いいものなのに伝わっていないとき|良さを「見える形」にする情報整理

SI — Structural Intelligence

たまに「これ、いいものなのにな」と思うことがあります。お店でも、商品でも、サービスでも、人の仕事でも。僕が見ていて「これは面白いな」「こういうところ、いいな」と感じたもののことです。でも、そういうものほど意外と伝わっていないことがあります。いいものがあることと、いいものだと伝わることは、別の話なんだと思います。

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「伝わらない=悪いもの」ではない

何かが売れない、見てもらえない、SNSの反応が少ない。そういうことがあると、つい「もっといいものを作らなきゃ」と考えてしまうことがあります。もちろん商品やサービスそのものを見直すことも必要です。でも必ずしもそうとは限りません。そもそも存在を知られていない、何をしているのか分からない、自分に関係あるものだと気づかれていない、良さが伝わる前に離れてしまっている。そういうこともあります。「伝わっていない」と感じたときに、すぐ中身を否定しないようにしています。もう一つ難しいのは「いいもの」の説明です。本人にとっては、その商品の良さを全部知っている。素材のこと、作り方のこと、苦労したところ、工夫したところ。だから説明するとたくさん話したくなる。それは自然なことです。でも初めて見る人が知りたいことは、必ずしも同じではありません。「これは何?」「自分に必要?」「どんなときに使う?」「いくら?」「どこで買える?」。まず、そこかもしれない。作っている人が大切にしていることと、初めて見る人が最初に知りたいことの間には、少し距離があります。「伝える」は、自分の中にあるものを全部出すことではなく、相手が受け取れる形にすることだと思っています。

良さにたどり着く前に、離れてしまう

僕がWebやSNSを見るときに気になるのは「良さは、どこに書いてあるんだろう?」ではなく「良さに気づくまで、どれくらい進まなきゃいけないんだろう?」ということです。ホームページを何ページも移動しないと分からない、SNSを何十件も遡らないと分からない、説明を読んでも何が特徴なのか分からない。そうなると、良さがないのではなく、良さにたどり着く前に離れてしまう可能性があります。これはけっこうもったいない。伝える順番を変えるだけで、見え方が変わることもあります。「素材は○○です」「製法は○○です」と説明する方法もありますが、「こんなときに使えます」「こういう人に向いています」「実際にはこう使います」と先に見せることで、その後の詳しい説明が入りやすくなることもあります。写真ひとつでも伝わるものは変わります。商品だけをきれいに撮る、実際に使っているところを撮る、お店の雰囲気と一緒に撮る、作っている途中を見せる。どれが正解ということではなく、何を知ってほしいかによって見せ方が変わります。

本人には「普通」に見えているもの

いちばんもったいないと思うのが、本人は「普通」だと思っているものです。長くやっている人ほど、自分の仕事の特徴に気づいていないことがあります。「いや、そんなの普通ですよ」と言われる。でも外から見ると、そこが面白かったりします。本人には当たり前で、お客さんには嬉しいこと。そういうものが仕事の中には意外とたくさんあります。だから人の話を聞くときも「何が強みですか?」だけではなく「普段、どうしてるんですか?」と聞きたくなります。その何気ない話の中に、その人らしいものが出てくることがあるからです。「伝わるようにする」と聞くと大げさに見せることだと思われることがありますが、僕はそうは思っていません。実際より大きく見せる必要はないし、なかったことを作る必要もない。ただ「すでにある良さが、ちゃんと見える状態にする」。写真を変える、言葉を変える、順番を変える、情報を整理する。それだけで同じものの見え方が変わることがあります。

「伝わっていない」と思ったら、まず「いいものがない」と考えない。その前に「どこで伝わらなくなっているんだろう?」と考える。僕が「いいものなのに、伝わっていない」と思うときは、だいたいそんなことを考えています。

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