ポケモンが30年愛される理由|小さな事業にも活かせるブランドづくりの考え方

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ポケモンと聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。ピカチュウ、ポケモンカード、ゲーム、アニメ、映画、グッズ。あるいは、子どものころに夢中になった冒険の記憶かもしれません。ポケモンのすごいところは、単に有名なキャラクターがいることではありません。ゲームから始まった体験が、カードや映像、商品、イベント、そして地域とのつながりにまで広がっていることです。

2026年は、ゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』の発売から30年という節目の年です。2026年9月15日には、日本ゲーム大賞2026で「ポケットモンスター」が経済産業大臣賞を受賞しました。また、2026年3月5日に発売された『ぽこ あ ポケモン』も年間作品部門の大賞を受賞しています。公式発表では、長年にわたって新しい遊びを生み出し、世代を超えて人々を結びつけてきたことが評価されています(出典:株式会社ポケモン「日本ゲーム大賞2026」受賞発表)。

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ポケモンは、キャラクターだけを売っているわけではない

ゲーム、カード、ぬいぐるみ、文房具、衣類、食品、日用品。形も価格も使い方も違うのに「ポケモンの商品」として認識されるのは、商品そのものだけでなく、共通する世界観やキャラクターへの愛着があるからです。ポケモンが届けている価値は、物の機能だけではありません。好きなポケモンを見つける楽しさ、集める楽しさ、誰かと交換したり対戦したりする楽しさ、自分のお気に入りを人に伝える楽しさ、作品の世界に参加している感覚です。

小さなお店でも同じです。例えば焼き菓子のお店で、説明が「国産小麦を使用した焼き菓子です」だけなら、伝わるのは主に素材の情報です。そこに「どんな時間に食べてほしいのか」「誰への贈り物に向いているのか」「なぜこの形や味にしたのか」が伝われば、商品を選ぶ理由は増えていきます。商品の説明だけで終わらせず、その商品を選ぶことで得られる体験まで考える。これは規模の大きなブランドだけに必要な考え方ではありません。

核は保ちながら、体験の入口を増やす

長く続くブランドには、変わらない部分と、変わり続けている部分があります。『ぽこ あ ポケモン』は、従来のシリーズのようなRPGやバトルとは異なる、スローライフ・サンドボックスという切り口を採用し、ポケモンたちとの生活や街づくりを楽しむ新しい体験を提案しました。ブランドの核は簡単に変えない。しかし商品、伝え方、販売方法、体験のつくり方は、相手や時代に合わせて見直していい。

昔から続く地元の菓子店なら、味や製法、地域で親しまれてきた歴史は大切な財産です。一方で、紹介方法が昔のままだったり、営業時間が分かりにくかったりすれば、新しいお客さんとの接点を失う可能性があります。商品を変える前に、伝え方や買いやすさを変える。それだけでも事業の可能性は変わります。

地域の魅力とつなぐ、ポケふたという入口

ポケモンのブランドづくりでもう一つ見逃せないのが、地域とのつながりです。地域それぞれの「推しポケモン」が各地の魅力を発信する「ポケモンローカルActs」や、ポケモンと地域の魅力を組み合わせたオリジナルデザインのマンホール蓋「ポケふた」が全国各地に設置されています。北海道内にもポケふたがあり、北海道庁のWebサイトでは道内のポケふた情報やポケモン社との連携に関する情報が発信されています。

面白いのは、地域の魅力を地域の説明だけで伝えようとしていないことです。すでに多くの人が知っているポケモンという存在を入口にして、その地域に関心を持つきっかけをつくっています。もちろん、キャラクターや作品の名称・画像を自分の商売に無断で利用してよいという意味ではありません。小さな事業が学べるのは、相手がすでに知っていることや関心を持っていることを、地域の魅力とつなぐ考え方です。

話題になることと、事業が成長することは別

SNSで多くの人に見られても、商品がどこで買えるのか分からなければ、購入につながりにくくなります。情報発信では「注目されること」だけでなく、その先まで設計しておく必要があります。知る(SNSや検索で知ってもらう)、理解する(ホームページや商品ページで特徴や選ぶ理由を理解してもらう)、行動する(来店、問い合わせ、予約、購入の方法を分かりやすくする)、また思い出す(日々の発信や購入後の案内で再び接点をつくる)。媒体ごとに役割を整理すると、改善すべき場所も見つけやすくなります。

ポケモンから学べることを整理すると、①商品の特徴だけで終わらせない、②ブランドの核を言葉にする、③お客さんが参加できる余地をつくる、④地域の魅力とつなげる、⑤発信した後の行動まで考える、の5つです。必要なのは、ポケモンのように有名になることではありません。自分の事業にとっての「選ばれる理由」を見つけ、必要としている人に伝わる形にすることです。

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