「なんとなく好き」には理由がある|感覚を言葉にして店づくりやWebに活かす

SI — Structural Intelligence

買い物をしていて「こっちの色が好き」と選ぶ。お店を探していて「なんとなく、この店に行ってみたい」と思う。Webサイトを見ていて「なんとなく、この人に相談してみようかな」と思う。こういうことは普通にあります。僕は、この「なんとなく」をけっこう面白いものだと思っています。「なんとなく好き」は「理由がない」とは限らない。むしろ、まだ自分でも言葉にできていない理由が、いくつか重なっているのかもしれません。

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「なんとなく」の中身を分解してみる

本当に「何も理由がない」のでしょうか。写真の雰囲気かもしれない、言葉の使い方かもしれない、色かもしれない、店の空気かもしれない、人の感じかもしれない。あるいは、自分の過去の経験と何かがつながっているのかもしれません。その場ではそこまで考えていないから「なんとなく」になる。Webの仕事でも「なんとなく、こっちのデザインがいい」という話になることがあります。そこで「どこが好きなんだろう?」と考えてみる。写真の余白か、色の組み合わせか、文字の大きさか、情報の少なさか、それとも全体の空気なのか。一つずつ見ていくと「なんとなく」の中身が少し見えてきます。同時に大事なのは「自分は好き」と「誰にとっても良い」は別の話だ、ということです。

感覚を持つことと、感覚だけで決めることは違う

僕自身、最初は「なんとなく気になる」くらいだったものを、後から調べることがあります。「なんで、これが気になったんだろう?」と考えると「ああ、こういうところが好きだったのか」と気づくこともあるし、逆に「思っていたのと違うな」となることもある。だから感覚を大事にしながらも、感覚だけで決めないようにしています。気になる、見てみる、調べてみる、考えてみる——その過程が面白いんです。「好き」という感覚を正解にする必要もありません。自分はシンプルなデザインが好きでも、その仕事ではもっと情報を見せたほうがいいかもしれない。自分は文章が少ないほうが好きでも、初めて来る人にはもう少し説明が必要かもしれない。人との関係でも「なんとなく、この人と話しやすい」「なんとなく距離を置いたほうがいい気がする」と感じることがあり、その感覚を無視する必要はありません。「なんでそう感じたんだろう?」と少し考えることで、自分の感覚そのものも分かってきます。

仕事では、「なんとなく」を言葉にする

仕事では「なんとなく好き」をそのまま終わらせないようにしたい。「なんとなく好き」→「どこが好き?」→「なぜ、そう感じた?」→「それを他の人にも伝えるなら、どうする?」。ここまで考えると、感覚が仕事の材料になります。デザインでも、文章でも、Webサイトでも、店づくりでも考え方は似ています。最初の「なんとなく」を大事にする。でも、そのまま決めつけない。少し観察して、少し考えて、必要なら調べて、自分なりの言葉にしてみる。

「なんとなく」は、考えることをやめる言葉じゃありません。そこから考え始めるための最初の感覚なのかもしれない。何かを見て「なんか好きだな」と思ったときは、ちょっとだけ覚えておく。何が好きなんだろう、なぜ気になったんだろう、他の人にはどう見えるんだろう。そうやって考えていると、自分が何を大事にしているのかも少しずつ見えてきます。そして、こういう「好き」は、その人の仕事や店の個性にもつながっていく。僕はそこが面白いと思っています。

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