伝えたいことを全部伝えれば伝わる、わけではありません。事業をしている側には、商品の特徴、サービスの内容、経験、こだわり、料金、実績と、たくさん伝えたいことがあります。でも、お客さんが最初から全部知りたいとは限りません。こちらが伝えたい情報と、相手が今知りたい情報は違う。ここを分けて考える必要があります。
最初の情報には「自分との関係」を見つけられる入口が要る
人が情報を見るとき、最初から全部理解しようとしているわけではなく、まず「これは自分に関係あるかな?」と判断しています。だから最初の情報には、相手が自分との関係を見つけられる入口が必要です。「Webサイト制作をしています」よりも、「ホームページはあるけれど、何を直せばいいか分からない方へ」のほうが、当てはまる人は立ち止まりやすい。また、特徴は意味に変換して伝えます。「軽量設計です」は特徴ですが、「持ち歩いても負担になりにくい」となれば使う場面が見え、「仕事帰りにそのまま持って移動したい人にも使いやすい」となれば相手との関係が具体的になります。専門用語も相手の言葉に置き換えます。「Webサイトの導線設計」より、「ホームページを見た人が、次に何をすればいいのか分かるようにすること」のほうが伝わるかもしれません。そして、「あなたの悩みを解決します!」と強く言うより、「ホームページを作ったけれど、ほとんど更新していない」「お客さんから同じ質問を何度も受ける」といった具体的な状況を示すほうが、相手は自然に「あ、これ自分のことかも」と気づけます。
全部を伝えない勇気と、相手の段階に合わせること
初めて来た人に必要なのは、何をしているのか、自分に関係があるのか、どんな価値があるのか、どう利用できるのか、という情報かもしれません。細かな歴史や想いは、その後でもいい。情報は「全部載せる」のではなく、「今必要なものを出す」ことが大切です。また、必要な情報は相手の段階によって変わります。初めて知った人には「これは何?」、興味を持った人には「自分に合う?」、比較している人には「他と何が違う?」、購入直前の人には「どうやって買う?」が必要です。何を発信すればいいか分からないなら、まず伝えたいことを全部書き出して、「今すぐ必要な情報」「興味を持った人が知りたい情報」「もっと深く知りたい人向けの情報」の3つに分けてみてください。優先順位が見えてきます。
まとめ
伝えるというと、文章を書く、写真を増やす、説明を追加するというイメージがあります。でも実際には、必要のない情報を減らす、似た情報をまとめる、専門用語を言い換える、重要な情報を上に持ってくる、という整理も立派な「伝える」です。情報が多すぎる今の時代には、「何を言うか」と同じくらい「何を言わないか」が重要なのだと思います。
