「仕事は、もらえるなら何でもやる。」独立したばかりの頃は、そんなふうに考えていた時期もありました。仕事があることはありがたい。声をかけてもらえることもありがたい。だから、できることなら引き受けたい。
でも、仕事を続けていくと、少しずつ考え方が変わってきました。「できる仕事」と「やったほうがいい仕事」は、同じではない。そう思うようになってから、僕は仕事を断ることもあります。
断る理由は「嫌だから」だけではない
僕が仕事を断るとき、単純に「やりたくないから」という理由だけではありません。むしろ、「この仕事を僕がやることで、本当に良くなるのか?」と考えます。
例えば、作ること自体が目的になっている仕事。何のために作るのかが決まっていないのに、とにかく形だけ先に作ろうとしている仕事。あるいは、僕が関わるより、別の専門家にお願いしたほうがいい仕事。そういう場合は、無理に引き受けないほうがいいと思っています。
Webの仕事をしていると、いろいろな相談があります。Webサイトを作ってほしい、ページを直してほしい、SNSを設定してほしい、ネットショップを触ってほしい、文章を書いてほしい。技術的にできることであれば、最初は「やります」と言いたくなります。でも、「できる」ことと、「自分が引き受けるべき仕事」は別です。
僕の仕事の基準
仕事を考えるとき、僕が気にすることがあります。
一つ目は、何のための仕事なのか。目的が見えないまま、作業だけを始めない。二つ目は、誰のための仕事なのか。作る側だけが分かっていても、意味がない。三つ目は、その先に何があるのか。完成することではなく、その後に使えることを考える。四つ目は、自分が役に立てる仕事なのか。できることではなく、役に立てることを考える。五つ目は、無理なく続けられる仕事なのか。一度できるかではなく、ちゃんと続けられるかを見る。
もちろん、毎回すべてが完璧に揃っているわけではありません。でも、このあたりを考えてから引き受けるようになりました。
断ることは、仕事を減らすことではない
「仕事を断ったら、仕事が減るんじゃないか。」独立していると、そう考えてしまうことがあります。でも、合わない仕事を無理に引き受けて、中途半端な結果になったら、それは相手にとっても良くありません。自分の時間も使います、相手の時間も使います、お金も動きます。だから、「やらない」という判断も、仕事の一部だと思うようになりました。
仕事を選ぶというのは、自分に都合のいい仕事だけを選ぶことではありません。「自分が関わる意味がある仕事」を、ちゃんと考えることだと思っています。
独立したばかりの頃は、「何でもできます」と言いたくなります。仕事が欲しいから、役に立ちたいから、自分にできることを知ってほしいから。でも今は、何でもできる人になることより、「自分は、こういうところで役に立てる」と言えることのほうが大事だと思っています。
仕事を断ることは、最初は少し怖いものです。でも、何を断るかを考えると、逆に「何を大切にしたいのか」が見えてきます。僕の場合は、「作ること」だけではありませんでした。考えること、整理すること、伝わる形にすること、そして、その先で人が動ける状態をつくること。それが、自分の仕事として少しずつ残ってきました。
