北竜町で始まる、地域の資源を仕事に変える挑戦。地域にあるものを、どう活かすか。地域で暮らす人と、外から関わる人が、どう一緒に未来をつくるか。北海道の北竜町で、地域のこれからを考えるうえで興味深い募集が始まっています。ひとつは、地域の資源や課題を活かして新しいビジネスを生み出す「ビジネスチャレンジフェロー」。もうひとつは、2029年に誕生予定の複合施設に向けた「新図書館立ち上げディレクター(館長)」です。どちらも、単に決められた仕事をこなす人を探しているわけではありません。
北竜町で何が始まっているのか
北竜町が2026年10月8日に公開したのが、「ビジネスチャレンジフェロー」の募集です。町の公式発表では、地域にあるビジネスチャンスや解決すべき課題と、応募者のスキルやアイデアを掛け合わせ、新しい生業を生み出すことを目指しています。オンライン説明会は2026年10月30日(金)の19時から20時まで。募集期間は説明会終了後から11月13日(金)17時までと案内されています。
もうひとつ注目したいのが、新図書館立ち上げディレクターの募集です。北竜町では2029年に、義務教育学校と、図書館・郷土資料館・公民館の機能を備えた複合施設が誕生する予定です。今回の募集では、施設が完成するのを待つのではなく、町民や学校、教育委員会などと対話しながら、新しい施設の使い方や運営のあり方を考えていく役割が示されています。応募期間は2026年10月15日(木)から11月6日(金)17時までです。ここで興味深いのは、建物という「ハード」だけでなく、そこで生まれる活動や人のつながりという「ソフト」まで考えることが求められている点です。建物をつくれば人が集まる、図書館をつくれば地域が活性化する、そんな単純な話ではありません。具体的な応募条件や活動内容は、公式の募集要項で確認してください。
地域に資源があることと、仕事になることは違う
北竜町といえば、ひまわりを思い浮かべる人も多いでしょう。地域の名前を聞いたときに具体的な風景や商品が思い浮かぶのは、地域にとって大切な財産です。しかし、知名度のある名物があることと、地域の中で新しい仕事が生まれることは、必ずしも同じではありません。農産物や加工品、自然や景観、地域に根づいた文化や歴史、地域の人が持つ技術や経験、空き施設やまだ活用されていない場所、外から見ると珍しい地域の日常。これらは存在しているだけでは自動的に仕事になりません。誰がその価値を必要としているのか、どんな形なら利用しやすいのか、お金を払ってでも得たいものなのか、継続して提供できるのか。そこまで考えて初めて、資源を事業につなげる可能性が見えてきます。
小さなお店にも応用できる「資源の見つけ方」
自分には特別なものがない、ほかのお店と比べて目立った強みがない。そう感じている人は意外と多いのではないでしょうか。でも、最初から特別な商品や画期的なアイデアを探す必要はありません。まずは、すでに持っているものを整理するところから始めます。
①すでに持っているものを書き出す。商品や設備だけでなく、経験、技術、つながり、場所、知識、過去に解決してきた問題も資源です。自分では当たり前だと思っていることでも、別の人にとっては価値があるかもしれません。②誰の役に立つのかを考える。それを必要としているのは誰なのか、どんな場面で困っているのか、相手の状況と結びつけることで提供できる価値が具体的になります。③小さく試せる形にする。いきなり大きな設備投資をしたり、立派なホームページを作ったりする必要はありません。小さな販売、体験会、試作品、相談メニューなど、相手の反応を確かめられる形を考えます。④続けられる仕組みを考える。材料費、制作時間、移動時間、販売手数料、問い合わせ対応なども含めて、無理なく続けられる形を考える。「売れるかどうか」だけでなく、「続けられるかどうか」まで整理することが大切です。
作る前に、伝える内容と目的を整理する
地域の取り組みでも、小さな事業でも、何かを始めるときには目に見えるものから作りたくなります。ホームページを作る、SNSのアカウントを開設する、ロゴを作る、チラシを用意する。どれも必要になる場面があります。ただし、発信する内容や目的が決まっていないまま制作を始めると、見た目は整っても何を伝えるためのものなのかが曖昧になってしまうことがあります。取り組みの目的、届けたい相手、相手に提供できる価値、必要な情報とその優先順位、問い合わせや購入までの流れ、運営を続けるための体制。何をつくるかを決める前に、何のためにつくるのかを考える。この順番が、限られた時間や予算を活かすための土台になります。
地域づくりに必要なのは、アイデアだけではありません。新しいビジネスを考える人、地域の資源や課題を理解している人、その価値を必要とする人、そしてそれぞれをつなぎ、試し、改善し、続けていく仕組み。あなたの地域や事業には、すでにどんな資源がありますか? それを必要としているのは、どんな人でしょうか? 大きな計画を立てる前に、まずは身近なものを整理してみる。そこから、次の仕事や新しい取り組みのヒントが見つかるかもしれません。
