「何を作ればいいですか?」
仕事をしていると、そう聞かれることがあります。もちろん、僕が考えて提案することもできます。でも、すべてを僕が決めてしまうのは、あまり好きではありません。逆に、「言われたものだけ作ります」という仕事も、ちょっと違う。その間くらいが、僕にはちょうどいい。一緒に考えて、一緒に整理して、一緒に「これでいこう」と決める。僕が仕事をするときの人との関わり方は、だいたいそんな感じです。
「これを作ってください」の前に
Web制作の仕事では、「これを作ってください」という依頼から始まることがあります。それ自体は悪いことではありません。仕様が決まっていて、その通りに作る仕事もあります。
ただ、僕がこれまでやってきた仕事では、そこだけでは終わらないことが多かったように思います。なぜこれを作るのか。誰に見てもらうのか。何を一番伝えたいのか。今ある情報で足りるのか。もっと別のやり方がないか。こういうことを考え始めると、依頼された内容そのものを一度見直す必要が出てきます。だから僕は、「依頼されたものを作る」より、「依頼されたことを一緒に考える」ほうがしっくりきます。「これを作ってください」の前に、「何をしたいんでしたっけ?」を考える。
答えは、持ち寄るもの
ここは、「一緒につくる」という言葉で誤解されたくないところです。僕が相手の事業や活動について、すべて決めたいわけではありません。むしろ、その人にしか分からないことはたくさんあります。お客さんのこと、商品のこと、現場のこと、これまでやってきたこと、これからやりたいこと。そこは、僕より本人のほうが詳しい。
一方で、Webや情報整理、伝え方や構成については、僕のほうが考えやすい部分があります。だから、相手が持っているものと、僕が持っているものを持ち寄る。そのほうが、一人で考えるよりもいい形になることがあります。
「正解を持っている人」になりたいわけでもありません。経験から「こうしたほうが分かりやすい」「これは情報が多すぎる」「この順番のほうが伝わりやすい」と言えることはあります。でも、事業や活動そのものの答えを僕が全部知っているわけではありません。分からないことは聞く。判断できないことは一緒に考える。必要なら調べる。「何でも知っています」という顔をするより、「ここから一緒に考えましょう」と言えるほうが、僕には自然です。
任せるところと、一緒に考えるところを分ける
もちろん、僕に任せてもらったほうが早いこともあります。Webの設定や技術的な作業などは、こちらで進めたほうがいい場合もあります。でも、「全部こちらでやります」だけにしてしまうと、相手が自分の事業について考える機会がなくなってしまうことがあります。それでは、Webサイトが完成しても、次に何をすればいいのか分からなくなるかもしれません。
僕が目指したいのは、「任せてもらうところ」と「一緒に考えるところ」を分けること。作業は任せてもらう。判断は一緒に考える。そんな関係が、長く続けやすいと思っています。
もちろん、人によってちょうどいい距離は違います。「細かいことは任せたい」という人もいる。「自分で全部決めたい」という人もいる。どれが正しいという話ではありません。大事なのは、「自分のやり方に相手を合わせる」ことではなく、「その人にとって進めやすい関わり方を探す」こと。仕事は、完成品だけではできていません。完成に至るまでの、考える時間、話した時間、選んだ時間も含めて、一つの仕事だと思っています。
