AIを使うほど、紙に書く。便利になったからこそ、自分で考える時間を残したい
おまつの道具箱
AIを使っています。
文章を整理する。
アイデアを広げる。
情報をまとめる。
文章の構成を考える。
言い回しを変える。
調べものをするときの入口にする。
Webの仕事をしていると、AIを使う場面はかなり増えました。
便利です。
本当に便利。
昔なら何十分もかかっていたことが、数分で終わることもある。
だからこそ、
最近、紙に書くことが増えました。
ちょっと変な話です。
AIで便利になったのに、
僕はRhodiaを開いて、
ペンを持つ。
そして、
手で書く。
効率だけを考えたら、
少し遠回りです。
でも、
この遠回りが必要なことがあります。
AIに聞く前に、紙に書く
僕は最近、
「AIに聞けば早い」
と思う場面ほど、
一度紙に書くようにしています。
何に困っているのか。
何を決めたいのか。
何がわからないのか。
何を作りたいのか。
頭の中にあるものを、
とりあえず書き出す。
きれいな文章にする必要はありません。
箇条書きでもいい。
単語だけでもいい。
線を引いてもいい。
丸をつけてもいい。
途中で消してもいい。
とにかく、
頭の中から外へ出す。
それからAIに聞く。
この順番にすると、
AIから返ってくる答えも少し変わります。
AIは「考えること」を代わってくれるのか
ここは、少し難しいところです。
AIは文章を書いてくれる。
アイデアを出してくれる。
情報を整理してくれる。
比較してくれる。
計画を作ってくれる。
だから、
「考えることもAIに任せられる」
と思ってしまう。
でも、
僕は少し違うと思っています。
AIは、
「考えるための材料」
をものすごい速さで出してくれる。
でも、
「自分は何を考えたいのか」
まで全部決めてもらうと、
少し危ない。
なぜなら、
問題そのものを間違えている可能性があるからです。
答えより先に、問いがある
例えば、
「ホームページを作りたい」
という相談があったとします。
AIに聞けば、
ホームページの構成案を作ってくれる。
トップページ。
会社概要。
サービス。
実績。
ブログ。
お問い合わせ。
きれいな構成が出てくる。
でも、
本当に必要なのはホームページでしょうか。
もしかしたら、
問い合わせ方法を整理することかもしれない。
サービス内容を整理することかもしれない。
SNSとの役割分担を決めることかもしれない。
そもそも、
「誰に何を提供しているのか」
を整理することかもしれない。
つまり、
答えを出す前に、
「何を解決しようとしているのか」
を考える必要があります。
紙は、考える速度を落としてくれる
ここが、
僕が紙を好きな理由です。
手で書くのは遅い。
キーボードより遅い。
AIより圧倒的に遅い。
でも、
その遅さがいい。
一文字ずつ書く。
途中で止まる。
考える。
書き直す。
線を引く。
また考える。
この時間が、
自分の頭の中を確認する時間になる。
AIに文章を書いてもらうと、
きれいな文章が一瞬で出てくる。
でも、
「本当に自分はそう思っているのか」
を確認する時間が必要です。
紙は、
その確認を強制的にやらせてくれる。
速いことと、早く考えられることは違う
これは、
仕事でもよくあることです。
作業が速くなった。
でも、
判断が速くなったとは限らない。
文章を早く書ける。
でも、
何を書くべきか決まっていない。
Webサイトを早く作れる。
でも、
何のためのサイトなのかわからない。
AIで大量の文章を作れる。
でも、
誰に何を伝えたいのかわからない。
「作る速度」が上がると、
「考える時間」まで短くしてしまいがちです。
だからこそ、
僕は意識的に、
考えるところだけは遅くしています。
「いきなり作らない」
これは、
僕がWebの仕事でも大切にしていることです。
いきなりトップページを作らない。
いきなりデザインを始めない。
いきなり文章を書かない。
まず、
何のために作るのか。
誰のために作るのか。
何を伝えるのか。
どこへ誘導するのか。
どんな情報が必要なのか。
そこを整理する。
そして、
ようやく作る。
AIを使うようになって、
この考え方はさらに重要になったと感じます。
なぜなら、
「作ること」が以前より簡単になったからです。
作れるからこそ、作らない
AIを使えば、
かなりのものが作れます。
文章。
画像。
企画。
コード。
資料。
Webページ。
アイデア。
だから、
「とりあえず作ってみる」
が簡単になりました。
これはすごく良いことです。
でも、
作れるからといって、
作らなければいけないわけではない。
ここは意識しておきたい。
必要ないページを作らない。
必要ない文章を書かない。
必要ない機能を追加しない。
必要ないSNSを始めない。
必要ない業務を自動化しない。
便利になったからこそ、
「やらない」という判断にも価値があると思っています。
紙に書くと、AIへの指示も変わる
AIに何かを頼むとき、
「いい感じにしてください」
では、
いい感じの答えしか返ってきません。
もちろん、それでも役に立つことはあります。
でも、
自分の頭の中に、
ある程度の方向があると、
AIはもっと使いやすくなる。
例えば、
「誰に向けるのか」
「何を伝えたいのか」
「絶対に避けたいこと」
「最終的にどうなってほしいか」
これを先に紙に書いておく。
その上でAIに渡す。
すると、
AIは「自分の代わりに考えるもの」ではなく、
「自分の考えを整理する相手」
になってくる。
僕は、この使い方が結構好きです。
AIを「答えを出す機械」にしない
AIに、
「答えを教えて」
と聞く。
それも便利です。
でも、
「僕はこう考えている。抜けているところはある?」
と聞く。
「この案の弱点は?」
と聞く。
「別の見方をすると?」
と聞く。
「お客さんから見たらどう見える?」
と聞く。
「この構造に無理があるところは?」
と聞く。
こうすると、
AIとの関係が変わります。
答えをもらうだけではなく、
自分の考えをぶつけて、
揺さぶってもらう。
そのほうが、
僕には使いやすい。
AIは「壁打ち相手」に向いている
人間が一人で考えていると、
同じところをぐるぐる回ることがあります。
自分では、
「これが正しい」
と思っている。
でも、
少し離れて見ると、
前提がおかしい。
AIに見せると、
「別の可能性があります」
と言われる。
もちろん、
AIの答えが正しいとは限りません。
だから、
そのまま信じるのではなく、
「そういう見方もあるのか」
と受け取る。
そこから、
また自分で考える。
紙に書く。
整理する。
またAIに聞く。
この往復が面白い。
紙とAIは、対立しない
「紙かAIか」
という話ではありません。
僕は、
紙も使う。
AIも使う。
パソコンも使う。
iPhoneも使う。
それぞれ役割が違います。
紙は、
頭の中を外に出す。
AIは、
考えを広げる。
パソコンは、
形にする。
iPhoneは、
どこでも記録する。
道具には、
それぞれ得意分野があります。
だから、
一つの道具ですべてやろうとしない。
これも、
僕の道具選びの基本です。
紙には「検索できない」という弱点がある
もちろん、
紙は万能ではありません。
検索できない。
共有しにくい。
なくす可能性がある。
書き直しにくい。
大量に保存すると、
管理が大変になる。
だから、
全部を紙にする必要はない。
むしろ、
紙に向いている部分だけ使えばいい。
考え始める。
アイデアを出す。
構造を描く。
言葉を探す。
頭の中を整理する。
こういうところでは、
紙がすごく強い。
デジタルは「残す」のが得意
一方で、
デジタルは残すのが得意です。
検索できる。
コピーできる。
共有できる。
編集できる。
保存できる。
AIに渡せる。
Webに掲載できる。
だから、
紙で考える。
デジタルに整理する。
AIで広げる。
人間が判断する。
必要ならまた紙に戻る。
この循環が、
僕にはちょうどいい。
「紙に書いたもの」が完成品である必要はない
紙に書いたメモは、
誰かに見せるためのものではありません。
文章として完成していなくていい。
字が汚くてもいい。
途中で終わってもいい。
矢印だらけでもいい。
「なんか違う」
と書いてあってもいい。
むしろ、
そういう状態でいい。
頭の中にあるものを、
そのまま外に出す。
それが目的だからです。
きれいに整理しようとすると、
またそこで考え込んでしまう。
だから、
まず出す。
整理は、そのあと。
これはWebサイトにも同じことが言える
Webサイトを作る前に、
僕は紙にサイトマップを書くことがあります。
トップ。
サービス。
実績。
プロフィール。
お問い合わせ。
ブログ。
そこから、
「本当に必要?」
と考える。
「これはどこに置く?」
「このページとこのページは分ける?」
「この情報は一つにまとめる?」
「この人はどこから入ってくる?」
そうやって、
構造を作っていく。
いきなりデザイン画面を開くより、
ずっと考えやすい。
なぜなら、
「見た目」ではなく、
「関係」を考えられるからです。
Webサイトは、文章を書く前に構造がある
これは僕がWebの仕事で、
かなり大切にしていることです。
文章が上手いだけでは、
良いWebサイトにはなりません。
写真がきれいでも、
良いWebサイトになるとは限らない。
デザインがおしゃれでも、
使いやすいとは限らない。
まず、
情報の関係がある。
その上に、
文章が乗る。
デザインが乗る。
写真が乗る。
機能が乗る。
だから、
「何を書くか」
より前に、
「何を伝える構造なのか」
を考える。
紙は、
その構造を考えるのに向いています。
AIは、構造を作るのにも使える
ここは、
昔とかなり変わったところです。
紙に、
「サービス」
と書く。
その下に、
「Web制作」
「SNS」
「EC」
と書く。
さらに、
「誰向け?」
「何が違う?」
「どこまでやる?」
と書く。
そこでAIに、
「この構造で抜けている視点は?」
と聞く。
すると、
自分では気づかなかった可能性が出てくる。
また紙に戻る。
不要なものを消す。
必要なものを足す。
もう一度AIに見せる。
こういう使い方なら、
AIに主導権を渡さずに済みます。
AIに全部任せると、平均点に寄りやすい
AIは、
一般的にわかりやすい文章を作るのが得意です。
それは大きなメリットです。
でも、
一般的にわかりやすい文章は、
一般的な文章でもあります。
誰が書いても、
似たような表現になる。
似たような構成になる。
似たような言葉になる。
だからこそ、
「自分は何を考えているのか」
が必要になる。
AIに文章を作ってもらうこと自体が悪いわけではありません。
その前に、
自分の経験。
自分の判断。
自分の違和感。
自分の言葉。
そこがあるかどうか。
ここが重要なんだと思います。
「自分の考え」を先に置く
僕がAIを使うときに、
一番意識したいのは、
ここです。
AIに、
「何を書けばいい?」
と丸投げするのではなく、
「僕はこう考えている」
を先に置く。
それを整理してもらう。
反対意見を出してもらう。
不足を指摘してもらう。
文章にしてもらう。
それなら、
AIはかなり強い。
逆に、
自分の中に何もない状態で、
全部をAIに任せると、
「それっぽいもの」はできても、
「自分のもの」になりにくい。
便利になったからこそ、手間を残す
僕は、
「昔のやり方が正しい」
とは思っていません。
紙よりパソコンのほうが便利です。
AIはもっと便利です。
だから、
どんどん使えばいい。
でも、
全部を効率化する必要はない。
むしろ、
効率化しないほうがいい場所もある。
考える。
迷う。
書き直す。
悩む。
比べる。
立ち止まる。
こういう時間まで効率化してしまうと、
自分で考える機会が減ってしまう。
だから、
便利な道具を使いながら、
あえて少し不便な時間を残す。
僕は、それくらいがいいと思っています。
道具は、役割を決めると強くなる
紙に、
全部を保存しようとしない。
AIに、
全部を決めてもらおうとしない。
パソコンに、
全部を記憶させようとしない。
iPhoneに、
全部を通知させない。
それぞれの道具に、
役割を与える。
紙は考える。
AIは広げる。
パソコンは作る。
iPhoneはつなぐ。
人間は決める。
僕は、このくらいの分担が好きです。
「人間は決める」
結局、
ここに戻ってきます。
AIが、
10個の案を出してくれる。
その中から、
どれを選ぶか。
AIが、
文章を書いてくれる。
その文章を、
本当に公開するか。
AIが、
Webサイトの構成を作ってくれる。
その構成が、
自分の事業に合っているか。
AIが、
正しそうなことを言う。
それが、
本当に自分の状況に当てはまるか。
最後に判断するのは、
人間です。
だから、
「AIを使える人」
よりも、
「AIの答えを判断できる人」
のほうが、
これからは大切になるのかもしれません。
だから、紙に書く
AIを使うほど、
紙に書く。
これは、
AIに対抗するためではありません。
AIを使いこなすためです。
自分の頭の中にあるものを、
一度、自分の言葉にする。
それからAIに渡す。
返ってきたものを、
もう一度、自分で考える。
必要なら、
また紙に書く。
その繰り返し。
AIと人間の間に、
一枚の紙を置く。
僕には、
それくらいがちょうどいい。
AIは、
ものすごく便利です。
僕自身、
仕事でかなり使っています。
だから、
「AIを使わないほうがいい」
とはまったく思いません。
むしろ、
使ったほうがいい場面は多い。
ただ、
便利だからこそ、
自分で考える時間まで全部なくさないようにしたい。
答えを早く出す。
文章を早く作る。
情報を早く整理する。
それは、
AIに任せればいい。
でも、
何を考えるのか。
何を大切にするのか。
何を選ぶのか。
何をやらないのか。
そこは、
自分で決めたい。
Rhodiaを開く。
ペンを持つ。
少し考える。
うまく書けない。
消す。
また書く。
そのあとで、
AIを開く。
「こう考えているんだけど、どう思う?」
と聞く。
たぶん僕にとって、
AIとのちょうどいい距離は、
このくらいです。
便利な道具は、
便利に使う。
でも、
便利さに、
自分の考える時間まで持っていかれない。
道具は、
自分の代わりに生きてくれるものではない。
自分が考えて、
自分が決めて、
そのために使うもの。
だから今日も、
AIを使ったあとに、
紙に戻る。
そして、
自分の字で、
もう一度考える。
遅いけれど、
この時間は、
たぶん無駄じゃない。