「ブランディング」と聞くと、ロゴを作る、色を決める、かっこいいホームページを作る、そんなイメージを持つ人もいるかもしれません。もちろん、見た目を整えることもブランディングの一部です。でも、それだけではありません。ブランディングは「どう見せるか」だけではなく、「何を大切にしている人・事業なのか」を伝えること。僕はそんなふうに考えています。
ブランドはロゴではない
ロゴは、ブランドを見分けるための大切な要素です。色や写真、デザインの雰囲気もそうです。でも、ロゴを見ただけでは、その会社やお店が何を大切にしているのかまでは分かりません。商品、接客、文章、写真、Webサイト、SNS、店舗の雰囲気。そうしたものが積み重なって、「このお店って、こういう感じだよね」という印象になります。たとえば「丁寧なお店」「相談しやすいお店」という印象は、ロゴだけを見て生まれたものではなく、実際の商品やサービス、人との接し方、発信している内容など、いろいろな接点から少しずつ作られています。ブランドは「相手の頭の中」にもあるのです。
まず「何を大切にしているか」を考える
デザインを考える前に、先に考えたいことがあります。なぜこの仕事をしているのか→何を大切にしているのか→誰に届けたいのか→どんな価値を提供したいのか→どういう存在として覚えてほしいのか。こうしたことが整理されていれば、その後のデザインや文章にも軸ができます。
「高級そうに見せる」ことが目的ではない、という点も大切です。高級感のあるデザインが合う仕事もあります。でも、本当は親しみやすさを大切にしているお店なのに高級ブランドのような見せ方をしたら、少し違和感が出るかもしれません。大切なのは「かっこいいか」より「その事業らしいか」です。見た目と中身がズレると、違和感も出ます。Webサイトだけものすごくきれいなのに、SNSでは全く違う雰囲気。「丁寧な仕事」を掲げているのに説明がほとんどない。「地域密着」を掲げているのに、地域で何をしているのかがどこにも書かれていない。デザインそのものが悪くなくても、受け取る側には「なんとなく違う」という印象が残ります。
触れる場所すべてが、ブランドになる
ブランドを考えるとき、Webサイトだけを見ると少し狭くなります。お店なら看板やショップカード、商品ならパッケージや同梱物、SNSなら投稿の写真や文章、問い合わせへの返信や実際の接客もそうです。人がその事業に触れる場所は、どこでも「その事業らしさ」を伝える場所になります。
小さな事業でも、ブランディングはできます。「うちは小さいから、ブランディングなんて必要ない」と思う人もいるかもしれませんが、むしろ小さな事業ほど「誰がやっているのか」が見えやすいという特徴があります。店主の考え方、商品へのこだわり、お客さんとの関係、地域との関わり。大きな企業と同じ方法でブランドを作る必要はなく、今あるものの中から「自分たちらしさ」を見つけて整えていけばいいのです。
まとめ
最初から「ブランド」を作ろうとしなくても大丈夫です。まずは今ある情報を並べてみます。どんな商品・サービスがあるか、どんな人がやっているか、なぜ始めたのか、何を大切にしているか、どんな人に来てほしいか、普段どんな発信をしているか、お客さんからどう見られているか。そこから「これは自分たちらしい」「これは少し違う」と整理していく。それだけでも、ブランドを考える最初の一歩になります。見直しのチェックとして、ロゴやデザインだけでブランドを考えていないか、何を大切にしているのか言葉にできるか、誰に届けたいのか分かっているか、WebとSNSで印象が大きくズレていないか、見た目と実際のサービスに違和感がないか、を確認してみてください。ブランディングは自分を大きく見せるためのものではなく、「自分たちは何者なのか」「何を大切にしているのか」「誰に届けたいのか」を整理して、いろいろな場所で同じ方向を向けるようにすること。その結果として印象が積み重なっていきます。
