ロゴもある。名前も決まっている。商品もある。SNSもやっている。でも「このブランドって、何なんだろう?」と感じることがあります。これは見た目や発信方法の問題ではなく、ブランドそのものの軸が整理されていないことが一つの理由かもしれません。
ブランドアイデンティティとは何か
ブランドアイデンティティとは、「このブランドは、何者なのか」を整理したものです。何を大切にしているのか、どんな価値を提供するのか、誰のために存在するのか、どんな存在として認識されたいのか。ブランドの中心にある考え方を整理していきます。
ここで、「ブランド」との違いを押さえておきます。ブランドは、お客さんの側に積み重なっていく印象や認識です。一方、ブランドアイデンティティは、ブランド側が「自分たちはこういう存在でありたい」と定義するもの。両者は似ていますが、向きが逆なのです。
そして、アイデンティティはロゴや色といった見た目だけではありません。目的、価値観、提供する価値、個性、目指す方向、言葉遣い、ビジュアルまで関係します。また、「うちはパン屋です」というのは事業内容であって、「何者なのか」までは分かりません。同じパン屋でも「毎日の朝食に気軽に食べられるパンを届ける店」なのか「素材や製法を楽しんでもらう店」なのかで、存在する意味は違ってきます。
考えるための5つの質問
難しいフレームワークは要りません。まず次の5つから始められます。
1. 私たちは、何をしているのか?
2. 誰のために存在しているのか?(「誰でも」ではなく具体的に)
3. どんな価値を提供したいのか?(便利さ、安心、楽しさ、時間など)
4. 何を大切にしているのか?(迷ったときの判断基準になる価値観)
5. どんな存在として覚えてもらいたいのか?
最後に、「私たちは、○○な人に、○○という価値を届ける、○○な存在です」と一文にしてみると、曖昧だった部分が見えてきます。この一文は公開するためのものではなく、自分たちの考えを整理するための下書きです。
言葉と行動を揃える
注意したいのは、「自分たちはこうありたい」だけで終わらせないことです。ブランドは相手との関係の中で成立します。「分かりやすさを大切にしています」と言うならWebサイトも分かりやすくする。「地域を大切にしています」と言うなら日々の活動にも反映する。言っていることとやっていることが揃って、一貫性が生まれます。
また、「何をしないか」を決めることも、らしさをつくります。必要以上に煽らない、安さだけを売りにしない、流行っているという理由だけで取り入れない。アイデンティティは一度決めたら変えてはいけないものではありませんが、変えるときは理由を考えながら更新します。
まとめ
ブランドアイデンティティとは、「このブランドは何者なのか」を整理するための考え方です。それはロゴやキャッチコピーだけで表すものではなく、商品、サービス、Webサイト、SNS、接客、日々の判断の一つひとつに表れます。整理できると、Webページを作るときもSNSを投稿するときも、「これは自分たちらしいか」という判断ができるようになります。ブランドをおしゃれにすることではなく、「自分たちは何を大切にして、この事業をやっているのか」を整える作業なのです。
