仕事をしていると、「何をつくればいいですか?」と聞かれることがあります。ホームページをつくりたい、SNSを始めたい、ネットショップをつくりたい。もちろん「じゃあ、つくりましょう」でもいいんです。でも僕は、その前に一つ聞きたくなります。「それは、何のためにつくるんですか?」
つくることが目的になっていないか
ホームページをつくる、Instagramを始める、名刺をつくる。こういうものは、つくった瞬間に「やった感」があります。だからこそ、つくること自体が目的になりやすい。でも、本当に大切なのはその先です。ホームページをつくって、誰に見てもらいたいのか。何を知ってもらいたいのか。見た人にどうしてほしいのか。そこが決まっていないと、どんなにきれいなものをつくっても、なかなか動きません。
「何をするか」を考える前に、「なぜするか」を考える。これは大げさな理念の話ではありません。「ホームページが必要だから」ではなく、「ホームページを使って、何を解決したいのか」を考える。「Instagramをやったほうがいいから」ではなく、「Instagramで誰と、どんな関係をつくりたいのか」を考える。目的が変われば、つくるものも変わります。
「問題を解決する」より前にあること
世の中では「問題解決」という言葉をよく使います。もちろん大切です。でも僕は、その前にやることがあると思っています。そもそも何が問題なのか。本当に困っているのは何なのか。誰が困っているのか。なぜ困っているのか。今すぐ解決する必要があるのか。そこを整理しないまま、いきなり解決策を出してしまうと、一生懸命なのになんとなくズレることがあります。だから僕は「解決する前に、ほどく」という感覚を大切にしています。
相談を受けていると、最初は話があちこちに飛ぶことがあります。話している本人も、何が一番大事なのかわからなくなっている。でもそれは、頭の中に材料がたくさんあるからこそ散らかっているだけだったりします。一度外に出してみる。言葉にしてみる。順番を変えてみる。すると「あ、これだ」というものが見えてくる。僕が好きなのは、その瞬間です。
Webは、道具の一つ
僕はWebの仕事をしてきました。Webは好きです。でも、Webを特別視しているわけではありません。Webサイトは道具です。SNSも道具です。AIも、これからますます身近になるでしょう。ハンマーを買ったからといって家が完成するわけではないように、新しいWebサービスを導入したからといって事業がうまくいくわけではありません。大切なのは「何をしたいのか」です。その目的に合う道具を選ぶ。必要なければ、使わない。そのくらいでいいと思っています。
もう一つ大切にしているのは、「今できることから考える」こと。最初から完璧な仕組みをつくろうとすると、動けなくなることがあります。今できることを一つ。それでいい。一つ動けば、次にできることが見えてきます。「完璧にしてから動く」より「動きながら整える」ほうが好きです。
小さな事業には、小さな事業のやり方がある
大きな会社と、一人でやっている仕事、家族でやっているお店では、同じ方法がそのまま使えるとは限りません。人手も、予算も、時間も、得意なことも違う。「大企業ではこうしているから」ではなく、「この人たちなら、どうすれば無理なく続けられるか」を考える。立派な仕組みをつくることより、ちゃんと続く仕組みをつくる。僕はそちらを大切にしたい。
結局、僕がやりたいのは、何かを「完成させること」だけではありません。その先に、人が動ける状態をつくりたい。何をすればいいかわからない状態から、「まず、これをやってみよう」と思える状態へ。「何かつくりたい」と思ったときこそ、その前に少しだけ立ち止まってみる。その時間を、僕は一緒につくっていきたいと思っています。
