独立すれば、自由になる。以前の僕は、どこかそんなイメージを持っていました。自分の好きな仕事ができる。好きな時間に働ける。誰かに指示されない。もちろん、そういう部分もあります。
でも、実際に独立してみると、最初に感じたのは「自由」よりも、「全部、自分で考えないといけないんだな」ということでした。
仕事だけではなく、「仕事をつくる」必要がある
組織の中で働いていると、ある程度は仕事が用意されています。役割がある、担当がある、仕事の流れがある、誰かから依頼が来る。もちろん、組織の中でも自分で考えることはあります。でも独立すると、それだけではありません。
何を仕事にするのか。誰の役に立てるのか。どうやって知ってもらうのか。いくらで提供するのか。どうやって続けるのか。仕事そのものだけではなく、「仕事が生まれるところ」から考えなければいけない。これは、独立して初めて強く実感したことでした。
あわせて、「自分は何ができるのか」を考えるようにもなりました。独立すると、自分の肩書きだけでは仕事は来ません。「Webができます」だけでは、少し広すぎます。Webで何ができるのか、何を任せてもらえるのか、どんなことなら自分が役に立てるのか、逆に何はできないのか。会社にいるときは「自分の担当業務」が自分の仕事を説明してくれることがありますが、独立すると、それを自分の言葉で説明しなければいけません。これが、思っていた以上に難しかった。
自分の時間にも、値段がついている
独立して分かったことの一つに、「時間」の感覚があります。会社員のときは、働いた時間と売上の関係を、今ほど直接的には考えていませんでした。
独立すると、「この作業にどれくらい時間がかかるのか」を考えるようになります。打ち合わせ、メール、調査、制作、修正、更新、請求。表から見える「制作時間」だけが仕事ではありません。その仕事に関わっている時間すべてが、自分の仕事です。だから、ただ忙しくするのではなく、「何に時間を使うのか」を考えるようになりました。独立すると、時間は「空いているもの」ではなく、自分で使い道を決めるものになります。
「何でもやります」が、必ずしも良いわけではないことも分かりました。独立したばかりのころは、仕事をいただけること自体がありがたく、頼まれたことはできるだけやろうとします。でも、自分が得意ではない仕事に時間を使いすぎると、本当に力を発揮できる仕事に時間を使えなくなる。相手にとっても、必ずしも良いことではありません。そこで少しずつ、「何でもできます」から「自分が役に立てることを考える」へと意識が変わっていきました。
お客さんの「言葉の奥」を考えるようになった
独立して仕事をするようになると、直接相談を受ける機会も増えます。そこで気づいたのが、お客さんが口にしている「欲しいもの」と、本当に困っていることが、同じとは限らないということです。
「ホームページを作りたい」。その奥には、「何をしている会社なのか知ってほしい」があるかもしれない。「SNSをやりたい」。その奥には、「もっと活動を知ってほしい」があるかもしれない。「ネットショップを直したい」。その奥には、「何が問題なのか自分でも分からない」ということもあります。だから、依頼されたものをそのまま作るだけではなく、「そもそも何に困っているのか」を考えるようになりました。
独立する前は、仕事を「作業」として見ることもありました。でも、自分で仕事をつくり、直接人とやり取りするようになると、仕事は作業だけではないと分かります。相手の話を聞く、考えていることを整理する、自分の考えを伝える、一緒に決める、そして実際に形にする。その全部が仕事です。
今振り返ると、独立して一番変わったのは、働く時間でも、働く場所でもありません。「自分で選ぶ」という感覚が強くなったことです。どんな仕事をするのか、誰と仕事をするのか、どういう方法で進めるのか、どこまでやるのか、そして何をやらないのか。その積み重ねが、今の僕の仕事観をつくっています。独立して分かったのは、「自由」よりも「責任」。そして、「自分で選ぶ」ということでした。その中で少しずつ見えてきたのが、Webをつくることだけではなく、企画したり、編集したり、情報を整理したりすることが好きだということ。これは、独立しなければ気づかなかったかもしれません。
