Canvaを使えばデザインができる、とは限らない
Canvaは便利です。
SNSの画像を作る。
チラシを作る。
プレゼン資料を作る。
名刺を作る。
簡単なWebページを作る。
動画を作る。
いろいろなものが作れます。
以前なら、専門的なソフトを使わなければ難しかったことが、かなり簡単になりました。
テンプレートもたくさんあります。
写真を入れる。
文字を変える。
色を変える。
ロゴを入れる。
これだけでも、それらしいものができます。
僕自身も、Canvaのようなツールは便利だと思っています。
ただ、
「Canvaを使えばデザインができる」
という言い方には、少し違和感があります。
なぜなら、
「作れること」と「デザインすること」は、同じではないからです。
テンプレートは答えではなく、材料
Canvaには、たくさんのテンプレートがあります。
おしゃれなもの。
シンプルなもの。
かわいいもの。
高級感のあるもの。
イベント向け。
飲食店向け。
ビジネス向け。
用途に合わせて選べます。
これは非常に便利です。
でも、テンプレートを選んだだけで、
「自分の事業に合ったデザイン」
になったわけではありません。
テンプレートは、あくまで出発点です。
そこから、
何を伝えるのか。
誰に見せるのか。
何を一番目立たせるのか。
どこまで情報を入れるのか。
どんな印象を残したいのか。
を考える必要があります。
「全部入れる」は、親切とは限らない
チラシを作るときによくあるのが、
「せっかくだから全部入れよう」
という考え方です。
商品名。
説明。
価格。
住所。
電話番号。
営業時間。
SNS。
QRコード。
キャンペーン。
写真。
お店のこだわり。
アクセス。
注意事項。
全部必要に思えてきます。
でも、情報を増やすほど、見る人が迷うことがあります。
例えばイベントのチラシなら、
「いつ、どこで、何があるのか」
が最初にわかれば十分かもしれません。
細かい説明は、WebサイトやSNSに置けばいい。
つまり、
「何を載せるか」
だけではなく、
「何を載せないか」
もデザインです。
デザインは「飾ること」ではない
デザインという言葉を聞くと、
色。
フォント。
写真。
装飾。
レイアウト。
こういうものを想像する人が多いと思います。
もちろん、それもデザインです。
でも、僕はもう少し広く考えています。
「見る人が、迷わず理解できるようにすること」
もデザインです。
例えば、
この商品は何なのか。
誰向けなのか。
いくらなのか。
どこで買えるのか。
何をすればいいのか。
これが一目でわかるなら、それはかなり良いデザインです。
逆に、ものすごくおしゃれでも、
「結局、何なの?」
となれば、目的を果たしていません。
おしゃれと伝わるは、別のもの
これはWebサイトでもよくあります。
見た目はすごくきれい。
写真もきれい。
アニメーションもある。
フォントもかっこいい。
でも、
「何をしている会社なのか」
が最初の画面ではわからない。
こういうサイトがあります。
もちろん、ブランドによっては、
「雰囲気を感じてもらう」
こと自体が目的の場合もあります。
だから、必ずしも説明が多ければいいわけではありません。
でも、小さな事業のWebサイトでは、
「何の仕事をしているのか」
「誰に向けているのか」
「どう連絡すればいいのか」
くらいは、できるだけ早くわかったほうがいい。
デザインは、見た目を良くするためだけではありません。
情報を伝えるための設計でもあります。
Canvaで一番大事なのは、操作方法ではない
Canvaの使い方は、調べればかなり出てきます。
文字を入れる。
写真を配置する。
色を変更する。
画像を書き出す。
テンプレートを複製する。
これらは、覚えればできます。
でも、
「どこに何を置くのか」
は、操作方法だけでは決まりません。
例えば、
「タイトルを大きくする」
という操作は簡単です。
でも、
「なぜタイトルを大きくするのか」
は別の話です。
一番伝えたい情報だから。
イベント名を覚えてほしいから。
商品名を認識してほしいから。
その理由があります。
操作を覚えることと、判断できることは違います。
「この文字、もっと大きくしたほうがいい?」
Canvaを使っていると、
「この文字、もっと大きくしたほうがいいかな?」
と迷うことがあります。
ここで、
「なんとなく大きくする」
のではなく、
「この情報は、見る人にとってどれくらい重要なのか」
と考えてみます。
重要なら大きくする。
重要ではないなら、小さくする。
補足なら、目立たせない。
行動してほしいなら、見つけやすくする。
つまり、
「重要度」
に合わせて見た目を変える。
これが情報設計です。
デザインには「順番」がある
人は、画面を全部同じ強さで見ません。
最初に目に入るもの。
次に見るもの。
最後に確認するもの。
自然に順番があります。
例えばイベント告知なら、
イベント名
↓
開催日
↓
場所
↓
何ができるか
↓
料金
↓
詳しい情報
という順番かもしれません。
この順番を考えず、
「空いているところに文字を入れていく」
と、情報が散らかります。
Canvaには自由に配置できる機能があります。
だからこそ、
「自由に置ける」
ことと、
「自由に置いていい」
ことを混同しないほうがいい。
色も「好き」だけで決めなくていい
色を選ぶのも同じです。
「この色が好きだから」
という理由でも構いません。
個人の活動なら、それも大事です。
でも事業で使うなら、
「この色は何を表すのか」
を考えると、さらに整理しやすくなります。
ブランドカラー。
背景色。
文字色。
強調色。
注意色。
リンク色。
役割を決める。
色をたくさん使うことが悪いわけではありません。
ただ、
「全部目立たせたい」
となると、結局どれも目立たなくなります。
フォントも「かっこいい」だけでは選ばない
Canvaにはフォントも大量にあります。
これも楽しいところです。
僕も文字を見るのは好きです。
でも、
「このフォントがかっこいい」
だけで選ぶと、全体とのバランスが崩れることがあります。
例えば、
かわいい商品なのに硬すぎる書体。
高級感を出したいのにカジュアルすぎる書体。
長文なのに読みにくい書体。
小さく表示したら潰れてしまう書体。
重要なのは、
「その文字が何をするのか」
です。
タイトルなのか。
説明文なのか。
数字なのか。
注意書きなのか。
役割によって、読みやすさも変わります。
SNS画像は「情報を全部載せる場所」ではない
特にInstagramやSNSの画像では、
「画像だけ見れば全部わかるようにしたい」
と思うことがあります。
でも、全部入れると画像が説明書のようになります。
SNSでは、
「続きを見てもらう」
という設計もできます。
画像では興味を持ってもらう。
本文で詳しく説明する。
Webサイトで正式な情報を見る。
ショップで購入する。
このように役割を分ける。
一枚の画像だけで全部を完結させようとしなくてもいい。
AI画像生成でも、同じことが言える
最近はAIで画像を作ることも簡単になりました。
これもCanvaと似ています。
「きれいな画像を作る」
こと自体は、以前よりずっと簡単です。
でも、
「その画像を何に使うのか」
は別問題です。
Webサイトのトップ画像なのか。
SNS投稿なのか。
広告なのか。
商品画像なのか。
イベント告知なのか。
目的が違えば、必要な画像も違います。
画像生成AIに、
「おしゃれな画像を作って」
と頼めば、おしゃれな画像は作れるかもしれません。
でも、
「何のための画像なのか」
までは、こちらが決める必要があります。
「作る前に、使う場所を決める」
これは、僕がWebでもかなり大事にしている考え方です。
先に画像を作って、
「さて、どこに使おう?」
と考える。
これを繰り返すと、素材が増えていきます。
画像フォルダがいっぱいになる。
似た画像が増える。
どれを使えばいいかわからなくなる。
だから、
「この場所で使う」
という目的を先に決める。
その上で作る。
これはCanvaでも、AIでも、写真でも同じです。
デザインは「足し算」より「引き算」が難しい
デザインツールを使っていると、
「もう少し何か足したい」
という気持ちになります。
アイコンを入れる。
線を入れる。
写真を追加する。
色を追加する。
装飾を追加する。
でも、実際には、
「一つ消したほうが伝わる」
ことがあります。
タイトルを一つにする。
色を減らす。
写真を一枚にする。
説明を短くする。
ボタンを一つにする。
こうすると、急に見やすくなることがあります。
何かを作るときは、
「何を足そう?」
だけではなく、
「何を消せる?」
と考えてみる。
これはCanvaに限らず、Webサイトでも同じです。
「作れる」から「作る」を増やさない
Canvaが便利なのは、
「作ろうと思えば作れる」
ことです。
だからこそ、作りすぎには注意したい。
毎週違うデザインにする。
投稿ごとに色を変える。
イベントごとにテンプレートを変える。
全部を一から作り直す。
こうすると、活動そのものより、
「デザインを作る仕事」
に時間を使うようになります。
継続的に発信するなら、
ある程度のルールを決める。
文字の位置。
色。
写真の比率。
ロゴの位置。
タイトルの考え方。
こうしたものを決めておくと、毎回ゼロから考えなくて済みます。
テンプレートを「自分の仕組み」にする
Canvaのテンプレートは、単にデザインを楽にするためだけのものではありません。
自分の活動のルールを入れることもできます。
例えば、
イベント告知用。
商品紹介用。
活動報告用。
お知らせ用。
プロフィール用。
このくらいに分けておく。
すると、
「今回はどのテンプレート?」
と選ぶだけで済みます。
これは小さな事業ほど有効だと思います。
毎回プロのデザイナーに依頼しなくても、
「最低限の品質を保ちながら、自分で更新できる」
状態を作れるからです。
ただし「自分でできる」と「自分でやる」は違う
Canvaを使えば、自分でデザインできます。
でも、
「自分でできるから、全部自分でやらなければいけない」
わけではありません。
自分でやったほうがいいもの。
自分でやれるけれど、時間を考えたら頼んだほうがいいもの。
専門家に任せたほうがいいもの。
これも分けていい。
例えば日々のSNS投稿画像なら自分で作る。
ブランドロゴや重要なサイト設計は専門家に相談する。
そんな役割分担もあります。
道具が簡単になったからといって、専門家が不要になるわけではありません。
むしろ、
「どこまで自分でやるかを決める」
ことが重要になります。
デザインに正解は一つではない
これも忘れたくありません。
「このデザインが正解」
というものが、いつでもあるわけではありません。
ブランドによって違う。
客層によって違う。
商品によって違う。
場所によって違う。
SNSによっても違う。
だから、他人のデザインをそのまま真似するより、
「なぜ、このデザインになっているのか」
を見るほうが参考になります。
余白が広い。
文字が大きい。
写真が一枚。
色が少ない。
その理由がある。
そこを考える。
これはWebサイトを見るときにも同じです。
Canvaは「デザインを自動化する道具」ではない
僕はCanvaを、
「デザインを自動でやってくれる道具」
というより、
「デザインを自分で試せる道具」
として考えています。
これは大きな違いです。
自分で試す。
並べる。
比べる。
直す。
削る。
また試す。
こういうことが簡単にできる。
以前なら専門ソフトの操作を覚える必要があった。
今は、そのハードルがかなり下がっています。
これは本当にありがたいことです。
でも、判断まで自動になったわけではありません。
デザインツールが簡単になったからこそ
僕がCanvaについて一番面白いと思うのは、
「デザインができる人を増やした」
ことだけではありません。
「自分の情報を、自分で形にできる人を増やした」
ことだと思っています。
これは小さな事業にとって大きい。
ちょっとしたイベント告知。
新商品の紹介。
営業時間変更。
お知らせ。
日々の活動。
こういうものを、自分で発信できる。
それだけでも十分価値があります。
ただし、
「作れるようになった」
からこそ、
「何を作るのか」
を考える必要があります。
Canvaを開く前に考えること
僕なら、Canvaを開く前に、
「これは何のために作るんだっけ?」
と考えます。
次に、
「誰が見るんだっけ?」
そして、
「一番伝えたいことは何だっけ?」
最後に、
「見た人に何をしてほしい?」
ここまで決まれば、かなり作りやすくなります。
逆に、ここが決まっていないなら、
Canvaを開く前に紙に書いたほうが早いかもしれません。
道具が簡単になったから、考えることをやめない
Canva。
AI。
WordPress。
SNS。
いろいろなWebツールが、以前よりずっと使いやすくなりました。
これは、とてもいいことです。
専門家でなくても、自分の仕事を伝えられる。
自分で試せる。
自分で直せる。
小さな事業でも、発信できる。
その自由は大切にしたい。
でも、
「簡単に作れる」
ことと、
「何を作るべきかが決まっている」
ことは別です。
だから僕は、Canvaを使うときも、
「何を作れるか」
より、
「何を伝えたいか」
を先に考えたい。
デザインは、飾ることだけではありません。
情報を整理して、
見る人に、
「これが大事なんだ」
と伝えること。
そして、
「次に何をすればいいのか」
を迷わなくすること。
Canvaは、そのための便利な道具です。
だからこそ、道具に答えを求めすぎない。
自分で考える。
必要ならAIに相談する。
Canvaで形にする。
実際に使ってみる。
そして、必要なら直す。
そのくらいの距離感が、ちょうどいいのだと思います。
「Canvaを使えばデザインができる」
ではなく、
「Canvaがあるから、自分の考えを形にしやすくなった。」
僕は、そんな使い方をしていきたいと思っています。