ネットショップ(EC)をやって分かったこと|商品を置けば売れるわけではない

SI — Structural Intelligence

ECは、「ネットで商品を売る仕事」だと思っていました。実際にやってみるまでは。でも、実務としてECに関わってみると、商品をネットに載せることは、ほんの一部分でした。

商品、写真、文章、ページ、価格、在庫、受注、発送、問い合わせ。いろいろなものがつながって、初めて「店」になります。

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商品を置けば、売れるわけではない

ECを始めたばかりのころは、商品を登録して、写真を載せて、価格を設定すれば、あとはお客さんが買ってくれる。そんな単純なものではないことを、実務の中で知りました。

実店舗なら、店の前を通る人がいます。商品を手に取ってもらうこともできます。店員が声をかけることもできます。でも、ネットショップには、それがありません。画面の中にある情報だけで、「これは何だろう」「自分に必要かな」「買って大丈夫かな」という疑問を解消してもらわなければいけません。そこで初めて、「情報の出し方そのものが、販売につながる」ということを実感しました。

商品ページは「説明書」ではない

ECの商品ページをつくるとき、商品のスペックを全部書けばいいわけではありません。サイズ、素材、重さ、色、価格。もちろん、こうした情報は必要です。でも、それだけでは足りない。

「この商品は、どんなものなのか」「どんな人に向いているのか」「なぜ、この商品なのか」「使ったらどうなるのか」。そういうことが伝わらないと、商品の良さがあっても、購入する理由にはつながりません。ここで僕は、「情報があること」と「伝わること」は違う、ということを覚えました。書いてある。でも、伝わっていない。

たくさんの商品を扱っていると、商品情報はどんどん増えていきます。そのまま並べてしまうと、お客さんにとっては、ただ情報量が多いだけになってしまいます。そこで必要になるのが、整理です。何を最初に見せるか、何を詳しく説明するか、何をカテゴリーにするか、どの商品と関連づけるか。これは今振り返ると、かなり「編集」に近い作業でした。情報を増やすのではなく、必要な情報を、必要な順番に並べ直す。ECの実務を通して、僕はこの感覚を身につけていったんだと思います。

裏側が整っていないと、店は止まる

ECをやっていると、表側だけ見ていても仕事は終わりません。商品が売れたら、注文を確認する。在庫を確認する。必要なら問い合わせに対応する。梱包する。発送する。その後の対応もある。つまり、ECは「表に見えているページ」と「見えない裏側」の両方が動いて、初めて成立します。どこか一つが止まると、全体が止まります。この経験から、僕は仕事を見るときに、「見えているもの」だけではなく、その裏側で何が動いているのかを考えるようになりました。

「売れない理由」は、一つとは限らないことも学びました。思ったように売れない商品があると、最初にやりがちなのが「もっと宣伝しよう」です。でも実際には、商品そのものの問題かもしれない、価格の問題かもしれない、写真の問題かもしれない、商品説明の問題かもしれない、欲しい人に届いていないのかもしれない。数字や結果だけを見て、すぐに一つの原因に決めつけない。一つずつ見ていく。これも、今の僕の仕事の進め方につながっています。

そして、ECは「お客さんの目線」を教えてくれました。作る側は商品のことを知りすぎているから、説明を省略してしまう。「これは知っているだろう」「この言葉なら分かるだろう」。でも、お客さんにとっては初めて見る商品かもしれません。作る側の常識をいったん外して、「初めて見る人なら、どう思うだろう?」と考える。この視点は、WebサイトでもSNSでも、今もかなり重要だと思っています。

ECで学んだのは、「売り方」だけではありません。「人が動くまでには、いろいろな情報と仕組みが関係している」ということです。情報を整理すること、人の目線で考えること、裏側の仕組みまで見ること、そして、つくったものの先を見ること。ECをやって分かったのは、「売る」ことより、「売れる状態をつくる」ことの難しさでした。だから、僕は「つくって終わり」にしたくない。Webサイトをつくることも、ネットショップをつくることも、SNSを始めることも、それ自体は目的ではありません。その先に、何をしたいのか。誰に知ってほしいのか。どう動いてほしいのか。そのためには何が必要なのか。ECの実務を経験したことで、僕は「つくること」よりも、その先を見るようになりました。

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