「ペルソナって作ったほうがいいんですか?」マーケティングの話をしていると、よく出てくる言葉です。「ターゲットと何が違うの?」「架空の人物を作る意味があるの?」「そこまで細かく考える必要がある?」と思う人もいるかもしれません。
ターゲットは「集団」、ペルソナは「具体的な一人」
ペルソナとは、商品やサービスを利用する代表的な顧客像を、具体的に設定したものです。「30代女性」というだけではターゲットです。そこから「旭川で働いている35歳の女性。仕事と家事で忙しく、休日はできるだけゆっくり過ごしたい。Instagramで近所のお店を探すことが多い」というところまで具体的にしていく。実際に存在する特定の個人をそのまま設定する必要はなく、「こういう人なら、この商品を必要とするかもしれない」という人物像を考える方法です。
ターゲットが「誰に届けるか」という大きな範囲だとすれば、ペルソナは「その中の具体的な一人をイメージする」考え方です。たとえばターゲットは「30〜40代の子育て世代」、ペルソナは「38歳。旭川在住。子どもが2人。平日は仕事と家事で忙しい。休日に子どもと出かけられる場所をInstagramで探している」という具合です。
具体的にすると、言葉も写真も商品も変わる
ペルソナを考える目的は、「架空の人物に商品を売るため」ではなく、「相手の状況を具体的に想像するため」です。「忙しい人向けの商品」と言っても、仕事で忙しいのか、子育てで忙しいのか、介護で忙しいのかで、必要としているものは違います。具体的な一人を想像することで、「この人なら、どんなことを気にするだろう?」と考えやすくなります。
「高品質な商品です」だけでは誰にとって何がうれしいのか分かりにくくても、「忙しくても短時間で使える商品を探している人」と考えれば、「時間をかけずに使える」「毎日の負担を増やさない」といった伝え方ができます。写真も、商品だけを撮るのか、実際に使っている場面を見せるのかが変わります。さらに、「仕事帰りに立ち寄りたい人」が中心なら、営業時間、場所、予約方法、受け取り方法、支払い方法といった商品・サービスのあり方そのものも考えやすくなります。
細かさが目的ではない。大切なのは「実際の人」から考えること
ペルソナは細かければいいわけではありません。年齢、性別、住所、職業、年収、趣味、好きなブランドまで設定しても、「そこまで設定して何に使うの?」となるなら、細かくすること自体が目的になっています。年齢、仕事、生活スタイル、家族構成、困っていること、欲しいもの、商品を必要とする場面、情報を探す場所、購入するときに気になること。まずはこのくらいから始めて、「買う前に何を不安に思うだろう?」まで考えると、商品説明やホームページの内容にもつながります。
また、ペルソナは「理想のお客さん」ではありません。「20代のおしゃれな女性に来てほしい」と思っていても、実際に気に入ってくれているのは40代の女性かもしれません。すでに商売をしているなら、架空の人物をゼロから作るより、「なぜ買ったんですか?」「どこで知りましたか?」「何が決め手でしたか?」と実際のお客さんに聞いてみるほうが、使えるペルソナになりやすいでしょう。一人を設定することは「その人にしか売らない」という意味ではなく、「一人に話しかけるように考える」ことで文章が具体的になる、ということです。作ること自体を目的にせず、「この人は何を必要としているのか」「何があれば安心して選べるのか」を具体的に考えるための道具として使ってください。
