「で、結局なにをしている人なんですか?」この質問をされたことはありませんか。自分ではちゃんと説明しているつもり。ホームページにも書いてあるし、Instagramのプロフィールにも、名刺の肩書きにも載せている。それなのに「何屋さんなのか、いまいち分からない」と言われる。僕はこれを「文章が下手だから」とはあまり考えません。そもそも事業の中身が一言に整理されていない、こちらのほうが多いと思っています。
自分の仕事は、自分が一番説明しにくい
自分の仕事ほど説明が難しくなります。自分には全部見えているからです。商品も、こだわりも、これまでやってきたことも全部知っている。だから説明すると「○○もできますし、△△もできます。あと□□もやっていて……」となりやすい。嘘ではなく全部本当です。でも聞いている側には「結局、何をお願いできる人なの?」が残ります。情報が少ないのではなく、多すぎることが原因の場合もあるのです。
「できること」と「伝えること」は違う
事業者ができることは、たくさんあっていい。でも、それを最初から全部伝える必要はありません。「ホームページ制作、SNS運用、広告、写真撮影、動画制作、チラシ、名刺、ロゴ、ECサイト……」と並んでいたら、「何でもできる会社なんだな」とは思っても、「じゃあ、僕の今の悩みは相談していいのかな?」は別問題です。「何ができるか」と「何を相談すればいいか」は同じではありません。
最初に必要なのは、肩書きより「入口の言葉」
肩書きそのものを否定しているわけではありません。「Webディレクター」でも「デザイナー」でもいい。ただ、それだけでは初めて見る人に意味が伝わらない場合があります。だから肩書きの前後に「何について相談できる人なのか」を置く。例えば「Webディレクター」を、「ホームページやSNSを、何から整えればいいか分からない人の相談先」と添えるだけで、意味が具体的になります。視点も変えてみます。「私は○○をしています」より、「ホームページを作ったけど問い合わせにつながらない。そんなときの整理をしています」のほうが、困っている人は反応しやすくなります。商品名や専門用語からではなく、相手が今いる場所から始めることです。
「一言」はキャッチコピーとは違う
「一言で伝える」と言うと、かっこいいキャッチコピーを作ろうとなりがちです。でも、ここで言う一言は広告のコピーではなく、人に説明するときの言葉です。友達に聞かれたとき、名刺を渡したとき、Instagramを見られたとき、Googleで検索されたとき、ホームページを開かれたとき。その全部で「この人は、こういう人なんだな」が揃っている状態が強い。これはホームページだけの話ではなく、GoogleビジネスプロフィールやSNSも同じです。見る場所によって印象がバラバラにならないよう、ホームページも、Googleマップも、SNSも、「同じ事業を説明するための別の入口」として揃えていきます。
「一言」を作る5つの質問と、10秒テスト
まず、この5つを書いてみてください。誰のための仕事ですか? その人は何に困っていますか? あなたは何をしますか? 他の人と比べてどこが違いますか? 最初に何を相談してもらいたいですか? そして「私は○○です」ではなく、「○○で困っている人のために、△△を整理・支援しています」くらいまで落としてみる。そのうえで、声に出して10秒で説明できるかを試します。話が長い、専門用語が多い、経歴の説明ばかりになるなら、まだ整理する余地があります。最初の一言は短く、そのあとで詳しく。この順番なら、興味を持った人だけが詳しく読めます。
「何でもできます」を入口にすると、相手は自分との関係を判断しにくくなります。これは「仕事を絞れ」という話ではありません。入口だけ整理すればいい。実際には幅広い仕事ができても、「まずは○○について相談してください」という入口を作ればいいのです。一言で伝わる事業は、トップページに何を書くか、プロフィールで何を強調するか、サービスページをどう分けるかまで決めやすくなります。「何をしている人なのか」が見えていれば、Webの形はあとから作れます。
