得意なことを話すより、苦手なことを話すほうが難しい。仕事のプロフィールを書くとき、だいたい「何ができますか?」と聞かれます。Webサイトを作れます、ECもできます、情報整理もできます、文章を書くこともあります。できることなら、いくらでも並べられます。
でも、「何が苦手ですか?」と聞かれると、少し考えます。苦手なことを知っておくことは、仕事を選ぶことにもつながる。僕の場合、いくつか、はっきりしています。
「とにかく作ってください」が苦手
何を作るのかは決まっている。でも、なぜ作るのかは決まっていない。それでも「とりあえず形にしてください」と言われる仕事があります。
もちろん、作ること自体はできます。ただ、そこに目的がないまま作り始めると、後からいろいろなことが起こります。「思っていたのと違う」「これも追加したい」「こっちのほうがいいかも」。そして、また作り直す。だから僕は、作る前に少し考えたいのです。
「言われた通りだけ」も苦手
これは少しややこしいところです。依頼されたことを無視して、勝手なことをするわけではありません。ただ、「言われたことだけをやればいい」と考えるのも違うと思っています。
例えば、「トップページを直してください」と言われたとしても、本当に必要なのがトップページの修正なのか、その理由を少し考えます。もしかしたら、問題はトップページではなく情報の整理かもしれない。あるいは、ページではなく伝え方の問題かもしれない。そういうところを考えずに、指示された場所だけを直す。それが、僕には少し苦手です。
情報を詰め込むだけの仕事も、正解を押しつけることも苦手
「情報は多いほうが親切。」そう思っていた時期もありました。でも、情報が多すぎると、かえって分からなくなることがあります。Webサイトでも、SNSでも、ネットショップでも同じです。大切なのは、どれだけ載せるかだけではありません。何を先に見せるのか。何を残すのか。何を省くのか。どこで詳しく説明するのか。そういう「順番」を考えるほうに、僕は興味があります。
また、「正解を押しつけること」も苦手です。Webや情報発信にはセオリーがあります。こうしたほうが分かりやすい、こうしたほうが見つけてもらいやすい、こうしたほうが使いやすい。そういう知識は大切です。でも、業種も、人も、規模も、目的も違えば、セオリーがそのまま全員に当てはまるわけではありません。「これが正解です」と決めつけるより、「この場合は、これが合いそうです」と考えるほうが好きです。
苦手の反対側に、大事にしているものがある
苦手なことが分かってくると、自分が何を大事にしているのかも見えてきます。僕の場合は、「考える時間」がかなり大事です。目的を考える、相手を考える、情報を整理する、順番を考える、その先を考える。だから、ただ作業だけを早く進めるより、最初に少し立ち止まるほうが合っています。
だから、「何でもできます」とは、あまり言わなくなりました。僕は、何でもできる人になりたいわけではありません。自分が得意なところ、自分が苦手なところ、自分が役に立てるところ、他の人にお願いしたほうがいいところ。そこを分けて考えられる人でいたい。そのほうが、結果的に相手にとってもいい仕事になると思っています。
苦手は、弱点というより「仕事の境界線」なのかもしれません。できないことを隠す必要はない。逆に、苦手なことまで無理に引き受ける必要もない。自分ができることを知る、できないことも知る、そして必要なら誰かにお願いする。それも含めて、仕事をつくるということなのだと思います。僕の場合、「作る人」で終わるより、「何を作るべきかを一緒に考える人」のほうが、どうやら向いている。そんなことが、少しずつ分かってきました。
