すぐに答えを出さない理由|間違った問題を解く前に、まず問いを整理する

SI — Structural Intelligence

仕事では、すぐに答えを出したほうがいい。そう思われることも多いと思います。「どうしたらいいですか?」と聞かれたら「こうしましょう」と答える。依頼されたらすぐに作り始める。問題があったらすぐに解決策を出す。仕事としては、そのほうが早そうです。

でも僕は、あえて少し立ち止まることがあります。すぐに答えを出さない。これは、仕事が遅いという話ではありません。答えを出す前に、「そもそも何を考えるべきなのか」を確認したいのです。

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「ホームページを作りたい」は、答えではない

例えば、「ホームページを作りたい」と相談されたとします。もちろん、ホームページを作ることはできます。でも僕は、そこでいきなり制作を始めるより、少し考えます。

なぜホームページが必要なのか。誰に見てもらいたいのか。見た人に、何をしてほしいのか。今ある情報で足りるのか。そもそも、本当にホームページが最優先なのか。こういうことを考えていくと、最初の相談内容とは少し違うところに問題があることがあります。だから僕は、「何を作るか」より先に、「何を解決したいのか」を考えます。答えを急ぐと、間違った問題を一生懸命解いてしまうからです。

相談されたことを、そのまま受け取らない

これは、相手の話を疑っているという意味ではありません。むしろ逆です。相手が言っていることの「奥にあるもの」まで、ちゃんと理解したいと思っています。

「SNSを頑張りたい」と言われたら、なぜSNSなのかを考える。「アクセスを増やしたい」と言われたら、アクセスが増えた先で何をしたいのかを考える。「もっと売りたい」と言われたら、商品なのか、伝え方なのか、届け方なのか、そもそもの設計なのかを考える。言葉として出てきた「依頼」と、本当に困っている「問題」は、同じとは限りません。だから、まず聞く。そして、整理する。それから、考える。

「考える時間」は、見えにくいものです。ページを作る、文章を書く、設定する、修正する。こういう作業には目に見える成果があります。でも、その前に考えている時間、つまり何を残すか、何を捨てるか、どの順番にするか、誰に伝えるか、どこまで説明するかを考えている時間も、僕にとっては仕事です。むしろ、ここを雑にすると、後から作り直すことになります。最初の10分を惜しんで、後から10時間かけて直す。それなら、最初に少し考えたほうがいい。

正解を押しつけず、選べる状態をつくる

「すぐに答えを出さない」というのは、何も決めないということではありません。ずっと考え続けることでもありません。必要な情報を集めて、状況を整理して、選択肢を見て、そのうえで決める。僕にとっては、その順番を大事にしているだけです。「考える」と「止まる」は、違います。考えるために立ち止まる。そして、考えたら動く。

もう一つ、僕が大事にしていることがあります。僕が整理したからといって、僕が全部決めるわけではありません。「こうしたほうがいいですよ」と一つの答えを押しつけるより、「今の状況なら、こういう選択肢があります」と見えるようにする。その中から、本人が選べるようにする。整理することは、答えを奪うことではなく、答えを選べるようにすること。だから僕は、「正解を教える人」より、「考えられる状態をつくる人」でありたいと思っています。

相談を受ける、話を聞く、情報を整理する、問題を考える、やることを決める、つくる、届ける、また見直す。僕が興味を持っているのは、この一連の流れです。たぶん僕はせっかちです。早く進めたいし、早く形にしたい。だからこそ、急いで間違った方向へ進むことはできるだけ避けたい。一度立ち止まって「本当にこっちでいい?」と確認する。そして「よし、こっちだ」と思ったら動く。僕にとっての「すぐに答えを出さない」は、そんな仕事の進め方です。

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