ロゴを変えればブランドは変わるのか|ロゴの役割と、変える前に考えること

SI — Structural Intelligence

事業を始めると、ロゴをつくりたくなる。これは、かなり自然なことだと思います。名前が決まった。サービスも決まった。では、次はロゴをつくろう。そして、しばらく事業を続けていると、「このロゴ、ちょっと今の自分たちと違うな」「そろそろロゴをリニューアルしたほうがいいのかな」と思うことがあります。では、ロゴを変えればブランドも変わるのでしょうか。答えは、少し複雑です。ロゴはブランドそのものではありません。でも、ブランドを認識してもらうための重要な手がかりにはなります。

目次

ロゴとブランドは同じではない

まず、ここを分けて考えてみます。ロゴは、目に見えるものです。文字やマーク、色などによって構成されます。一方、ブランドはもっと広いものです。その名前を見たときに何を思い浮かべるのか。どんな価値を感じるのか。どんな経験をしてきたのか。また利用したいと思うのか。そういったものが積み重なって、ブランドに対する認識になっていきます。だから、ロゴを変更しただけで、過去の経験まで全部変わるわけではありません。ロゴはあくまでブランドを表す一つの要素です。

ロゴは「記号」として働く

では、ロゴには何の意味があるのでしょうか。ロゴには、「これは、あのブランドだ」と認識してもらうための目印という大きな役割があります。商品についているロゴ、店舗の看板、Webサイトのヘッダー、SNSのプロフィール画像、名刺、パッケージ。いろいろな場所に同じロゴが現れることで、バラバラだった接点が一つにつながっていきます。

ロゴの面白いところは、文字を読まなくても認識できることです。人は、色や形、マークなどを見て「あ、これ知ってる」と認識することがあります。これはロゴが「情報を全部説明するもの」ではなく、積み重なった情報を呼び起こす記号として働くからです。ただし、ここには順番があります。まず知ってもらう。実際に商品やサービスに触れてもらう。何度か見かける。良い経験をする。その経験が積み重なる。その結果、ロゴを見たときに、それまでの記憶や印象が呼び起こされるようになる。だから、ロゴはブランドの記憶を入れておく箱のようなもの、と考えるとわかりやすいかもしれません。

ロゴを変えると、何が変わるのか

ロゴをリニューアルすると、まず変わるのは「見た目」です。それによって、最初に受ける印象も変わります。以前は親しみやすい印象だったものが、洗練された印象になることもあります。つまり、ロゴの変更はブランドに対する新しい期待をつくる可能性があるわけです。だからこそ、ロゴを変えるときには「かっこいいか」だけではなく、「このロゴを見た人に、どんな事業だと感じてほしいのか」を考える必要があります。

「古いロゴだから変える」という理由については、一度立ち止まってもいいと思います。小さく表示すると見えにくい、スマートフォンでは使いにくい、SNSのアイコンにすると何だかわからない、印刷すると細かい部分がつぶれる。こうした実務上の問題があるなら、リニューアルする意味は十分あります。ただ、単純に「なんとなく古い」という理由だけなら、そのロゴを見て、すでにお客さんが何かを思い出してくれているなら、その積み重ねには価値があります。新しくすることで、今まで積み上げてきた認識が弱くなる可能性もあるからです。

リニューアルでは、「何を変えて、何を残すのか」を考えることが重要です。名前は残す。色も一部残す。マークだけ整理する。文字の形だけ変える。使い方を統一する。ブランドに積み重なっている記憶を残しながら、今の事業に合わせて整えていく方法もあります。

小さな事業ほど「ロゴ以外」も見ておきたい

個人事業主や小さなお店の場合、ロゴより先に見直したほうがいいものがあることもあります。ロゴはきれいなのに、何の事業なのか最初の画面でわからない。問い合わせボタンが見つからない。サービス内容が整理されていない。SNSでは別の名前を使っている。営業時間や住所などの基本情報が場所によって違う。こうした状態なら、ロゴを新しくするより先に整理することがあります。ブランドに対する印象は、ロゴだけで決まらないからです。

実際、ロゴを新しくしても、商品、サービス、接客、発信、提供している価値が以前とまったく同じなら、相手が受け取るブランドの意味も大きくは変わりません。逆に、ロゴのリニューアルが有効なのは、事業そのものが変化したときです。スタッフが増えた。扱うサービスが増えた。地域限定だったものがオンラインでも提供できるようになった。こうした変化があるなら、ロゴを変えることは、「自分たちは、今こういう事業になりました」という意思表示にもなります。

ロゴは「答え」ではなく「手がかり」です。ロゴをつくるときも、「どんなロゴがかっこいいか」だけではなく、「このロゴを何年使うのか」「どんな場所で見られるのか」「何を思い出してもらいたいのか」まで考えてみる。結局のところ、ブランドはロゴの中には入りきりません。ロゴを見て何を思い出すか。その商品を使ってどう感じたか。その人に仕事を頼んでどうだったか。そうしたものが積み重なった先に、ブランドがあります。ロゴは小さな記号です。でも、その後ろに積み重なっているものは、とても大きいのです。

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