新しい道具を買う前に、今ある道具でやってみる。
新しい道具を見ると、欲しくなる。
これは、仕方がない。
新しいMac。
新しいキーボード。
新しいモニター。
新しいカメラ。
新しいAI。
新しいWebサービス。
「これを使ったら、もっと楽になるかもしれない」
そう思う。
実際、本当に楽になることもある。
だから、新しい道具を買うこと自体が悪いとは思っていない。
でも、最近は一つだけ考えるようになった。
「今あるもので、本当にできないのかな」
と。
道具を買うと、問題が解決したような気になる
仕事で困っている。
作業に時間がかかる。
整理できない。
うまく発信できない。
Webサイトが分かりにくい。
そうすると、新しいツールを探したくなる。
便利なアプリを入れる。
新しいサービスを契約する。
AIを試す。
新しい機材を買う。
すると、一瞬だけ安心する。
「これで解決できるかもしれない」
という気持ちになる。
でも、道具を買っただけでは、問題は解決していない。
ここは、かなり大事なところだと思っている。
問題と道具は、別のもの
例えば、
「SNSの投稿が続かない」
という問題があるとする。
そこで、新しいSNS管理ツールを導入する。
でも、そもそも何を発信するのか決まっていなかったら、ツールを入れても投稿は続かない。
「ホームページから問い合わせが来ない」
という問題がある。
そこで、デザインを新しくする。
でも、何を提供している会社なのか分かりにくいままだったら、見た目だけ変えても本質は変わらない。
「仕事が忙しい」
という問題がある。
そこで、タスク管理ツールを導入する。
でも、そもそもやらなくていい仕事を抱えていたら、タスク管理が上手になるだけで、仕事そのものは減らない。
道具は、問題を隠すこともある
これは少し怖いところだ。
新しい道具を導入すると、
「改善した気分」
になれる。
新しいサイトを作った。
新しいSNSを始めた。
新しいAIを使った。
新しい管理システムを入れた。
何かをしたから、前に進んだ気がする。
でも、本当に問題が解決したのか。
そこは別に考えたほうがいい。
まず、今の道具を使い切ってみる
僕は、何か新しいものを入れる前に、
「今使っているものを、ちゃんと使えているか」
を見るようにしている。
例えばスマートフォン。
写真を撮る。
メールを見る。
電話する。
SNSを見る。
検索する。
それだけでも、かなりのことができる。
それなのに、
「もっと高性能なカメラが必要」
と思うことがある。
もちろん、本当に必要なら買えばいい。
でも、
「今のカメラで撮りたい写真を、まだ撮り切れていない」
なら、まず今の道具を使ってみる。
カメラだけでは写真は決まらない
写真を撮るとき、
カメラの性能だけで結果が決まるわけではない。
光を見る。
構図を考える。
被写体を見る。
距離を変える。
角度を変える。
タイミングを待つ。
これはスマートフォンでもできる。
もちろん、専用カメラだからできることもある。
でも、道具の性能を上げる前に、使い方を変えることで改善できることも多い。
Webサイトも同じ
Webサイトがうまくいかない。
だから、
もっと高機能なCMSに変える。
もっと高いテーマを買う。
デザインを変える。
プラグインを増やす。
そういう選択肢もある。
でも、その前に、
タイトルは分かりやすいか。
誰向けなのか伝わっているか。
問い合わせまでの道筋があるか。
必要な情報が見つかるか。
古い情報が残っていないか。
スマートフォンで見やすいか。
こうした基本を確認する。
案外、問題はそこにある。
「高機能にする」より「分かりやすくする」
僕は、Webサイトを考えるとき、
「何ができるサイトなのか」
より、
「見る人が迷わないサイトなのか」
を重視することがある。
機能を増やす。
ページを増やす。
動きを増やす。
それより、
必要な情報が見つかる。
内容が理解できる。
次に何をすればいいか分かる。
そのほうが大事なことがある。
Webは、機能の展示会ではない。
使う人のためのものだからだ。
AIも同じだと思う
AIはものすごく便利だ。
僕自身も使う。
文章の整理。
アイデアの壁打ち。
構成の検討。
調査の補助。
下書き。
考えを整理するためにも使える。
でも、
「AIを使えば仕事が楽になる」
とだけ考えると、少し危ない。
何をAIに任せるのか。
何を自分で考えるのか。
どこを確認するのか。
どこまで信用するのか。
そこを決めないと、
「AIを使う仕事」
が増えるだけになる。
道具は、仕事を減らすために入れる
新しい道具を導入するなら、
「何ができるようになるか」
だけではなく、
「何をやらなくてよくなるか」
を見る。
ここはかなり重要だと思う。
例えば自動化。
毎回同じ作業をしている。
それを自動化する。
これは分かりやすい。
でも、
毎月やっているけれど、実は必要ない作業
なら、
自動化する前にやめればいい。
自動化する必要すらない。
「自動化する前に、やめられないか」
これは、仕事の整理でも使える考え方だ。
やめる。
減らす。
まとめる。
簡単にする。
そのあとで、
必要なら自動化する。
いきなり自動化しない。
これはWebでもSNSでも事務作業でも同じだ。
道具を買う前に「手順」を見る
例えば、
「毎週SNS投稿を作るのに時間がかかる」
とする。
新しいSNS管理ツールを探す前に、
投稿テーマを毎回ゼロから考えていないか。
写真を毎回探していないか。
文章の型がないのではないか。
投稿する曜日が決まっていないのではないか。
素材を保存する場所が決まっていないのではないか。
こうした部分を整理する。
すると、ツールを増やさなくても速くなることがある。
道具ではなく「型」が必要なこともある
仕事で時間がかかる理由は、道具ではなく「毎回考えているから」という場合がある。
メールを書く。
毎回ゼロから考える。
SNSを書く。
毎回ゼロから考える。
商品ページを作る。
毎回ゼロから考える。
記事を書く。
毎回ゼロから考える。
これでは時間がかかる。
そこで型を作る。
もちろん、全部をテンプレート化する必要はない。
でも、
最初の挨拶。
必要な情報。
最後の案内。
写真の構成。
記事の基本構造。
こういうものをある程度決めておけば、毎回の判断が減る。
「型」は、道具ではないけれど強い
型は目立たない。
新しいアプリのように、画面に表示されるわけでもない。
でも、仕事をかなり楽にする。
そして、一度作った型は何度も使える。
これは僕がWebの仕事で「仕組み」を大切にする理由の一つでもある。
新しい道具は「最後」に考える
僕なら、仕事の改善を考えるとき、だいたいこういう順番にする。
まず、問題を見る。
次に、何が原因なのかを見る。
その次に、やめられるものがないかを見る。
それから、簡単にできないかを見る。
今ある道具で解決できないかを見る。
それでも難しければ、新しい道具を探す。
この順番だ。
最初から「何を買おう?」にはしない。
道具選びは、買い物ではなく問題解決
これは「おまつの道具箱」で何度も出てくるテーマだと思う。
僕は道具が好きだから、道具を紹介したい。
でも、
「これを買えばいい」
という記事ばかりにはしたくない。
むしろ、
「そもそも、それ必要?」
というところも書きたい。
道具を増やすことが目的になったら、道具に振り回されるからだ。
道具が好きな人ほど、買わない選択が必要になる
これは、自分自身への戒めでもある。
新しいものは楽しい。
箱を開ける。
設定する。
触ってみる。
前より良くなった気がする。
この感覚は楽しい。
でも、
「楽しい」
と
「必要」
は違う。
ここを分けられるようになってから、道具との付き合い方が少し変わった。
買う理由を「困っていること」で言えるか
新しい道具を買おうと思ったら、
「これが欲しい」
ではなく、
「今、何に困っている?」
と自分に聞いてみる。
答えが、
「なんとなく」
なら、少し待つ。
「この作業に毎日30分かかっている」
なら、調べる価値がある。
「今の道具では、この作業ができない」
なら、買う理由になる。
「これを使うと、毎週この作業が10分になる」
なら、かなり具体的だ。
数字にすると、見えやすくなる
例えば、
毎週30分かかっている作業がある。
新しいサービスを入れることで10分になる。
月に4回なら、
20分×4回=80分。
年間では、
80分×12か月=960分。
約16時間。
これなら、
「その道具にお金を払う意味があるか」
を考えやすい。
もちろん、時間だけで判断する必要はない。
ストレスが減る。
ミスが減る。
品質が安定する。
引き継ぎやすくなる。
こういう価値もある。
でも、少なくとも「何が変わるのか」は見えるようにしたい。
「便利そう」から「何が変わる」へ
この違いは大きい。
便利そう。
ではなく、
何が変わる。
速くなる。
迷わなくなる。
ミスが減る。
共有しやすくなる。
続けやすくなる。
売りやすくなる。
伝わりやすくなる。
こう言えるなら、導入する意味が見えてくる。
道具を買う前に、自分の仕事を見る
僕は「おまつの道具箱」を書きながら、結局いつもここに戻ってくる。
道具の話をしているようで、
本当は仕事の話をしている。
仕事の話をしているようで、
本当は自分の時間の使い方の話をしている。
何に時間を使いたいのか。
何を減らしたいのか。
何を残したいのか。
何を大切にしたいのか。
道具は、その答えに合わせる
仕事を先に決める。
道具をあとから選ぶ。
この順番がいい。
もちろん、
「この道具を使いたい」
から新しい仕事の方法が生まれることもある。
それも面白い。
でも、基本は、
目的 → 仕事 → 道具
だと思っている。
だから、今ある道具をもう一度見る
新しい道具を探す前に、机の上を見る。
Macを見る。
iPhoneを見る。
今使っているソフトを見る。
自分のWebサイトを見る。
SNSを見る。
ファイルを見る。
「これ、もっと使えるんじゃないか?」
と考えてみる。
案外、まだ使っていない機能がある。
案外、知らない使い方がある。
案外、問題は道具ではない。
そして、必要なら新しい道具を買う
ここまで書いておいて、僕は新しい道具を買うことを否定しない。
必要なら買う。
欲しいものも買う。
好きなものも買う。
ただ、
「なぜ買うのか」
くらいは、自分で分かっていたい。
買ったあとに、
「結局、何のためだったんだろう」
となるのは避けたい。
道具は、買った瞬間が一番楽しいこともある。
でも、本当の価値が分かるのは、そのあとだ。
一週間使う。
一か月使う。
半年使う。
一年使う。
その頃になって、
「あってよかった」
と思えるなら、きっといい道具だったのだと思う。
道具は、未来の自分への投資でもある
長く使う道具なら、
「今便利か」
だけではなく、
「これからも使えるか」
も考える。
仕事が変わっても使えるか。
環境が変わっても使えるか。
自分が成長しても使えるか。
逆に、今しか使わないものなら、
簡単なもので十分かもしれない。
道具には、それぞれ寿命と役割がある。
「今あるものでやってみる」は、我慢ではない
新しいものを買わない。
そう聞くと、節約の話に聞こえるかもしれない。
でも、僕が言いたいのは我慢ではない。
自分の道具を知ることだ。
今あるものの能力を知る。
自分の使い方を知る。
自分の仕事の問題を知る。
そのうえで、
「やっぱり新しいものが必要だ」
となれば、それはかなり強い判断になる。
逆に、
「別に今のままでいいな」
となったら、それも立派な答えだ。
道具を買わないことも、
道具を選ぶことの一つだから。
新しい道具は、いつでも買える。
新しいサービスも、いつでも試せる。
新しいAIも、次々に出てくる。
だからこそ、急がなくてもいい。
今ある道具で、
もう一度やってみる。
少し使い方を変えてみる。
置き場所を変えてみる。
手順を変えてみる。
やらないことを決めてみる。
それでも困ったら、
そのとき新しい道具を探す。
僕はそのくらいの順番でいいと思っている。
道具は、問題を解決するためにある。
でも、ときどき、
問題を解決するのは道具ではなく、
「どう使うかを考えること」
だったりする。
だから今日も、新しいものを探す前に、
今使っている道具を少しだけ見直してみる。
もしかしたら、
探していた答えは、
もう道具箱の中にあるかもしれない。