僕は、編集することが好きです。ただ、ここでいう「編集」は、文章の誤字を直すことだけではありません。何があるのかを見つけて、必要なものを選んで、順番を考えて、組み合わせて、誰かに伝わる形にする。僕にとっては、これも全部「編集」です。
編集は、足すことだけではない
「編集」と聞くと、本や雑誌の記事を作る人を思い浮かべる人も多いと思います。僕ももちろん文章を編集します。誤字を直したり、読みやすくしたり、見出しをつけたり、順番を変えたり。でもWebの仕事をしていると、編集する対象は文章だけではありません。写真、商品、ページ、SNSの投稿、メニュー、プロフィール、お店の情報、人の経験。いろいろなものを編集します。編集とは、選ぶ、並べる、つなぐ、ときには削ることなのだと思います。
情報は「ある」だけでは伝わらない
仕事をしている人のところには、たくさんの情報があります。自分のこと、商品のこと、お客さんのこと、今までやってきたこと、これからやりたいこと。本人にとってはどれも大切ですから、全部載せたくなる。その気持ちは分かります。でも、全部を同じ強さで出してしまうと、見る人は迷ってしまうことがあります。例えば「この店は何の店なのか」が分からないまま、詳しいこだわりを読んでもらうのは難しい。逆に、最初に「何の店なのか」が分かれば、その後のこだわりにも興味を持ってもらえるかもしれません。同じ情報でも、出す順番が変わるだけで受け取られ方は変わります。だから編集は「何を入れるか」だけではなく、「どの順番で出会ってもらうか」を考える仕事でもあります。情報を減らすことが目的ではなく、必要な人が必要な情報に出会いやすくするために編集するのです。
編集すると、本人にも見えてくる
編集の面白いところは、見る人だけのためではないところです。情報を並べ直していると、仕事をしている本人にも「あ、自分ってこういうことをやってきたんだ」と見えてくることがあります。これまで当たり前だと思っていた経験が実はその人の強みだったり、逆に、ずっと大事だと思っていたことが今の仕事にはあまり必要ではなかったり。人の話も編集できます。今やっていること、昔やっていたこと、失敗したこと、好きなこと、困っていること、本当はやってみたいこと。本人にとっては別々の話でも、聞いている側からすると「それって、実はつながってないですか?」と思うことがある。バラバラに見えていた経験が一本の線になる瞬間に、僕は編集の面白さを感じます。
削るのではなく、居場所を変える
編集をしていると、どうしても削る場面があります。でも削るのは難しい。作った本人からすると一つひとつに理由があって、「これは大事だから」「せっかく作ったから」「知ってほしいから」は全部もっともです。だから僕は「いらないから消しましょう」と簡単には言いたくありません。それより「これは誰にとって、いつ必要なんだろう?」と考えます。今いらないのか、後で必要なのか、別の場所なら活きるのか。削るというより、居場所を変える。そんな考え方をすることもあります。また、きれいに整理することと、きれいにしすぎることは違います。少し不器用な言葉、独特な言い回し、その人にしかない経験、ちょっとしたクセ。そういうものが実は一番大事だったりするので、その人らしさを消さない編集を心がけています。
まとめ
編集には、いつでも一つの正解があるわけではありません。誰に見せるのか、何を伝えたいのか、どんな場所で使うのか、どんな人が運用するのか。それによって、ちょうどいい形は変わります。最近はAIでも文章をまとめたり構成を考えたりできますが、「そもそも何を残すのか」「誰に見せるのか」「何を先に伝えるのか」「この人らしさはどこにあるのか」という判断は、その仕事や人を理解していないとできません。僕は、情報をきれいに並べたいだけではありません。その人が持っているものを見つけて、必要なところに置いて、次の人に届く形にしたい。だから、編集することが好きなのです。
