SHIROに学ぶブランディング|北海道の素材とものづくりを「選ばれる理由」に変える方法

SI — Structural Intelligence

商品を売るだけでなく、ブランドの価値を届ける。北海道発のコスメティックブランド「SHIRO(シロ)」の魅力は、商品そのものだけではありません。素材を探すこと、生産者と出会うこと、ものづくりの背景を伝えること、店舗や地域に新しい居場所をつくること。こうした活動をつなげながら、ブランドの考え方を伝えています。今回はSHIROの取り組みから、北海道の小さなお店や個人事業が、自分たちの魅力を見つけ、伝え、選ばれる理由に変えていく方法を考えます。

目次

素材の背景を伝えると、商品の説明が変わる

SHIROは、株式会社シロが展開するコスメティックブランドです。香水やスキンケア、メイクアップなどの製品を展開し、公式サイトでは自然の素材や生産者とのつながり、ものづくりへの考え方を発信しています。また、SHIROは北海道砂川市に「みんなの工場」を設け、製品づくりを続けています。

商品を紹介するとき、「肌を整える化粧水です」「自然由来の素材を使っています」という説明は必要です。ただ、似たような表現はほかの商品でも使われます。そこで考えたいのが、素材の特徴だけでなく、その素材を選んだ背景や、製品に活かすための工夫を伝えることです。SHIROの公式サイトでは、日本各地の生産者を訪ね、自然の素材を見つける取り組みを紹介しています。素材がどこから来たのか、どんな人が関わっているのか、どんな特徴があり製品にどう活かされているのか。こうした背景がわかると、商品を理解するための情報が増えます。

小さなお店なら、旭川で焼き菓子を販売しているお店なら材料や味だけでなく素材を選んだ理由や製法への工夫を、ハンドメイド作家なら使っている素材や制作工程、作品が生まれたきっかけを、農産物を扱う事業者なら生産者の工夫や収穫時期による違いを紹介できます。大切なのは、話を大きく見せることではありません。実際に取り組んでいることの中から、購入する人にとって意味のある情報を見つけることです。「うちは特別なことをしていない」と感じている場合でも、当たり前に続けている工夫が、お客さんにとっては商品を選ぶための大切な情報になることがあります。ただし、事実ではない物語をつくったり、実際以上に素材の効果を強調したりするのは避けたいところです。

北海道という場所を、ブランドの価値につなげる

SHIROの製品づくりを考えるうえで、北海道砂川市という場所は重要な要素の一つです。ただし、「北海道のブランドだから魅力がある」と単純に考えるのは少し違います。どこで製造しているのか、どの地域の素材を使っているのか、どんな人たちと仕事をしているのか、その土地で事業を続けることにどんな意味があるのか。具体的な情報があれば、地域の名前は単なる地名ではなく、事業の背景を理解するための手がかりになります。

これは旭川や上川地域の事業者にも応用できます。地域で長く営業しているお店、地元の素材を使った商品、地域の作り手と協力して生まれたサービス、土地の文化や暮らしに関わる活動。こうしたものには、その地域で事業を営んでいるからこそ伝えられる情報があります。地域の強みを整理する質問は3つです。①この地域だからこそ生まれている商品やサービスは何か。②地域の人や素材、環境と、どのようにつながっているか。③そのつながりは、お客さんにとってどんな価値があるのか。地域を売りにするかどうかを先に決めるのではなく、自分の事業にある強みと、お客さんが求めている価値がどこで重なるのかを考えることが大切です。

考え方を、商品以外にも広げ、発信し続ける

SHIROの取り組みは、化粧品をつくって販売することだけにとどまりません。砂川市の「みんなの工場」では、製品づくりに加えてショップやカフェなどの機能も展開しています。また、SHIROは2026年4月、砂川パークホテルを「PARK SHIRO」として2027年1月19日にリニューアルオープンする計画を発表しました。小さなお店が参考にしたいのは施設の規模ではなく、商品を購入する前後にも価値を届けるという考え方です。商品が生まれた背景を紹介するミニ展示、制作の様子を見られる小さなワークショップ、地域の作り手と一緒に開催するイベント、商品の使い方を伝える体験会など、すでにある商品やサービスをどんな場面で体験してもらえるかを考えるところから始められます。

また、SHIROが発行する「SHIRO PAPER」は、製品や素材、その背景にあるプロジェクト、生産者、まちづくりや森づくりなどの取り組みを伝える自社メディアで、2026年3月には「SHIRO PAPER Issue 7」が発行され、SHIROで働く人たちの物語が特集されました。商品を紹介する情報だけでなく、ブランドを支える人や考え方も発信している点が注目できます。小さなお店でも、商品ができるまでの過程、店主が大切にしていること、お客さんとのやりとり、地域での活動などを発信できます。

「いい商品なのに売れない」とき、情報発信の面からは、必要な人に知ってもらえているか、特徴が初めて見た人にも伝わっているか、購入方法はわかりやすいか、選ぶ理由が伝わっているか、購入を迷っている人が不安を解消できる情報はあるか、を確認してみてください。魅力がないのではなく、まだ伝わる形に整理されていないのかもしれません。新しい商品をつくることも、ロゴを変えることも、広告を出すことも選択肢の一つです。でも、その前に今ある価値がきちんと伝わっているかを確かめてみる。その整理から、ブランドづくりを始めることもできます。

ホームページを作ったのに問い合わせが来ない店向け『Web整理相談』— 誰向けか・何を頼めるか・どこから連絡するかを、伝わる順番に整えます。

相談・お問い合わせはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次