SNSを更新している。商品やサービスの紹介もしている。できるだけ写真を載せて、文章も考えている。それなのに、問い合わせは増えない。こういう状況になると、「もっと投稿したほうがいいのかな」「毎日更新しないとダメなのかな」「フォロワーが少ないから仕方ないのかな」と考えてしまいます。
もちろん、投稿頻度やフォロワー数が影響することはあります。でも、そこを改善する前に、一度確認しておきたいことがあります。それは、発信した情報が、お客さんの行動につながるように設計されているかということです。
問い合わせまでの道筋を確認する
情報発信を整理するとき、まず考えたいのは、お客さんの行動の流れです。SNSや検索、紹介などで存在を「知る」。何をしている人・お店なのかを「理解する」。料金や人柄、利用方法を確認して「安心する」。そして来店・予約・購入・問い合わせといった「行動する」へ進む。この流れです。
すべての人がこの順番で行動するわけではありません。SNSを見てすぐ購入する人もいれば、何週間もプロフィールやホームページを確認してから問い合わせる人もいます。ただ、こうした流れを想定しておくと、自分の情報発信のどこを見直せばよいのかがわかりやすくなります。投稿は見られているのにプロフィールへのアクセスが少ない。プロフィールは見られているのに、ホームページへ移動する人が少ない。ホームページは見られているのに、問い合わせがない。それぞれ、考えるべきことは違います。すべてを「SNSの投稿が悪い」と考えてしまうと、本当の課題を見落とす可能性があります。
また、発信を考えるときは、届けたい相手を先に考えることも大切です。新しいお客さんと、いつも来てくれるお客さんでは、必要な情報は変わります。たとえばパン屋さんが新商品の写真を投稿したとき、常連さんなら写真だけで伝わることもありますが、初めてお店を知った人には、場所や営業時間、商品の特徴なども必要かもしれません。同じ商品を紹介する場合でも、誰に伝えるかによって必要な情報が変わるのです。
プロフィールを見ただけで、何をしている人かわかるか
投稿を見て興味を持った人が、次にプロフィールを確認することは珍しくありません。そのとき、何をしている人なのかがすぐにわかるでしょうか。
たとえば、「毎日を楽しく、自分らしく。好きなことを仕事にしています。日々の気づきを発信中」というプロフィール。人柄は伝わるかもしれませんが、初めて見た人には、何を提供しているのか、誰に向けた活動なのかがわかりにくい状態です。素敵な言葉でも、それだけでは、ハンドメイド作家なのか、カウンセラーなのか、飲食店なのか判断できません。
一方、「旭川の小さなお店・個人事業主向けに、ホームページやSNSの情報整理をサポート。何から手をつければよいかわからない方と一緒に、情報発信の方向性や次の一手を考えます」というプロフィールなら、対象となる人、提供すること、相談できる内容が具体的になっています。抽象的な言葉が悪いわけではありません。抽象的な言葉だけでは、具体的な活動が見えないことがあるのです。
プロフィールだけですべてを説明する必要はありません。まずは「自分に関係がありそうだ」と思ってもらえること。そして、詳しい情報を確認できる場所へつながっていること。この2つを意識するだけでも、プロフィールの役割は変わります。
投稿を見た人が、次に何をすればいいかわかるか
意外と見落とされやすいのが、問い合わせまでの最後の部分です。サービスに興味を持った。どんな人なのかもわかった。利用方法も確認できた。それでも、どこから連絡すればよいのかわからなかったら、その場で諦めてしまう人もいるかもしれません。
たとえば、パン屋さんが新商品の写真を投稿したとします。商品の魅力は伝わっていても、どこにお店があるのか、何時まで営業しているのか、今日も購入できるのか、予約や取り置きはできるのかが見つからなければ、お客さんは行動を起こしにくくなります。これはパン屋さんに限った話ではありません。どんな事業でも、知ってもらうことと、利用してもらうことの間には、いくつかの段階があります。
確認したいのは、問い合わせ先がプロフィールやホームページから見つかるか、予約・購入・相談の方法が明記されているか、問い合わせ後に何が起こるのかがわかるか、必要以上に多くの手順を求めていないか、営業日や返信までの目安など必要な情報があるか、といった点です。自分が伝えたいことだけでなく、相手が行動するときに何を不安に感じるか。その不安を減らす情報が用意されているかが大切です。
SNSだけで、すべてを伝えようとしていないか
ここは、特に整理しておきたい部分です。SNSを頑張っている事業者ほど、SNSの中だけで問題を解決しようとしてしまうことがあります。もっと投稿しよう。もっと写真を工夫しよう。もっとフォロワーを増やそう。もちろん、それらが有効な場合もあります。ただ、SNSだけで、すべての情報を伝える必要はありません。
SNSとホームページは、それぞれ得意な役割が異なります。SNSの役割は、日々の活動や商品の紹介、考え方、人柄、最新のお知らせなどを伝え、接点をつくることです。ホームページの役割は、サービス内容、料金、利用の流れ、よくある質問などを整理し、詳しく確認できる場所になることです。
もちろん、ホームページが必須とは限りません。事業の内容や規模によっては、SNSのプロフィール、予約サービス、ネットショップなどを組み合わせる方法もあります。大切なのは、立派なホームページを持つことではなく、お客さんが必要な情報を確認でき、次の行動に移れることです。「SNSがあるから、ホームページはいらない」「ホームページさえ作れば、SNSは必要ない」。どちらも、少し極端な考え方かもしれません。
成果を、フォロワー数だけで判断していないか
SNSを運用していると、フォロワー数や「いいね」の数が気になります。数字として見えるので、変化もわかりやすいからです。ただ、それだけで事業への貢献を判断するのは難しい場合があります。
フォロワーが増えても、商品を購入する人が増えなければ、売上にはつながっていないかもしれません。反対に、フォロワー数はそれほど多くなくても、投稿を見た人から問い合わせが来たり、実際の来店につながったりすることもあります。まずは目的を確認してみましょう。認知を広げたいのか、来店につなげたいのか、商品の購入を増やしたいのか、サービスの問い合わせを増やしたいのか。まずは目的を明確にし、それに合った指標を考えることが大切です。数字を見る前に、何のためにその数字を見るのかを整理しておきたいところです。
まとめ|発信を増やす前に、つながりを見直す
今日できる小さな点検として、次の項目を確認してみてください。プロフィールを見て、何をしている人なのかわかる。誰に向けた商品・サービスなのかが伝わる。商品やサービスの内容を詳しく確認できる。判断に必要な情報がある。問い合わせ・予約・購入の方法がわかる。SNSから必要な情報へ迷わず移動できる。すべてにチェックが入らなくても大丈夫です。大切なのは、足りない部分に気づくこと。そして、一度に全部を直そうとしないことです。
SNSの投稿を頑張っている人ほど、更新すること自体が仕事になってしまうことがあります。だからこそ、さらに投稿を増やす前に、一度立ち止まって考えてみたいのです。今の発信は、誰に届いてほしいのか。届いた人に、何を知ってほしいのか。そして、その人が次に進むための情報は用意できているのか。
もちろん、情報を整えれば必ず問い合わせが増える、という話ではありません。商品やサービスそのものの需要、価格、競合、認知度、信頼性など、結果に影響する要素はほかにもあります。ただ、情報のつながり方は、自分で確認し、改善できる部分のひとつです。まずは、今ある発信を無駄にしないために。新しい投稿を考える前に、今までの投稿を見た人が、その先へ進めるようになっているかを確認してみてください。
