インサイトとは?お客さんの言葉と行動のズレから「選ぶ理由」を考える

松井構造室

「安いものが欲しい」と言っていたのに、少し高い商品を買う。「機能が多いほうがいい」と言っていたのに、シンプルなものを選ぶ。お客さんが言っていたことと、実際に選んだものが違う。こういうときに考えたいのが、インサイトです。

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インサイトとは何か

インサイト(Insight)は、直訳すると「洞察」です。マーケティングでは、お客さんの言葉や行動の奥にある、選択や行動につながっている理由を考えるときに使われます。

ただし、「お客さんの心の奥に隠された答え」のように考えすぎないほうがいいでしょう。実際にはもっと地味で、お客さんが何を言っているのか、何を選んでいるのか、何を避けているのか、どこで迷っているのかを見ながら、「もしかすると、本当に重要なのはここなのでは」と考える。インサイトは、そんな仮説として捉えると分かりやすくなります。

これまでの言葉と並べると、ニーズは「必要としているもの」、ウォンツは「具体的に欲しいと思っているもの」、ベネフィットは「得られる良い変化」、インサイトは「選択の背景にある重要な理由の仮説」です。たとえば「収納家具が欲しい」という言葉の奥に、「人が来たときに慌てたくない」「もっと落ち着いて暮らしたい」という理由があるかもしれません。商品そのものと、それを選ぶ理由は同じとは限らないのです。

言葉ではなく、行動と「ズレ」を見る

「本人も気づいていない本音を見抜く」と考えると、危うくなります。本人が言っていないことを勝手に決めつけると、ただの想像になってしまうからです。必要なのは、観察した事実から理由を考え、その仮説が実際の行動と合っているかを確かめることです。

行動にはヒントがあります。Webサイトなら、どのページを何度も見ているか、どこで離脱しているか、何を検索して訪問しているか。SNSなら、どんな投稿に反応するのか、どんな投稿が保存されるのか、何度も質問されることは何か。こうした小さな行動の中に、お客さんが大切にしていることが見えてくる場合があります。

面白いのは、言葉と行動のズレです。「価格を一番重視します」と言っているのに、実際には一番安い商品ではなく安心できそうな商品を選んでいる。それは「価格より安心を重視している」と即断することではなく、保証があったからなのか、説明が分かりやすかったからなのか、失敗したくなかったからなのかを、もう少し観察してみるということです。「なぜ?」を繰り返すだけでは物語はいくらでも作れてしまうので、「実際に何をしているか」を見ることが欠かせません。

小さな事業だからこそ拾える声

大きな企業には大量のデータがありますが、小さな事業にはお客さんとの距離の近さがあります。店頭で交わした一言、DMで聞かれた質問、電話で何度も説明していること、購入した人が帰り際に言った言葉。きれいなアンケート結果には出てこないところに、ヒントがあります。「また同じ質問をされたな」「この説明をすると、急に納得してくれるな」。こうした小さな違和感を記録しておくことが、インサイトを考える材料になります。

探るときの問いは、何を欲しいと言っているか、どんな場面で必要としているか、購入前に何が不安か、何と比較しているか、最後に何が決め手になったか、言葉と行動にどんなズレがあるか、です。

まとめ

インサイトを「見つけた」と思っても、いきなり真実だと決めないこと。仮説として扱い、Webサイトの文章を変えてみる、SNSの伝え方を変えてみる、お客さんに聞いてみるなどして反応を見ます。違えば考え直せばいい。マーケティングは正解を当てるゲームではなく、観察して、考えて、試して、また観察する繰り返しです。「何が欲しいですか」だけではなく「なぜ、それを選ぶのですか」まで考えてみると、見え方が少し変わってくるはずです。

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