古い道具を捨てない理由。新しいものが、いつも正解とは限らない。

古い道具を捨てない理由。新しいものが、いつも正解とは限らない。

新しいものが好きだ。

新しいMac。

新しいiPhone。

新しいソフト。

新しいAI。

新しいWebサービス。

新しい道具を見ると、ちょっと楽しくなる。

「これ、使ったら仕事が変わるかもしれない」

そんな期待もする。

でも一方で、

古い道具をなかなか捨てられない。

長く使っているペン。

昔から使っているノート。

何年も使っている仕事道具。

少し傷がついていても、そのまま使っているものがある。

目次

新しいものが嫌いなわけではない

むしろ逆だ。

新しいものを見るのは好きだ。

技術が進歩するのも面白い。

昔なら何時間もかかったことが、数分でできるようになる。

以前なら専門家に頼らなければできなかったことが、自分でできるようになる。

AIもそうだ。

仕事のやり方を変える可能性がある。

だから、新しいものを否定したいわけではない。

ただ、

「新しい=正しい」

ではないと思っている。

道具は、時間と一緒に変わっていく

買ったばかりの道具には、まだ自分の歴史がない。

きれいだ。

傷もない。

使い方も分からない。

でも、使い続けると変わってくる。

どこに置くか決まる。

どう使うか決まる。

自分なりの癖がつく。

少し傷がつく。

手になじむ。

その道具を使って、いろいろな仕事をする。

すると、

「道具そのもの」

だけではなく、

「その道具と一緒に過ごした時間」

が積み重なっていく。

傷は、故障とは限らない

ペンに傷がある。

机に傷がある。

ギターに傷がある。

時計にも、長く使えば小さな傷がつく。

新品の状態だけを価値だと考えるなら、傷はマイナスだ。

でも、使ってきた時間を考えると、

その傷も歴史になる。

もちろん、壊れていて使えないなら直したほうがいい。

でも、

「古くなったから」

だけで捨てる必要はない。

「古い」と「使えない」は違う

これは仕事の道具でも同じだ。

古いパソコンだから駄目。

古いソフトだから駄目。

古いWebサイトだから駄目。

とは限らない。

大事なのは、

「今の仕事に必要なことができるか」

だ。

逆に、新しくても使えないものはある

最新の機能がたくさんある。

見た目もかっこいい。

レビューも高い。

でも、

自分の仕事には必要ない。

覚えることが多い。

設定が複雑。

維持するのが面倒。

そんなこともある。

新しい道具を導入した結果、

仕事が増えることだってある。

道具には「乗り換えコスト」がある

新しい道具に変えるとき、

買うだけでは終わらない。

設定する。

覚える。

データを移す。

古い環境を整理する。

場合によっては周りにも説明する。

仕事の流れを変える。

つまり、乗り換えにはコストがある。

だから、

「新しいから変える」

ではなく、

「変えることで何が良くなるのか」

を見る必要がある。

使い慣れていることには、価値がある

これは数字にしにくい。

でも、かなり大きい。

キーの位置を知っている。

ペンの重さを知っている。

ノートの大きさを知っている。

ファイルの場所を知っている。

ソフトの癖を知っている。

つまり、

考えなくても使える。

この「考えなくていい」は、仕事では大きな価値になる。

道具が透明になる

長く使っている道具は、だんだん意識しなくなる。

ペンを持った。

書いた。

キーボードを打った。

文章ができた。

その間に、

「この道具を使っている」

という意識がない。

道具が透明になる。

僕は、これをかなり大事な状態だと思っている。

新しい道具は、最初は透明ではない

新しい道具を使うと、

「どこを押す?」

「この機能はどこ?」

「どう設定する?」

と考える。

当然だ。

まだ慣れていないから。

だから、新しい道具に変えた直後は、

一時的に仕事が遅くなることもある。

それでも変える価値がある場合

もちろんある。

例えば、

今の道具ではできない。

安全性に問題がある。

保守できない。

仕事量に耐えられない。

時間が大幅にかかる。

新しい環境に変えることで、明らかに改善する。

こういう場合は、変えたほうがいい。

「古いものを大切にする」

ことと、

「古いものに固執する」

ことは違う。

捨てないことも、変えることも、目的ではない

ここは大事だと思っている。

古いものを残すことが正義ではない。

新しいものを導入することが正義でもない。

目的は、

「仕事をちゃんと進めること」

だから。

そのために必要なら変える。

必要なければ変えない。

ただそれだけだ。

時計を見ていると、少し分かる

機械式時計が好きなのも、

「昔の技術だから」

というだけではない。

ゼンマイを巻く。

時間を合わせる。

定期的にメンテナンスする。

少し手間がかかる。

それでも長く使える。

何年も使っていると、

単なる時計ではなくなってくる。

自分の時間の中に、その時計がいる。

「長く使える」は、機能の一つ

商品を選ぶとき、

機能。

価格。

デザイン。

性能。

これらはよく比較される。

でも、

「長く使えるか」

も重要な性能だと思う。

修理できるか。

部品があるか。

使い続けられるか。

自分が飽きないか。

生活や仕事が変わっても対応できるか。

Webサイトも、長く使う前提で考える

Webサイトを作るときも、

「公開できればいい」

とは思わない。

公開した後に、

更新する。

情報を追加する。

サービスを変える。

担当者が変わる。

商品が増える。

SNSを始める。

問い合わせ方法が変わる。

事業そのものが変わる。

だから、

今だけきれいなサイト

より、

変化に対応できるサイト

のほうが強い。

最初から完璧に作らない

これは、長く使うためにも重要だと思っている。

最初から全部作る。

全部の機能を入れる。

全部のページを用意する。

そうすると、変更が大変になる。

必要なものから作る。

使ってみる。

変える。

追加する。

減らす。

このほうが長く育てやすい。

仕組みも「修理できる」ほうがいい

仕事の仕組みも同じだ。

誰か一人しか分からない。

その人が休むと止まる。

設定した本人しか変更できない。

そういう仕組みは、

動いている間は便利でも、

長期的には弱い。

だから、

「誰が見てもある程度分かる」

「変更できる」

「引き継げる」

ということが大切になる。

「残す」という仕事

仕事では、

新しく作ることが評価されやすい。

新しいサイト。

新しいブランド。

新しい商品。

新しい仕組み。

でも、

残すことも仕事だと思う。

必要な情報を残す。

やり方を残す。

履歴を残す。

判断理由を残す。

データを整理する。

引き継げる状態にする。

何も残っていないと、毎回ゼロから始まる

これが一番もったいない。

去年やったことを忘れる。

以前使った資料が見つからない。

過去の判断理由が分からない。

担当者が変わる。

また最初から調べる。

また考える。

また作る。

時間がかかる。

だから、

「残す」

というのは、未来の自分への投資でもある。

新しいものを使うなら、古いものとの関係を考える

新しいツールを入れる。

それ自体は簡単だ。

でも、

今までのものはどうする?

データは?

習慣は?

担当者は?

過去の情報は?

顧客は?

こういうところまで考えておく。

新しいものだけを見ると、

導入は簡単に見える。

でも、仕事は新しい道具だけではできていない。

道具は、単体では存在しない

キーボードだけで仕事はできない。

Macがある。

モニターがある。

マウスがある。

ネット環境がある。

ソフトがある。

ファイルがある。

人がいる。

仕事の流れがある。

道具は、その環境の中で使われる。

だから、

「このツールが一番いい」

という答えは、簡単には出せない。

自分にとって良い道具を考える

僕が道具を見るときは、

目的。

必要な機能。

使う人。

環境。

続けられるか。

このあたりを見る。

そして、

「これを使った結果、仕事はどう変わる?」

と考える。

使わないという選択もある

これは、以前の記事でも書いた。

新しい道具を導入しない。

AIを使わない。

アプリを増やさない。

SNSを増やさない。

それも立派な選択だ。

使わないことで、

覚えることが減る。

管理するものが減る。

迷いが減る。

それなら、そのほうがいい。

「最新」より「適切」

最新という言葉には、強い魅力がある。

最新機種。

最新AI。

最新CMS。

最新機能。

でも、

最新だから自分に必要とは限らない。

仕事に必要なもの。

使う人に合うもの。

続けられるもの。

それが適切な道具だ。

道具選びは、買い物ではなく設計に近い

何を買うか。

だけではない。

どう使うか。

どこに置くか。

誰が使うか。

いつ使うか。

何と組み合わせるか。

いつ見直すか。

壊れたらどうするか。

やめるときどうするか。

そこまで考えると、

道具選びは「買い物」ではなく、

「環境を設計すること」

に近くなる。

長く使うには、手入れが必要

古い道具を使い続けるには、

メンテナンスが必要だ。

時計ならオーバーホール。

ギターなら調整。

パソコンならアップデート。

Webサイトなら情報更新。

サーバーなら管理。

SNSならアカウント管理。

何もしないで長持ちするものは、あまりない。

長く使うことと、放置することは違う

ここも重要だ。

「長く使っています」

と言いながら、

壊れたまま。

情報が古いまま。

セキュリティ対策をしない。

更新しない。

これは、長く使っているのではなく、

放置しているだけかもしれない。

長く使うには、

手をかける必要がある。

良いものは、育てることができる

最初から完璧な道具なんて、ほとんどない。

使ってみる。

自分に合わせる。

環境を調整する。

不要なものを外す。

必要なものを足す。

そうやって、

自分の仕事に合う形に育てていく。

Webサイトも同じだと思う。

最初の完成より、5年後の状態を見る

Webサイトを作るとき、

公開日の状態だけを見ると、

デザインや機能に目が行く。

でも、

1年後。

3年後。

5年後。

どうなっているか。

誰が更新するのか。

情報は増えているか。

古いページはどうするか。

問い合わせは変わっていないか。

事業内容は変わっていないか。

そこまで考えると、作り方が変わってくる。

「長く使う」は、我慢することではない

ここは誤解したくない。

古いものを無理して使い続ける必要はない。

使いにくいなら変える。

壊れたなら直す。

修理できないなら買い替える。

仕事に合わなくなったら乗り換える。

それでいい。

大切なのは、

「なぜ変えるのか」

が分かっていること。

変える理由があるなら、思い切って変える

古いから。

ではなく、

今の仕事に合わなくなったから。

必要な機能がないから。

維持できないから。

安全に使えないから。

もっと良い方法があるから。

そういう理由なら、変える意味がある。

逆に、変える理由がないなら変えなくていい

「みんな使っている」

「新しい」

「SNSで話題」

「AI時代だから」

それだけでは、理由として少し弱い。

自分の仕事に必要なのか。

今の環境に合うのか。

使う人が続けられるのか。

そこを見る。

道具は、人生より短い

人間より長く使える道具もある。

でも、多くの仕事道具はいつか変わる。

パソコンも変わる。

スマートフォンも変わる。

ソフトも変わる。

サービスも終了する。

だからこそ、

「この道具を永遠に使う」

ではなく、

「この道具を使って、今の仕事をきちんと積み重ねる」

くらいがちょうどいいのかもしれない。

それでも、残るものはある

道具が変わっても、

考え方は残る。

文章を書く力。

情報を整理する力。

人の話を聞く力。

目的を決める力。

必要なものを選ぶ力。

仕組みをつくる力。

これらは、道具が変わっても使える。

だから、

道具を覚えることだけに時間を使うのではなく、

道具を使って何をするか

も大切にしたい。

新しい道具を買う前に、古い道具を見る

今使っているものを見る。

なぜ使い続けているのか。

どこが気に入っているのか。

どこが不満なのか。

何が足りないのか。

それを考える。

すると、

新しいものを買う理由も、

今のものを使い続ける理由も、

少し見えてくる。

道具には、自分の仕事の歴史が残る

何年も使ったノート。

何度も書いたペン。

何度も開いたMac。

何度も更新したWebサイト。

そこには、

自分がやってきた仕事が残っている。

だから、道具は単なるモノではない。

仕事の時間を一緒に過ごしたものでもある。

新しいものを使う。

古いものを残す。

どちらも悪くない。

大事なのは、

「自分の仕事を前に進めるために、今なにが必要なのか」

を考えることだと思う。

新しいものを追いかける日があってもいい。

古いものを手入れする日があってもいい。

新しいものを買わずに帰る日があってもいい。

そして、

今ある道具で、もう一度やってみる。

それだけで解決することも、案外多い。

道具は、新しさで価値が決まるわけではない。

長く使ったから偉いわけでもない。

その道具が、

自分の目的に合っているか。

仕事を前に進めてくれるか。

無理なく使い続けられるか。

必要なときに変えられるか。

結局、そこなのだと思う。

古い道具を捨てない理由は、

古いものが好きだからだけではない。

「長く使う」という選択肢を、

新しいものが増え続ける時代にも、

ちゃんと残しておきたいからだ。

便利になった。

速くなった。

できることも増えた。

だからこそ、

「変えない」

という判断にも、

もう少し価値があっていいと思っている。

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