「ターゲットを決めましょう」の次に、「もっと具体的に考えてみましょう」と言われることがあります。そこで登場するのが、ペルソナです。人物像を設定していく考え方ですが、そこまで細かく架空の人物を作る必要があるのでしょうか。
ペルソナとは何か
ペルソナとは、商品やサービスを利用する代表的な顧客像を、具体的な一人の人物として設定する考え方です。ターゲットが「ある程度まとまった人たち」だとすれば、ペルソナは「その中の一人を具体的にしたもの」です。
たとえばターゲットが「Webに詳しくない小さな事業者」だったとします。そこへペルソナとして、「一人で店を経営し、Instagramは更新しているが、ホームページに何を書けばいいか分からない。営業中は忙しく、Webを考える時間が取れない」という状況まで具体化すると、「この人なら、どこで困るだろう」と考えられるようになります。
ターゲットとペルソナの役割の違いで言えば、ターゲットは「誰に届けるか」、ペルソナは「その人は、どんな状況にいるのか」を具体的に考えるもの。ペルソナは属性を増やすこと自体が目的ではなく、相手の状況を想像しやすくするための道具です。
大切なのは、属性より「悩み」と「今の状態」
ペルソナというと、名前、住所、年収、趣味、好きなブランドまで細かく設定する方法もあります。でも、小さな事業では細かく作り込みすぎると、「架空の人物の設定資料を作ること」が目的になってしまいます。大切なのは人物設定の完成度ではなく、その人物を想像することで事業上の判断がしやすくなるかどうかです。
まず見たいのは「悩み」です。何に困っているのか、何が面倒なのか、何が分からないのか、何を後回しにしているのか。たとえば「ホームページを持っているけれど問い合わせが少ない」という悩みがある人に「ホームページ制作サービスがあります」と伝えても少しズレます。すでに持っているからです。必要なのは作り直すことではなく、情報の整理かもしれません。
もう一つは「今どんな状態か」です。開業したばかり、仕事が増えてきた、ホームページを作ったけれど更新できていない。同じ「個人事業主」でも、開業直後と5年目では必要なものが違います。さらに、困ったときに検索するのか、SNSで探すのか、知り合いに聞くのかという行動まで考えると、届け方も見えてきます。「この人なら、どこで迷う?」という質問も、サイトの不足を見つけるのに役立ちます。
ペルソナは「当てる」ためのものではない
ペルソナを設定しても、実際のお客さんが全員その人物になるわけではありません。20代の人が買うかもしれないし、男性が利用するかもしれません。それで問題ありません。ペルソナは未来のお客さんを正確に予言するためのものではなく、「誰の立場から考えるか」を決めるための道具だからです。一人を基準に考えることで伝え方やサービスの設計が具体的になるだけで、受け入れる範囲は柔軟でいいのです。
架空の人物を一から作るのが難しければ、実際のお客さんを参考にする方法もあります。問い合わせをくれた人や購入してくれた人を思い出し、「なぜ、この人は自分を選んだのだろう」と考え、その状況や行動から共通するパターンを見つけます。ただし、想像だけで決めつけず、実際の問い合わせや購入理由といった現実の情報も合わせることが大切です。
まとめ
ペルソナとは、代表的な顧客像を一人の具体的な人物として考える方法です。目的は架空の人物を完璧に作ることではなく、誰の立場から商品やサービス、Web、SNSを考えるのかを明確にすること。ホームページを作ったのに問い合わせが来ない、という相談も、実はこの「誰に、どんな状態の人に届けるか」の整理から始まることが多いものです。ときには架空のペルソナより、実際に目の前にいる一人のお客さんを丁寧に見ることのほうが、たくさんのことを教えてくれます。
