Webの仕事をしていると、失敗します。今なら「それは違うな」と分かることも、昔は普通にやっていました。つくることを急いだり、相手の言葉をそのまま受け取ったり、情報を詰め込みすぎたり、自分が分かっていることを相手も分かっていると思ったり。
もちろん、全部が大失敗だったわけではありません。でも、そういう小さな失敗の積み重ねが、今の僕の仕事のやり方をつくっています。
失敗1「まず、つくればいい」と思っていた
Webの仕事を始めたころは、依頼を受けたら、まず制作に入る。それが仕事だと思っていました。ページをつくる、デザインを考える、文章を入れる、公開する。形になっていけば、仕事は前に進んでいる。そう思っていた時期があります。
でも、つくり始めてから「このページは何のためだろう?」「誰に見てもらうんだろう?」となることがありました。そうなると、途中で構成を変えたり、文章を書き直したり、ページそのものを作り直したりすることになります。結果として、最初に少し考えておけば済んだことに、ずいぶん時間を使っていました。「つくること」と「進んでいること」は、同じではない。これが、かなり大きな学びでした。
失敗2「言われたものをつくる」だけでは足りなかった
「このページをつくってください」「この内容を載せてください」「こういうデザインにしてください」。依頼されたものを、その通りにつくる。それ自体は悪いことではありません。でも、言われたものを正確につくることと、本当に必要なものをつくることは、少し違います。
「なぜ、このページが必要なんだろう?」「本当にこの順番でいいんだろう?」「そもそも、このページでは何を伝えたいんだろう?」。そこまで確認しないまま進めると、ちゃんと完成しているのに、なんとなく使いにくいものができてしまうことがあります。それ以来、僕は「言われたこと」だけではなく、「その依頼の目的は何なのか」を考えるようになりました。
失敗3「情報は多いほうが親切」だと思っていた
これも、昔はやりがちでした。情報が足りないと不親切。だったら、できるだけ詳しく書けばいい。そう考えて、ページにどんどん情報を入れてしまう。
でも、情報が増えるほど、本当に伝えたいことが見えなくなることがあります。読む人は、全部を知りたいわけではありません。その人が「今」必要としている情報を知りたい。だから、情報を増やすことより、情報を整理することのほうが大切な場合があります。これは、今の僕が「整理」という言葉を大事にしている理由の一つです。
失敗4「自分が分かっているから、相手も分かる」と思っていた
Webの仕事をしていると、専門用語が増えていきます。WordPress、サーバー、ドメイン、SSL、SEO、CMS。自分にとっては普通の言葉でも、初めてWebを触る人には、普通ではありません。
それなのに、つい専門用語を使ってしまう。説明したつもりになる。でも、相手からすると「結局、何をすればいいんですか?」となる。そこで、「自分が分かる説明」ではなく、「相手が分かる説明」をすることを意識するようになりました。
あわせて、「正しいものをつくれば、伝わる」と思っていた失敗もあります。SEOならこうする、ページ構成はこうする、ボタンはこうする。基本的なセオリーはあります。でも、その人の事業、商品の特徴、お客さん、地域、これまでの活動によって、必要な伝え方は変わります。「正解を当てにいく」より、「その人にとって何が必要なのかを考える」ことを大切にするようになりました。
失敗したときは、もちろん「ああ、やってしまった」と思います。でも、時間が経ってから振り返ると、その失敗が自分の仕事の基準になっていることがあります。これは本当に必要なページなのか。この説明で相手に伝わるのか。情報を詰め込みすぎていないか。つくることを急いでいないか。相手の目的を理解しているか。こういう確認をするようになったのは、最初から仕事ができたからではなく、何度も「あれ?」と思う経験をしてきたからです。
これまでの失敗に共通していたのは、「整理する前に動いてしまった」ということです。だから今の僕は、依頼が来たらすぐに作業を始めるのではなく、「まず考える時間」を仕事の一部だと思っています。最初に少し立ち止まることが、結果的に一番早いこともある。失敗しなくなったわけではありません。ただ、失敗するたびに、「次はどうすればいいか」という仕事の基準が一つずつ増えてきました。
