「地域だから、こうしたほうがいい」という話があります。もちろん、地域によって事情は違います。人口も、人の流れも、商圏も、交通事情も、文化も、仕事のつながり方も違う。だから地域を見ることは大事です。でも「地域だから」という言葉だけで答えを決めてしまうのは、ちょっともったいない気がします。
地域は「条件の一つ」として見る
僕は旭川で暮らして、仕事をしています。だから旭川という場所のことは気になります。新しい店ができた、店がなくなった、人の流れが変わった、イベントが増えた。そういう変化を見るのは好きです。ただ「旭川だから、こうする」と最初から決めることは、あまりしません。まず「この仕事をしている人は、何をしたいんだろう?」「誰に来てほしいんだろう?」「今、何に困っているんだろう?」「地域のどんな部分が関係しているんだろう?」と考えます。地域は、その中の一つの条件として見る。そのくらいがちょうどいいと思っています。
「旭川向け」にすればいい、ではない
「地域密着」という言葉はよく見かけます。地域のお客さんを大切にし、地域の人との関係を大切にし、地域のことを知っている。そういう仕事にはちゃんと意味があります。でも、Webサイトに「旭川」という言葉をたくさん入れれば、それだけで地域の仕事になるわけではありません。SNSに「旭川」を付ければいいわけでもない。「旭川の人なら、これが好きだろう」と決めつける必要もない。地域を見ることと、地域で暮らす人を一括りにすることは別の話です。同じ「旭川の事業者」でも、お店をやっている人、一人で仕事をしている人、家族でやっている人、会社として仕事をしている人、地域外のお客さんを相手にしている人、それぞれ事情が違います。「旭川の小さな事業者なら、これをやりましょう」と一つにまとめるより、「この人の場合は、どうなんだろう?」と考えたい。
地域にいるからこそ、外も見る
地域で仕事をするなら、地域の中だけを見ていればいいとも思っていません。他の地域ではどうしているのか。東京では、札幌では、小さな町では、全然違う業種ではどうなのか。外を見ると、自分のいる場所のことが逆によく見えることがあります。「これって旭川だから特殊なのかな?」と思っていたことが、実はどこにでもある問題だったりする。逆に「これは、この地域だからこそ面白いのかもしれない」と気づくこともあります。
「地域らしさ」は、あとから見えてくる
僕は、地域らしさを最初から作る必要もないと思っています。その人が何をしているのか、どんな人と仕事をしているのか、どんな場所で活動しているのか、何を大切にしているのか。そういうものを積み重ねていくと、結果として「その地域らしいもの」になることがあります。地域の人との関係から生まれた商品、その土地で長く続いてきた仕事、地元の人にしか分からない小さな魅力。「地域らしく見せよう」として作ったものではなくても、十分に地域の個性になります。Webでも考え方は同じです。地域名を入れるために仕事を作るのではなく、その人の仕事をちゃんと伝えた結果として、地域との関係も見えてくる。その順番のほうが自然だと思っています。
もちろん、地域ならではの問題もあります。人口のこと、人の移動のこと、商圏のこと、情報が届く範囲のこと。そういう条件は無視できません。だからこそ「地域だから仕方ない」で終わらせたくない。「旭川だからこうする」ではなく、「この人が、この場所で、この仕事をしているなら、どうするのが自然なんだろう?」と考える。その答えが一般的な方法と同じこともあるし、全然違うこともある。どちらでもいい。大事なのは「地域だから」という一言だけで答えを決めないことです。
