こんにちは、おまつこと松井良幸です。デザインについて話していると、こんな言葉を聞くことがあります。「本物のデザイナーは、自分が作ったロゴの意味や形、色について、ちゃんと説明できる」。なるほど。確かに、そういう考え方は大切だと思います。もちろん、デザインは説明が上手なら良いというものでもありません。見た目の美しさや使いやすさ、目的に合っているかどうかも大切です。ただ、自分が選んだ形や色に、なぜそれを選んだのかという理由がある。そして、それを自分の言葉で説明できる。これは、デザインをするうえで大事なことだと思っています。今回は、僕がデザインした松井構造室のロゴについて、少し真面目に解説してみようと思います。普段は何気なく見ているロゴですが、実はそれぞれに意味を持たせています。
ロゴ全体と、外側の円が表すもの
このロゴを見て、最初に目に入るのは、円の中に配置された大きなシンボルと、右上にある小さなブロンズ色の点だと思います。一見すると、アルファベットのようにも、数字のようにも見えるかもしれません。僕がこの形で表現したかったのは、単なる頭文字の組み合わせではありません。松井構造室という名前にある「構造」という考え方を、ひとつのシンボルにまとめることです。物事を整理する、要素を組み合わせる、バラバラに見えるものをひとつの形として成立させる。僕が普段、Webや情報、事業の整理をするときに大切にしている考え方を、ロゴにも反映させたいと思いました。
まずは、ロゴを囲んでいる大きな円。円は、始まりと終わりがつながった形です。僕はここに、全体をひとつにまとめること、つながり、継続性という意味を持たせています。Webサイトを作るときも、SNSを運用するときも、事業の仕組みを考えるときも、一部分だけを見ていては全体は整いません。商品、サービス、情報、発信する人、届けたい相手。それぞれの要素をバラバラに考えるのではなく、関係性を見ながらひとつの仕組みとして捉える。外側の円は、そんな「全体を包み込む構造」を表しています。
中央のシンボルと、ブロンズの点
次に、円の中にあるメインのシンボルです。この形は、直線的な部分と曲線的な部分を組み合わせています。左側には、安定感のあるMを思わせる形。右側には、そこから流れるように広がる曲線。僕はこの組み合わせに、構造と柔軟性という対比を込めています。物事を整理するには、軸やルールが必要です。でも、最初に決めた形にすべてを押し込めてしまっては、変化に対応できません。土台となる考え方はしっかり持ちながら、状況に合わせて柔軟に形を変えていく。ただ整えるだけではなく、整えた先に何を生み出すのか。この2つをひとつのシンボルにまとめたかったのです。
個人的に気に入っているのが、右上の小さなブロンズ色の点です。ロゴ全体の中ではとても小さな要素ですが、だからこそ意味があります。僕はここに、ひとつの起点や、価値が生まれる瞬間という意味を持たせています。大きな仕組みも、最初は小さな気づきやアイデアから始まります。何かを変えたいと思うこと、疑問を持つこと、ちょっとした違和感に気づくこと。その小さなきっかけが、やがて大きな変化につながっていく。また、ブロンズという色には、落ち着きや経験、積み重ねてきた価値という印象を持たせています。主役を邪魔せず、それでも確かな存在感を持つ。そんな役割を担うアクセントです。
色の役割と、シンプルな形にした理由
色にも、それぞれ役割があります。ターコイズ(#238C88)は、知性、対話、柔軟性、デジタル。冷静に考え、物事を整理し、次の可能性を見つけていく姿勢を表しています。ブロンズ(#D9A16F)は、経験、人間味、積み重ねてきた価値。デジタルだけでは表現できない、人と人との関係や温度感を表しています。デジタルや仕組みを扱う仕事だからといって、無機質な印象にはしたくありません。論理的に考えることと、人間らしさを大切にすること。この両方を持っていたい。その考えを、色の組み合わせにも反映しています。
なぜシンプルな形にしたのか。理由は、長く使えることを大切にしたかったからです。Webサイトのヘッダー、SNSのプロフィール画像、名刺、資料、商品。さまざまな場所で使うことを考えると、小さく表示しても認識できることが重要です。細かい装飾が多すぎると、表示するサイズや媒体によって見え方が変わってしまいます。だから形はできるだけシンプルに。その代わり、シンボルのバランスや余白、色の組み合わせで印象を作る。シンプルにすることは、何も考えずに要素を減らすことではありません。何を残し、何を削るかを決めることだと思っています。
まとめ
僕がこのロゴに込めたかったものは、単なるデザイン上の意味だけではありません。僕が普段やっていることは、ホームページを作ることだけではありません。何を伝えたいのか、誰に届けたいのか、情報がどこに散らばっているのか、今ある仕組みのどこを見直せばいいのか。そういったことを一緒に整理し、必要な形に組み立てていくことです。デザインは、その結果として目に見える形になるものの一つです。見た目を整える前に、まず構造を整える。情報を整理し、関係性をつなぎ、伝わる形に組み立てる。それが、松井構造室の仕事の基本姿勢です。
ロゴは、完成した瞬間がゴールではありません。ホームページに使う、名刺に使う、SNSに使う。いろいろな場所で使われ、少しずつ認識されていくことで、そのロゴがブランドの顔になっていきます。どんなに意味を込めたロゴでも、使われなければ意味が伝わる機会はありません。逆に、使い続けることで、ロゴそのものに経験や歴史が積み重なっていきます。今回のロゴも、これから松井構造室の活動と一緒に育てていきたいと思っています。みなさんが普段目にしているお店や会社のロゴにも、きっと何かしらの理由や物語があるはずです。
