ブランド連想とは|名前を聞いたとき、何を思い浮かべてもらうか

SI — Structural Intelligence

「ブランド認知」と「ブランド連想」は、似ているようで少し違います。ブランド認知は、簡単に言えば「そのブランドを知っているか」という話です。では、知っているだけで、そのブランドを選ぶでしょうか。たぶん、そうとは限りません。名前を聞いたときに、何を思い浮かべるのか。どんなイメージが出てくるのか。どんな経験を思い出すのか。今回は、そんな「ブランドと一緒に思い浮かぶもの」について考えてみます。ブランド連想とは、簡単に言えば、あるブランドを見たり聞いたりしたときに、頭の中に浮かぶイメージや情報、記憶などのことです。たとえば、あるブランドの名前を聞いたとします。すると、「品質が良さそう」「かわいい」「高級そう」「親しみやすい」「この地域のお店」「前に買ったことがある」など、いろいろなものが浮かぶことがあります。これらがブランドとの結びつきです。つまり、ブランドは名前だけで存在しているわけではありません。名前の周りに、いろいろな意味がくっついている。その「くっついているもの」を考えるのが、ブランド連想です。

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「知っている」と「何を思い浮かべるか」は違う

ここは、ブランド認知との違いとして押さえておきたいところです。たとえば、あるお店の名前を知っているとします。でも、「何のお店だったっけ?」となるなら、認知はあっても、ブランドとの結びつきは弱いかもしれません。逆に、名前を聞いた瞬間に、「ああ、あのお店ね」「あのお店なら、あの商品」「あの人がやっているところ」と、いくつかの情報が自然に出てくるなら、そのブランドにはさまざまな連想が形成されていると考えられます。もちろん、連想が多ければ必ず良いというわけでもありません。大切なのは、どんな連想が形成されているかです。

ブランド連想は「良いイメージ」だけではありません。ポジティブな連想もあれば、ネガティブな連想もあります。「高品質」という連想がある一方で、「高くて手が届かない」という連想が一緒に存在することもあります。「専門的」という強みが、別の人から見ると「難しそう」になることもあります。つまり、同じ特徴でも、人によって違う意味を持つことがあります。だからブランディングでは、単純に「良いイメージをつくろう」と考えるだけでは足りません。誰に、どんな意味として受け取られたいのか。ここまで考える必要があります。

商品だけがブランド連想をつくるわけではありません。ブランド名、ロゴ、色、写真、Webサイト、SNSの投稿、文章、店舗の雰囲気、スタッフとの接し方、商品のパッケージ、価格、口コミ、過去の体験、誰かから聞いた話。こうしたものが、少しずつブランドのイメージをつくっていきます。だから、ブランドはロゴだけではつくれません。ロゴを新しくしたとしても、それまで積み上げてきた経験や評判が全部消えるわけではありません。

小さな事業ほど「何と結びつけるか」が大切

大きな企業の場合、広告や商品、店舗、メディアなど、多くの接点を使ってブランドのイメージを形成できます。では、小さな事業ではどうでしょうか。むしろ小さな事業ほど「何と結びつけるか」を意識したほうがいいと思っています。たとえば、「旭川で○○といえば、あの店」「Webのことで困ったら、あの人」「あの人が選んだものなら安心」というような記憶です。これは、全国的な知名度とはまったく別の話です。狭い範囲でも、強い結びつきができていれば、そのブランドには意味があります。

「何でもできます」は、連想がつくりにくいものです。個人事業や小さな事業を見ていると、サービスをたくさん並べているケースがあります。本当にいろいろできること自体は悪いことではありません。ただ、受け手の頭の中に、「この人は何の人なのか」が残りにくくなることがあります。だから、サービスを減らさなければならないという話ではありません。むしろ、「いろいろやっているけれど、結局この人は何者なのか」という一本の軸をつくる。その軸があると、複数の活動もひとつのブランドとして理解されやすくなります。

ブランド連想は、発信の「繰り返し」で育ちます。同じ考え方、同じ価値観、似た言葉、一貫した見せ方、そして実際の体験。そうしたものが何度も重なることで、少しずつ記憶に定着していきます。これは「同じことしか言わない」という意味ではありません。同じ軸を、違うテーマや事例から繰り返し見せるということです。そうすると、投稿を何本か見た人の頭の中に、少しずつ「この人らしさ」ができてきます。

Webサイトは「連想を整理する場所」にもなります。SNSは流れていきます。一方で、Webサイトは比較的、自分たちで情報を整理して置いておける場所です。「何をしているのか」「誰のためなのか」「何を大切にしているのか」「どんな経験を提供するのか」を整理しておくことができます。検索から初めて訪れた人にとっては、そのサイトがブランドとの最初の接点になることもあります。そこで得た情報が、そのままブランド連想になる可能性があります。

「らしさ」についても考えてみます。「ブランドらしさをつくろう」と言われることがあります。でも、ゼロから完全につくるというより、すでにあるものを整理していくほうが自然な場合もあります。これまで何をしてきたのか。何を大切にしてきたのか。何をするときに、自分たちらしさが出るのか。そういうものを振り返る。すると、すでに存在している「らしさ」が見えてくることがあります。ブランディングは、その「らしさ」を無理に演出することではなく、伝わる形に整理する作業でもあるのだと思います。

自分が伝えたいことと、相手が思い浮かべることのズレにも気をつけたいところです。自分では「丁寧な仕事をしています」と思っていても、相手には「時間がかかる人」と伝わっているかもしれません。自分では「専門性を大切にしています」と思っていても、相手には「難しそう」と感じられているかもしれません。「自分がどう見せたいか」と「実際に何を思い浮かべてもらっているか」は別のものだと理解しておくことが大切です。

自分の事業について考えるなら、こんな質問が使えます。名前を聞いたとき、相手に何を思い浮かべてほしいか。実際には、どんなイメージを持たれていそうか。「○○といえば自分たち」と言えるものはあるか。WebとSNSで、同じブランドとして認識できるか。自分が伝えたいことと、相手が受け取っていることにズレはないか。ブランド認知が「知っている」という入口だとすれば、ブランド連想は、そこに意味を与えていくものです。「何を売っているか」だけではなく、「その名前を聞いたとき、何を思い浮かべてほしいか」を考えてみる。そこから、ブランディングの見え方が少し変わってくるかもしれません。

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