ちいかわに学ぶブランディング|「かわいい」だけでは終わらない、愛されるブランドのつくり方

SI — Structural Intelligence

なぜ、こんなにも多くの人がキャラクターを好きになり、グッズを集めたり、イベントに足を運んだりするのだろう。もちろん見た目のかわいさは大きな魅力です。でも、それだけなら、ここまで幅広い商品や体験に展開する理由を説明しきれません。ちいかわたちは、いつも何もかもうまくいくわけではありません。うれしいこともあれば、困ることもある。頑張っても報われないように感じる場面もある。そんな姿に、自分の日常を重ねる人もいるのではないでしょうか。

2026年には、映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』が7月24日に公開され、11月24日からは「ちいかわクリスマスマーケット」の開催も案内されています(出典:ちいかわ公式総合情報サイト「ちいかわインフォ」)。作品を楽しむだけでなく、商品やイベントなど、さまざまな接点が生まれ続けています。

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人は「気持ちが動くもの」を好きになる

かわいいキャラクターは、ちいかわ以外にもたくさんいます。では、見た目がかわいければ誰もが同じように好きになるのでしょうか。そうとは限りません。ちいかわの物語には、喜びや楽しさだけでなく、不安、失敗、努力、友情など、さまざまな感情が登場します。キャラクターの行動や反応を見て「分かる」「自分もそうなる」「応援したい」と感じる。そうした気持ちの積み重ねが、愛着につながっていると考えられます。

小さなお店でも同じです。手づくり雑貨の写真を載せて「新作ができました」と伝えることは大切ですが、それだけでは形や色は分かっても、つくり手が何を大切にしているのかまでは伝わりにくいかもしれません。なぜこの形にしたのか、どんな場面で使ってほしいのか、制作中にどんな工夫をしたのか。商品の魅力を伝える視点は、①商品そのものの魅力、②つくり手の考えや商品が生まれた背景、③使う人が得られる気持ちや体験、の3つです。大切なのは情報を増やすこと自体ではなく、その商品を選ぶ人にとって意味のある情報を届けることです。

ブランドは、商品を売るだけでは終わらない

ちいかわの公式情報を見ると、オンラインショップ、常設店舗、カフェ、ベーカリー、体験型施設、映画関連企画など、さまざまな接点が用意されています。作品を見る、グッズを選ぶ、お店に行く、食べ物を楽しむ、イベントに参加する。それぞれの接点が、作品やキャラクターを楽しむ機会になっています。

小さな事業でも、商品を並べるだけでなく、素材の紹介、コーディネート例、制作の裏側、対面販売の予定などを発信できます。ただし、接点を増やせば増やすほどよいわけではありません。人手も時間も限られている小さな事業では、続けられる範囲で設計することが大切です。商品ページ、SNS、ホームページ、実店舗、イベントを別々に運営するのではなく、お客さんがブランドを知り、理解し、体験できる流れとして考えることです。

ファンがいることと、売れる仕組みがあることは別

好きなキャラクターがいると、関連する商品やイベントに関心を持つことがあります。しかし、知ってもらうことと実際に購入してもらうことの間には、いくつもの段階があります。SNSで新商品を見つけても、価格が分からない、販売場所が分からない、オンラインで買えるのか分からない、いつまで販売しているのか分からない。こうした情報が不足していると、興味を持っても購入まで進みにくくなります。

写真がきれいで投稿の反応もよい。それなのに問い合わせがない。そんなとき、すぐに投稿回数を増やすのではなく、購入までの流れを確認してみる必要があります。知る(SNSや検索で見つける)、理解する(特徴や選ぶ理由を知る)、購入を検討する(販売場所や営業時間などを確認する)、行動する(来店、予約、問い合わせ、購入)。SNSは知ってもらうきっかけ、ホームページや商品ページは詳しい情報を確認し次の行動を判断する場所。それぞれの役割を整理することが大切です。

小さなお店がちいかわから学べるのは、①自分らしさを言葉にする、②商品の背景を伝える、③お客さんとの接点をつくる、④企画に意味を持たせる、⑤購入までの道筋を整える、の5つです。「好きになってもらうこと」と「買ってもらうこと」は分けて考える必要があります。世界観を伝えることと、買いやすくすること。どちらか一方ではなく、両方を整える。自分の事業らしさを見つけ、その価値を必要な人に伝え、次の行動につなげることから始めてみてはいかがでしょうか。

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