「ここ、よかったよ」「この人にお願いするといいよ」。こういう会話の中で自分の事業を紹介してもらえるのは、小さな事業にとって憧れる状態だと思います。では、「口コミを増やすにはどうすればいい?」「Googleのレビューを増やしたほうがいい?」と考える前に、ひとつ確認したいことがあります。そもそも、その事業は「人に紹介できる形」で記憶されているだろうか、ということです。
「満足」と「記憶」は、別だからです
友達から「旭川で、ちょっといい美容室知らない?」と聞かれたとします。以前行った美容室を思い出しても、「えーっと……名前なんだっけ?」「たしか○○の近くだった」「なんか雰囲気よかったんだよね」で止まってしまうことがあります。悪いお店だったわけではなく、むしろ満足していたかもしれない。それでも紹介につながらない。人は「良かったもの」を全部覚えているわけではありません。大事なのは、「あの人に教えたい」と思った瞬間に思い出してもらえること。紹介される事業には、「記憶されるための構造」があります。
紹介される事業は、何を覚えられているのか
だいたい次のようなものです。名前、何をしている店・人なのか、何が特徴なのか、どんな人に向いているのか、どんなときに思い出せばいいのか、人に説明するときの一言、詳しく確認できる場所。この中で特に重要なのが「どんなときに思い出せばいいのか」です。「おすすめのお店」ではなく、「ゆっくり話したいなら、あそこ」「子ども連れなら、あそこ」「初めてでも相談しやすいなら、あそこ」。「何でもできます」より「こういうときの人・店」のほうが記憶に残ります。これはブランディングの難しい話ではなく、「この事業は、誰の、どんな場面に役立つのか」を一言で整理するだけでも変わる話です。
ホームページは「紹介された後」にも役に立つ
ホームページは「検索から新規のお客さんを連れてくるもの」だけではありません。誰かから紹介された人が、「どんな人なんだろう?」「自分にも合うかな?」「どうやって問い合わせればいい?」と確認する場所にもなります。つまり、ホームページは「紹介を受け取る場所」にもなるのです。だから「紹介してください」とお願いする前に、紹介された人が迷わない情報を置いておくことが大切です。
紹介する人に「説明させすぎない」
友達から「この人、すごくいいんだけどね。えっと、何て説明したらいいかな……」と言われる事業は、紹介する側に負担がかかります。一方で「旭川で○○の相談をするなら、○○さん」と説明できれば、紹介のハードルは下がります。あなたの仕事を初対面の人に10秒で説明するとしたら、何と言いますか。ここが答えられない場合、ホームページの問題というより、事業の説明そのものがまだ整理されていない可能性があります。
「口コミを増やす」より先に確認したいのは、事業を一言で説明できるか、どんな人に向いているか明確か、「こういうときに使ってほしい」が言えるか、店名・サービス名を覚えやすいか、紹介された人が確認できるページがあるか、そのページを見れば次の行動が分かるか。大企業は広告で名前を覚えてもらえますが、小さな事業は「○○のことなら、あの人」という小さなポジションを作るほうが強い。口コミは、SNSの機能ではなく、事業の記憶が人から人へ移動する現象です。その流れを意識して、ホームページもSNSもGoogleマップも整えていきたいところです。
