万年筆は、書き手の癖を隠してくれない。
万年筆を使っていると、
自分の書き方の癖が、
よくわかります。
筆圧。
文字の大きさ。
書く速さ。
ペンを持つ角度。
文字の間隔。
右に流れる。
左に流れる。
少し強く押す。
急ぐと字が崩れる。
丁寧に書くと、
少しゆっくりになる。
自分では、
いつも通りに書いているだけなのに、
紙には、
その人の癖がかなり正直に残ります。
道具は、使う人を映す
万年筆だけではありません。
キーボードにも、
マウスにも、
カメラにも、
ギターにも、
仕事の道具にも、
使う人の癖が出ます。
よく使うショートカット。
ファイルの置き場所。
メールの書き方。
フォルダの名前。
写真の撮り方。
Webサイトの作り方。
SNSの投稿。
そこには、
その人の考え方が、
意外と残っています。
「使いにくい」と感じたとき、少しだけ自分を見る
仕事で、
「このツールは使いにくい」
と思うことがあります。
もちろん、
本当に使いにくいツールもあります。
でも、
一度くらい、
自分の使い方も見てみる。
毎回、
同じところで迷っていないか。
同じ作業を何度もやり直していないか。
同じ場所に情報が散らばっていないか。
同じミスを繰り返していないか。
そこには、
道具ではなく、
自分の仕事の癖が隠れていることがあります。
仕事には「無意識の癖」がある
例えば、
何かを始める前に、
とりあえず検索する。
思いついたら、
とりあえずSNSに投稿する。
困ったら、
新しいツールを探す。
資料を作るとき、
最初からデザインを始める。
ホームページを作るとき、
いきなりトップページを作る。
こういう行動は、
一つ一つを見ると、
それほどおかしくありません。
でも、
毎回そうしているなら、
それはもう、
仕事の癖です。
癖は、便利だから残る
人間は、
毎回考えるより、
慣れた方法を使ったほうが楽です。
だから、
一度うまくいった方法は、
繰り返します。
それ自体は、
悪いことではありません。
むしろ、
仕事を速くするために、
習慣は必要です。
問題は、
環境が変わっても、
昔のやり方を続けてしまうことです。
昔は必要だった作業が、今はいらないかもしれない
以前は、
電話で確認していた。
今は、
オンラインで確認できる。
以前は、
紙に印刷していた。
今は、
PDFで済む。
以前は、
一つずつ入力していた。
今は、
自動化できる。
以前は、
人に聞いていた。
今は、
検索できる。
道具が変わったのに、
仕事のやり方だけが、
昔のまま残っている。
こういうことは、
珍しくありません。
新しい道具を入れても、古い癖は残る
ここが、
面白いところです。
新しいAIを導入した。
新しいタスク管理ツールを導入した。
新しいホームページを作った。
でも、
仕事の進め方は、
以前と同じ。
すると、
新しい道具の上に、
古い仕事の癖が乗ります。
結果として、
「新しいのに、何だか面倒」
ということが起きる。
道具だけ変えても、使い方が変わらなければ同じ
例えば、
デジタル化したのに、
紙の書類と同じように、
全部を保存する。
AIを導入したのに、
文章を全部作らせて、
全部人間が修正する。
SNSの予約投稿を導入したのに、
投稿内容を毎回ゼロから考える。
ホームページを新しくしたのに、
古い情報をそのまま移す。
これでは、
道具が新しくなっただけです。
「新しくする」と「変える」は違う
ホームページをリニューアルする。
パソコンを買い替える。
スマートフォンを新しくする。
AIを導入する。
こういうことは、
目に見える変化です。
でも、
本当に必要なのは、
仕事のやり方を変えることかもしれません。
万年筆は、書き手に合わせて少しずつ変わる
万年筆を使っていると、
ペン先が、
その人の書き方に少しずつ馴染んでいきます。
だから、
同じモデルでも、
人によって、
少し違う書き味になることがあります。
これは、
道具が人に合わせて変わっていく、
ということでもあります。
仕事の道具も、
本当はこういう関係が理想なのかもしれません。
道具に合わせるのではなく、道具を馴染ませる
もちろん、
完全に自由な道具はありません。
サービスには仕様がある。
ソフトには制限がある。
Webにもルールがある。
でも、
その中で、
自分の仕事に合う使い方を探すことはできます。
どこまで自動化するか。
どこを自分でやるか。
どこを外注するか。
どこをやらないか。
自分の「書き癖」を見つける
文章を書くときにも、
癖があります。
同じ言葉を繰り返す。
説明が長くなる。
結論が後ろになる。
主語が抜ける。
一文が長い。
逆に、
短く切りすぎる。
これは、
文章だけの問題ではありません。
考え方の癖が、
文章に出ています。
Webサイトにも、作り手の癖が残る
Webサイトを見ると、
作った人の考え方が、
意外とわかります。
情報を細かく分ける人。
一つのページに全部入れる人。
写真を大きく使う人。
文章をたくさん書く人。
ボタンをたくさん置く人。
余白を大切にする人。
どれが正しいという話ではありません。
でも、
癖は出ます。
だから、テンプレートだけでは解決しない
テンプレートは、
とても便利です。
構成がある。
デザインがある。
必要な項目が揃っている。
だから、
ゼロから考えなくていい。
でも、
そのまま使えば、
必ず良いサイトになるわけではありません。
なぜなら、
中に入る情報が、
それぞれ違うからです。
「型」は使う。でも、型に入れるものを考える
これは、
文章でも、
Webでも、
デザインでも同じです。
型があることは、
悪くありません。
むしろ、
型があるから、
考えることに集中できます。
ただし、
「型があるから考えなくていい」
とは違います。
仕事の癖は、数字にも出る
面白いのは、
仕事の癖が、
数字にも現れることです。
問い合わせは多い。
でも成約しない。
アクセスは多い。
でも商品が売れない。
SNSの投稿は多い。
でも反応が少ない。
作業時間は長い。
でも成果が増えない。
こういうとき、
数字だけを見ていると、
「もっと増やそう」
となりがちです。
でも、先に「どこで詰まっているか」を見る
問い合わせが100件あって、
1件しか成約しないなら、
問い合わせ数を200件に増やすより、
成約までの流れを見たほうがいいかもしれません。
アクセスが多いのに、
問い合わせがないなら、
アクセスを増やす前に、
ページの内容を見る。
投稿数が多いのに、
反応がないなら、
投稿数ではなく、
内容や対象を考える。
癖は「量」ではなく「流れ」に出る
これは、
かなり重要だと思っています。
仕事がうまくいかないと、
「もっとやる」
となりやすい。
もっと投稿する。
もっと営業する。
もっと広告を出す。
もっと記事を書く。
もっとAIを使う。
でも、
問題が量ではなく、
流れにある場合があります。
ペンの持ち方を変えるだけで、書き味が変わる
万年筆で、
少しだけ持ち方を変えてみる。
角度を変える。
力を抜く。
速度を落とす。
それだけで、
書き味が変わることがあります。
道具を買い替えなくても、
使い方を変えるだけで、
結果が変わる。
これは、
仕事でもかなり使える考え方です。
「もっと頑張る」以外の選択肢
仕事が大変なとき、
「もっと頑張らなきゃ」
と思うことがあります。
でも、
その前に、
一つだけ聞いてみる。
「今のやり方を変えられないだろうか」
と。
順番を変える。
やめる。
まとめる。
分ける。
自動化する。
人に任せる。
時間を変える。
場所を変える。
それだけで、
負担が減ることがあります。
道具は、癖を教えてくれる
だから、
僕は道具を見るとき、
性能だけを見るのが、
少しもったいないと思っています。
その道具を、
自分はどう使っているのか。
どこで困るのか。
どこで気持ちいいのか。
どこで手が止まるのか。
何を繰り返しているのか。
そこを見る。
「使いにくい」は、改善の入口かもしれない
使いにくい。
面倒。
わかりにくい。
時間がかかる。
そう感じたとき、
すぐに別の道具を探してもいい。
でも、
一度だけ、
「なぜ使いにくいんだろう」
と考えてみる。
そこに、
自分の仕事の問題が見つかることがあります。
もちろん、道具が悪い場合もある
ここは、
ちゃんと分けておきたい。
すべてを自分のせいにする必要はありません。
本当に使いにくいサービスもあります。
設計が悪いものもある。
動作が遅いものもある。
必要な機能がないものもある。
サポートが悪いものもある。
そういう場合は、
変えていい。
大事なのは、
原因を見ずに、
「自分が悪い」
とも、
「道具が悪い」
とも、
決めつけないことです。
観察してから、変える
これが、
一番シンプルかもしれません。
困る。
↓
観察する。
↓
原因を考える。
↓
使い方を変える。
↓
それでもダメなら、
道具を変える。
この順番。
Webサイトも、同じように観察する
サイトをリニューアルする前に、
今のサイトを見てみる。
どのページが見られているか。
どこから来ているか。
どこで離脱しているか。
問い合わせはどこから来ているか。
更新されているか。
古い情報はないか。
スマートフォンで見やすいか。
必要な情報が見つかるか。
そうやって見ると、
「全部作り直す必要はない」
とわかることもあります。
整理するというのは、観察することでもある
僕が「整理」という言葉を使うとき、
単に、
物を片付けることだけを考えていません。
今、
何があるのか。
どう使っているのか。
何が必要なのか。
何が重複しているのか。
何が止まっているのか。
何がうまく機能しているのか。
まず、
そこを見る。
自分の癖がわかると、道具との関係が変わる
自分は、
文章が長くなりやすい。
写真を撮りすぎる。
ファイルを溜め込みやすい。
タブを開きすぎる。
SNSを見すぎる。
通知に反応しやすい。
こういうことがわかれば、
対策できます。
アプリを変える必要がない場合もあります。
道具は、弱点を隠すためではなく、補うために使う
これは、
かなり大事なところです。
道具で、
自分の弱点を完全になくす必要はありません。
忘れやすいなら、
リマインダーを使う。
文章を整理するのが苦手なら、
AIに構成案を出してもらう。
情報が散らかりやすいなら、
保存場所を一つに決める。
繰り返し作業が多いなら、
テンプレートを作る。
道具は、
自分を別人にするためではなく、
自分の仕事を支えるために使う。
最後に
万年筆は、
書き手の癖を隠してくれません。
むしろ、
その癖を、
紙の上に残してくれます。
でも、
僕はそれが悪いことだとは思いません。
自分の癖がわかるから、
直すこともできる。
活かすこともできる。
道具との付き合い方も、
変えられる。
仕事も同じです。
「このツールが悪い」
「このサイトが悪い」
「このサービスが使いにくい」
そう思ったとき、
一度だけ、
自分の使い方を見る。
何を繰り返しているのか。
どこで迷っているのか。
どこで止まっているのか。
何を当たり前だと思っているのか。
そこには、
自分でも気づいていなかった、
仕事の癖が残っているかもしれません。
道具は、
自分の代わりに仕事をしてくれるもの。
そう考えるだけでは、
少し足りない。
道具は、
自分がどう仕事をしているのかを、
教えてくれるものでもある。
だから、
新しい道具を探す前に、
今使っている道具を、
少しだけ眺めてみる。
そこに、
今の自分の仕事が、
そのまま映っているかもしれません。