。

自分が仕事をしていて感じたこと。

失敗したこと。

うまくいったこと。

他社との違い。

商品の特徴。

お客様が迷うポイント。

現場でよく聞かれる質問。

こういうものを先に出す。

その上でAIに整理してもらう。

これなら、AIが「何もないところからそれっぽい文章を作る」のではなく、

「自分が持っている情報を整理する」

ために働いてくれる。

AIは、材料が多いほど使いやすくなる

AIに、

「ホームページの文章を作って」

とだけ頼む。

それでも文章は出てくる。

でも、

「この会社はこういう仕事をしていて、お客様からはこう言われることが多く、こういう依頼は断っていて、こういう仕事を大切にしていて……」

と材料を渡せば、かなり変わる。

これはAIが賢くなったというより、

「何を考えるための材料なのか」

が明確になったからだ。

AIを使うとき、プロンプトの書き方ばかりが注目されることがある。

もちろん、それも大切だ。

でも、それ以上に大切なのは、

「自分が何を知っているのか」

だと思う。

情報が整理されていないと、AIを使っても整理されない

ここはWebの仕事にもつながる。

会社の情報がバラバラ。

商品情報もバラバラ。

過去の資料もバラバラ。

SNSに書いたこともバラバラ。

担当者によって説明が違う。

こういう状態で、

「AIに全部整理してもらおう」

と考える。

ある程度はできる。

でも、AIが整理した結果を見て、

「そもそも、どれが正しい情報なんだ?」

となることがある。

AIは情報を処理できる。

でも、会社の中で何を正式な情報とするかを決めるのは、別の仕事だ。

だから、AI導入の前に情報整理が必要になることがある。

AIは「整理する人」の代わりにはならない

ここは、僕自身の仕事とも関係している。

僕は、Webや情報を整理する仕事をしている。

だから、

「AIがあれば整理なんて必要なくなるのでは?」

と思われるかもしれない。

でも、実際には逆だと思っている。

情報が増えれば増えるほど、

「何を残すか」

「何を正式とするか」

「どこに置くか」

「誰が使うか」

「何を公開するか」

という判断が必要になる。

AIは、その作業を助けてくれる。

でも、

「この会社にとって、何が大切なのか」

を決めることまでは、自動ではできない。

AIに全部やらせると、最後に困るのは自分

AIに、

文章も。

画像も。

企画も。

SNSも。

分析も。

全部任せる。

一見すると、とても効率がいい。

でも、そこで少し考えてみる。

「自分は何を決めているんだろう?」

もし何も決めていないなら、少し危ない。

AIが出したものを選ぶだけになっていると、

自分の仕事なのに、自分の判断がどんどん薄くなる。

これはAIが悪いのではない。

使う側が、

「判断まで預けてしまう」

ことが問題なのだと思う。

「AIに任せる仕事」を決める

僕はAIを使うとき、

「これはAIに任せてもいい」

という仕事と、

「これは自分で考えたい」

という仕事を分けるようにしている。

例えば、

文章のたたき台。

言い換え。

要約。

アイデアの壁打ち。

情報の分類。

構成案。

こういうものはAIに助けてもらいやすい。

一方で、

何を目指すのか。

誰に届けるのか。

何を大切にするのか。

何をやめるのか。

最終的に何を選ぶのか。

こういうことは、自分で決めたい。

もちろん、AIに相談することはある。

でも、最後の判断まで丸投げしない。

AIは「答えを出す機械」ではなく「考える相手」にもなる

最近は、AIを検索の代わりとして使う人も増えている。

それも便利だ。

でも、僕はAIを、

「考える相手」

として使うことも多い。

自分の考えを文章にする。

AIに読ませる。

「ここは矛盾していないか?」

「別の見方はないか?」

「抜けている視点はないか?」

と聞く。

すると、自分だけでは気づかなかった部分が見えることがある。

ここでは、AIが答えを出しているわけではない。

自分の考えを外に出して、反応を返してもらっている。

いわば壁打ちだ。

紙に書くことも、まだやめていない

だから、AIを使うようになっても、僕は紙に書く。

ロディアに書く。

ノートに書く。

思いついたことを、とりあえず手で書く。

なぜか。

最初から答えが欲しいわけではないからだ。

考える途中のものを、そのまま置いておきたい。

AIに入力する文章にする前の、

「なんとなくこう思う」

という段階がある。

その曖昧な状態を少し楽しむ。

それからAIに投げる。

この順番が、自分には合っている。

AI時代だからこそ「自分の言葉」が大事になる

AIによって文章を作ることが簡単になった。

だからこそ、

「その人にしか言えないこと」

の価値が上がると思う。

現場で経験したこと。

実際に失敗したこと。

お客様との会話。

自分が感じた違和感。

長年やってきてわかったこと。

そういうものは、検索しても出てこない。

AIに聞いても、同じ経験をしているわけではない。

だから、

「AIを使わない」

ことが重要なのではない。

AIでは作れない材料を、自分が持っていること。

そして、それをAIに整理してもらうこと。

この組み合わせが面白い。

AIで速くなる仕事と、速くしないほうがいい仕事

仕事には、

「速くしたほうがいいもの」

と、

「速くしないほうがいいもの」

があると思う。

定型的な作業。

繰り返し作業。

情報の整理。

下書き。

検索。

こういうものは、AIで速くしていい。

一方で、

考える。

迷う。

比較する。

人と話す。

決める。

振り返る。

こういう時間まで全部短くしてしまうと、仕事そのものが薄くなる可能性がある。

効率化は、時間を削ることではない。

大切なことに時間を使えるようにすることだ。

ここは、AIを使う上でかなり大事だと思っている。

AIを使って、何の時間を増やしたいのか

AIを導入するとき、

「何分短縮できるか」

だけを見るのではなく、

「空いた時間で何をしたいか」

まで考えてみる。

文章作成が30分短くなった。

その30分で、別の仕事を詰め込む。

それも一つの方法だ。

でも、

お客様と話す時間を増やす。

商品を考える。

現場を見る。

写真を撮る。

新しい企画を考える。

何もしない時間をつくる。

それでもいい。

AIによって生まれた時間を、何に使うのか。

そこまで決めて初めて、効率化に意味が出てくる。

AIを使うことより、AIを使わなくてもいい判断ができること

AIは便利だ。

これから、もっと便利になるだろう。

だから、AIを使えることは大切になる。

でも、それと同じくらい、

「これはAIを使わなくてもいい」

と判断できることも大切になると思う。

一言の返信なら、自分で書いたほうが早い。

短いメモなら、紙に書いたほうが早い。

相手の気持ちを考えるなら、自分で考えたほうがいい。

重要な判断なら、AIの答えだけで決めない。

何でもAIに渡さない。

これも、AIを上手に使うということだと思う。

道具は、使う人の仕事を映す

「おまつの道具箱」でずっと考えてきたことと、ここはつながっている。

道具が変わっても、考え方は同じだ。

道具は目的ではない。

仕事をするための手段だ。

AIも特別な存在ではない。

ものすごく高性能な道具ではあるけれど、それでも道具だ。

だから、

「AIで何ができる?」

だけではなく、

「自分は何をしたい?」

と考える。

そして、

「AIに任せることで、自分は何に時間を使える?」

と考える。

この順番なら、AIに振り回されにくい。

AIを使えば、仕事は速くなる。

たぶん、これからもどんどん速くなる。

でも、本当に大切なのは、

「速くすること」

ではないのかもしれない。

AIに任せられる仕事を任せる。

その分、自分が考える時間を残す。

人と話す時間を残す。

現場を見る時間を残す。

決める時間を残す。

そして、自分にしかできない仕事に時間を使う。

便利になったからこそ、

「何を自分でやるのか」

を決める。

僕は、AIとの付き合い方も、結局はそこに戻ってくると思っている。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次