「まだ実績がないんです」「お客様の声も、ほとんどありません」「だからホームページに載せられるものがなくて……」。開業したばかりの人から、こんな話を聞くことがあります。すでに何年も営業している会社なら「施工実績○○件」「お客様の声○○件」と書けますが、これから始める人にはまだありません。ではどうするか。僕は、ここで無理に「実績っぽいもの」を作らないほうがいいと思っています。
信用は、一つの数字だけで作られるものではない
初めてのお店やサービスを見つけたとき、僕たちは本当に「実績」だけを見ているでしょうか。初めて行く美容室なら、どんな雰囲気のお店か、どんな人がやっているか、自分の希望を聞いてくれそうか、料金は分かるか、場所はどこか、予約しやすいかを見ます。整体でも、教室でも、飲食店でも、Web制作でも同じです。信用を作る材料は、何をしているか分かる、誰がやっているか分かる、料金や流れが分かる、考え方が分かる、仕事の様子が分かる、第三者からの評価がある、といったもので、実績はその中の一つにすぎません。
「経験」と「実績」は違う
「開業したのは今年です。でも、この仕事に関わってきたのは10年です」という人もいます。会社員時代の経験、前職で担当していた仕事、資格を取るまでの勉強、趣味から続けてきた活動、地域での活動、家族や知人から頼まれてやってきたこと。これらは必ずしも事業実績ではありませんが、経験としては十分に意味があります。「事業としての実績」と「その人が持っている経験」を分けて考えるだけで、プロフィールに書けることはかなり増えます。また資格は、名前を並べるだけでは意味が伝わりません。資格の下に「この知識を、仕事の中でどう使っているか」を書く。資格そのものではなく、資格が提供する安心感まで翻訳することも情報整理の一つです。
「仕事の途中」を見せる
実績が少ない人に特におすすめしたいのがこれです。完成したものだけを見せようとしない。制作しているところ、準備しているところ、商品を梱包しているところ、材料を選んでいるところ、試作しているところ、勉強しているところ。見せ方を考えれば、「この人は、ちゃんと仕事をしている」という情報になります。完成品だけでは見えない、丁寧さ、考え方、こだわり、仕事への向き合い方が、途中にはあります。SNSも「実績発表会」にする必要はありません。「今日はこんな準備をしました」「こういう相談を受けました」「この部分をこう考えています」。「今日は何を投稿しよう?」ではなく、「今日の仕事の中で、初めて見る人に伝えられることは何だろう?」と考えるほうが、長く続けやすいはずです。
「お客様の声」は、無理に作らない
口コミやお客様の声は強い情報ですが、まだ数が少ないならそれで構いません。絶対にやってはいけないのは、実際には存在しない声をそれらしく作ることです。信用を作るための情報で信用を失ったら本末転倒です。本当に声をもらえたときに、少しずつ追加していけばいい。代わりに今ある他の情報を丁寧に整えることで、十分スタートできます。地域で仕事をしているなら、「旭川の○○エリアで営業しています」といった実際の活動範囲も信用になります(事実であることが前提で、不自然に地域名を並べる話ではありません)。
実績が少ない人が今日できることは5つ。これまでの経験を整理する。仕事への考え方を一つ書く。仕事の途中を写真で残す。サービスを受ける流れを説明する。今後どんな仕事をしていきたいかを書く。信用は一日で作るものではなく、情報を積み重ねた結果として生まれるもの。焦って大きく見せなくていい。今の自分にあるものを、正しく、分かりやすく、少しずつ見せていく。それが小さな事業のWebにおける「信用づくり」の基本だと思っています。
