道具を買わないという選択。

道具を買わないという選択。

新しい道具を見るのは楽しい。

新しいキーボード。
新しいiPhone。
新しいノート。
新しい万年筆。
新しい時計。
新しいアプリ。
新しいAIサービス。

「これがあれば、もっと仕事が楽になるかもしれない」

そう思う。

実際、楽になることもある。

だから、僕は道具を買うこと自体を否定するつもりはない。

むしろ道具が好きなので、新しいものを見ると普通に欲しくなる。

ただ、最近は以前よりも、

「これは買わなくてもいいんじゃないか」

と考えるようになった。

目次

欲しいものと、必要なものは違う

これは当たり前の話なのだけれど、意外と難しい。

欲しい。

使ってみたい。

楽しそう。

評判がいい。

見た目が好き。

これらは全部、道具を買う理由としては十分だと思う。

ただし、

「必要だから買う」

とは少し違う。

僕は、この二つを分けて考えるようにしている。

欲しいものを買ってはいけない、という話ではない。

むしろ「欲しい」は大切だと思う。

仕事の道具だからといって、全部が合理的である必要はない。

好きだから使う。

気分が上がるから使う。

触っていて気持ちいいから使う。

そういう理由も、道具にはある。

ただ、

「欲しい」

「必要」

と勘違いしない。

それだけは意識している。

新しい道具を見ると、今の道具が急に古く見える

新しい製品には、強い力がある。

今まで普通に使っていたものが、急に古く見えてくる。

「もっと薄い」

「もっと速い」

「もっと便利」

「AI搭載」

「新機能追加」

そんな情報を見ていると、

「今のものでは足りないのでは?」

と思ってしまう。

でも、少し冷静になってみる。

今の道具で、本当に困っているだろうか。

これが大事だ。

困っていないなら、買い替える理由は案外少ない。

「不満」と「問題」は違う

例えば、今使っているパソコンが少し古い。

新しいモデルを見ると、もちろん魅力的だ。

処理速度も速い。

画面もきれい。

バッテリーも長い。

でも、今の仕事が普通にできているなら、

「古い」

ことと

「問題がある」

ことは別だ。

ここを一緒にすると、買い替えが止まらなくなる。

同じことはWebサイトにも言える。

「デザインが古い気がする」

という感覚だけで、全部作り直す必要があるとは限らない。

本当に問題なのは、

問い合わせにつながらないことなのか。

情報が見つからないことなのか。

更新できないことなのか。

スマートフォンで見づらいことなのか。

情報が古いことなのか。

問題を分けてみると、

「全部作り直さなくてもいい」

という結論になることもある。

道具を買う前に、仕事を見直す

僕は、何か新しい道具が欲しくなったとき、

「これを買うと何が変わるんだろう」

と考える。

ここで具体的に答えられれば、買う意味がある。

例えば、

今まで30分かかっていた作業が10分になる。

持ち運びが楽になる。

目や手への負担が減る。

データ管理が簡単になる。

誰かに作業を引き継ぎやすくなる。

こういう変化なら、検討する価値がある。

逆に、

「なんとなく便利そう」

だけなら、一度止まる。

便利そうなものは、世の中にいくらでもあるからだ。

全部買っていたら、仕事をする前に道具を管理する仕事が始まってしまう。

道具を増やすと、使い方も覚えなければならない

新しい道具には、購入費用だけではなく、学習コストがある。

設定する。

覚える。

移行する。

データを移す。

古い環境との違いを理解する。

問題が起きたら調べる。

場合によっては、元に戻す。

これは結構大きい。

特に仕事では、

「導入した瞬間から効率化」

とはならないことが多い。

むしろ最初は遅くなる。

それでも長期的に価値があるなら導入する。

そこを見ないで、

「新しいから効率が上がる」

と思うと危ない。

AIも同じだと思う

最近はAIもそうだ。

新しいサービスが次々に出てくる。

文章生成。

画像生成。

動画生成。

議事録。

検索。

分析。

自動化。

便利なものは本当に多い。

でも、AIを使うこと自体が仕事ではない。

ここはかなり大事だと思っている。

「AIを使って何をするのか」

ではなく、

「何をする必要があって、そのためにAIを使うのか」

と考える。

順番を逆にしない。

これはAIに限らない。

道具を買わないことも、ちゃんとした選択

何かを買わないと、

「何もしていない」

ように感じることがある。

でも、実際にはそうではない。

今ある道具を見直す。

使っていない機能をやめる。

作業手順を変える。

ファイルを整理する。

ショートカットを覚える。

テンプレートを作る。

不要なサービスを解約する。

これだけでも、仕事はかなり変わる。

つまり、

「買わない」

というのも、一つの改善方法なのだ。

以前の自分なら、道具で解決しようとしたかもしれない

これは自分自身への反省でもある。

何か困ると、

「もっといい道具があれば」

と考えたくなる。

もっと性能のいいパソコン。

もっと便利なアプリ。

もっと使いやすいサービス。

もっと高機能なツール。

でも、道具を増やしても、仕事の整理ができていなければ、問題は残る。

むしろ道具が増えた分だけ、複雑になることもある。

今なら、

「まず今あるものでやってみよう」

と思う。

それでできない理由がはっきりしたら、そのときに道具を探す。

この順番のほうが、失敗が少ない。

「できない」のか「やっていない」のか

ここも結構重要だ。

今の道具ではできない。

だから新しい道具が必要。

これはわかりやすい。

でも、

「できるけれど、面倒だからやっていない」

という場合もある。

この二つは違う。

例えば、手作業でできるけれど時間がかかる。

だったら、

その作業は本当に必要なのか。

頻度はどのくらいなのか。

やり方を変えられないのか。

一部だけ自動化できないのか。

そこを考えてから、道具を探す。

いきなり新しいサービスを契約しない。

道具を買わないと、今ある道具の良さが見える

新しいものを探すのをやめてみると、意外なことが起こる。

今使っている道具の良さに気づく。

HHKBなら、この配列だから使いやすい。

ペンなら、この太さだから書きやすい。

ノートなら、このサイズだから持ち歩ける。

Macなら、この環境だから仕事が止まらない。

古い道具にも、使い続けてきた理由がある。

新しいものを比較し続けていると、その理由を忘れてしまう。

だから、ときどき比較をやめる。

今あるものをちゃんと使ってみる。

これは結構大事だと思う。

道具は、増やすほど自由になるとは限らない

選択肢が増えると自由になった気がする。

でも、選択肢が多すぎると、逆に決められなくなる。

SNSをどれに投稿するか。

どのAIを使うか。

どのアプリで管理するか。

どのサービスに保存するか。

どのツールで作るか。

毎回これを考えていたら、それだけで疲れる。

だから、仕事では、

「これを使う」

と決めてしまうことも大切だ。

最高の道具を探し続けるより、

「これで十分」

と決めて仕事を進める。

そのほうが、結果的に自由になることがある。

「買わない」は我慢ではない

ここは自分でも大切にしたいところだ。

道具を買わないことを、

「節約しなければ」

という我慢にしたくはない。

そうではなく、

「今は、これが一番合っている」

と判断して買わない。

この違いは大きい。

欲しいけれど買わない。

必要だけれど今ではない。

今の道具で十分だから買わない。

これらは全部、自分で選んでいる。

選んだ結果として買わないなら、それは立派な道具選びだと思う。

Webも「作らない」という選択がある

これはWebの仕事にも、そのままつながる。

ホームページが必要だと思ったら、本当に必要なのか考える。

必要なら、どんな役割なのか考える。

SNSだけでは足りないのか。

既存サイトを直せばいいのか。

ページを追加するだけでいいのか。

そもそも情報整理が先なのか。

新しいサイトを作る前に、ここを見る。

僕は「Webサイトを作ること」が目的になってしまうのが、少し苦手だ。

作ったから偉いわけではない。

高機能だから偉いわけでもない。

その人の仕事が少し楽になった。

お客様が必要な情報を見つけられるようになった。

更新できるようになった。

問い合わせにつながるようになった。

それなら、意味がある。

道具を買う前に、目的を一つ書いてみる

もし新しい道具が欲しくなったら、

「これを買って、何が変わる?」

を一つだけ書いてみる。

具体的に書けないなら、まだ買わなくていいかもしれない。

逆に、

「これがあれば、毎日のこの作業が20分減る」

と書けるなら、かなり判断しやすい。

そしてもう一つ、

「買わなかったら、何が困る?」

も考えてみる。

この二つを書くと、欲しい気持ちと必要性が少し分離する。

そこで、

「やっぱり欲しい」

となるなら、それもいい。

欲しいものを買う楽しさまで、合理性だけで消してしまう必要はない。

道具は、増やすものではなく選ぶもの

僕は道具が好きだ。

だからこそ、全部欲しくなる。

でも、全部は使えない。

自分の時間も、机の広さも、集中力も有限だ。

だから、最後に残るのは、

「何を買ったか」

よりも、

「何を選ばなかったか」

なのかもしれない。

買わない。

使わない。

増やさない。

今あるものを使う。

そして、本当に必要になったときだけ、新しい道具を迎える。

それくらいの距離感が、僕にはちょうどいい。

新しい道具は、問題を解決してくれることがある。

でも、問題そのものを見つけてくれるわけではない。

だからまず、自分の仕事を見る。

何に困っているのか。

どこで止まっているのか。

何が面倒なのか。

何はそのままでいいのか。

それがわかったあとで、道具を探す。

その順番なら、

「買う」

「買わない」

も、

ちゃんと自分の仕事を良くするための選択になる。

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