道具を変える前に、使い方を変えてみる。
「なんだか使いにくい。」
仕事をしていると、そう感じることがあります。
もっと便利な道具があるんじゃないか。
もっと高性能なサービスに変えたほうがいいんじゃないか。
新しいアプリを入れたほうがいいんじゃないか。
そうやって検索を始める。
僕もやります。
道具が好きなので、むしろ新しいものを調べるのは楽しい。
でも、最近はその前に一つ考えるようになりました。
「本当に、道具を変える必要があるんだろうか。」
使いにくい原因は、道具とは限らない
たとえば机の上に物がたくさんあって、仕事がしにくい。
そこで、
「もっと大きな机を買おう」
と考える。
でも、実際には机が小さいのではなく、物を置きすぎているだけかもしれません。
モニターが見づらい。
だからモニターを買い替える。
でも、単純に高さや角度が合っていないだけかもしれない。
パソコンが遅い。
だから新しいパソコンを買う。
でも、実際には起動時に大量のアプリが動いているだけかもしれない。
仕事が進まない。
だから新しいタスク管理ツールを導入する。
でも、そもそも「今日やること」が3つではなく30個になっているだけかもしれない。
こういうことは、結構あります。
問題があると、僕たちはつい「道具」に目を向けます。
でも、
問題の原因が道具とは限らない。
新しい道具は、問題を解決した気分にさせてくれる
新しい道具を探すのは楽しいです。
新しいアプリ。
新しいパソコン。
新しいサービス。
新しいAI。
レビューを読む。
比較する。
動画を見る。
「これなら仕事が変わりそう」
と思う。
そして導入する。
設定する。
使い方を覚える。
……ここまでやってから、
「あれ?」
となることがあります。
前とあまり変わっていない。
むしろ、覚えることが増えた。
新しいサービスを管理する必要も増えた。
以前のデータを移す必要もある。
つまり、
問題を解決するために、新しい問題を増やしてしまう。
道具好きとしては、耳の痛い話です。
「道具を買う」は、行動している感じがする
これも少し面白いところです。
仕事で何か問題が起きたとき、
「やり方を変える」
より、
「新しい道具を導入する」
ほうが、行動している感じがします。
何かを買った。
何かを契約した。
新しいシステムを導入した。
AIを導入した。
見た目にも変化があります。
だから、
「ちゃんと改善した」
という感覚を得やすい。
でも、本当の改善は、
道具が変わったかどうかではなく、
「仕事の結果が変わったか」
です。
ここは忘れないようにしたいところです。
まず「今の道具で何ができるか」を考える
新しい道具を探す前に、僕なら一度こう考えます。
「今ある道具で、どこまでできるだろう。」
たとえば、
毎回同じ文章を作っているなら、まずテンプレートを作る。
毎回同じ情報を探しているなら、保存場所を決める。
毎回同じ質問に答えているなら、よくある質問をまとめる。
毎回同じ画像を作っているなら、サイズや構成を決めておく。
毎回同じ作業をしているなら、手順を書いてみる。
これだけで解決することがあります。
新しいサービスは必要ない。
今あるものの使い方を変えるだけでいい。
「使い方」を変えると、道具の見え方も変わる
同じ道具でも、使い方が変わると印象が変わります。
紙のノートだって、
思いつきを全部書く人もいれば、
毎朝3つだけ予定を書く人もいる。
スマートフォンだって、
SNSを見るためだけに使う人もいれば、
撮影、連絡、決済、記録、仕事の確認まで一台にまとめる人もいる。
AIだって、
答えを出してもらうために使う人もいれば、
自分の考えを整理する相手として使う人もいる。
道具そのものより、
「何を任せるか」
のほうが大事だったりします。
Webサイトも「作り直す」前にできることがある
これはWebの仕事でもよくあります。
「ホームページを作り直したい」
という相談があったとしても、すぐに制作の話にはしません。
まず、
なぜ作り直したいのか。
どこが困っているのか。
誰が困っているのか。
何が伝わっていないのか。
どの情報が古いのか。
問い合わせはどうなっているのか。
更新できているのか。
を見ます。
すると、
「全部作り直す必要はありませんね」
ということもあります。
トップページを整理するだけ。
サービスページを見直すだけ。
問い合わせ導線を変えるだけ。
写真を入れ替えるだけ。
文章を書き直すだけ。
更新方法を変えるだけ。
そんなケースもあります。
逆に、
「これは作り直したほうがいい」
ということもあります。
でも、その判断は、
「新しいサイトのほうがかっこいいから」
ではありません。
目的に対して、今の構造では無理があるからです。
「変える」と「直す」は違う
僕はこの二つを分けて考えたいと思っています。
変える。
直す。
整える。
減らす。
追加する。
順番を変える。
役割を変える。
これらは全部、改善です。
でも、世の中では「改善=新しくする」と考えられがちです。
新しいホームページ。
新しいロゴ。
新しいSNS。
新しいシステム。
新しいツール。
もちろん必要な場合もあります。
ただ、
「新しくすること」と「良くすること」は同じではありません。
道具を変えないことも、立派な改善
「今のままでいい」
という結論になることもあります。
これは何もしていないように見えます。
でも、
「調べた結果、変えない」
のと、
「何も考えずに、そのまま」
はまったく違います。
前者には判断があります。
今の道具で十分。
移行するほどのメリットはない。
使い慣れていることの価値が大きい。
今は別のことに時間を使ったほうがいい。
そう判断できたなら、それも改善です。
道具を変える基準を持っておく
では、どんなときに道具を変えるのか。
僕なら、こんなことを考えます。
「今の道具では、目的を達成できないのか。」
「できるけれど、時間がかかりすぎるのか。」
「使う人が増えても対応できるのか。」
「引き継げるのか。」
「維持するための手間が大きすぎないか。」
「別の道具に変えることで、その問題は本当に解決するのか。」
そして、
「変えた後のほうが、仕事はシンプルになるか。」
ここが大事です。
高機能になっても複雑になるなら、必ずしも改善ではありません。
「今の道具で一度やってみる」
新しい道具を探す前に、
一度だけ今ある道具でやってみる。
それで、
「やっぱり無理だ」
となったら、初めて次を探す。
この順番にするだけでも、道具が増えにくくなります。
そして面白いことに、
「今の道具でどうにかする」
と考えると、自分の仕事のやり方が見えてきます。
何が問題なのか。
どこに時間がかかっているのか。
何が面倒なのか。
何を自動化したいのか。
何を人間がやるべきなのか。
新しい道具を探す前に、
問題そのものが見えてくる。
道具は、問題を解決するためにある
僕は道具が好きです。
だからこそ、
「道具を増やすこと」
と
「仕事を良くすること」
は分けて考えたい。
新しい道具を買うことが悪いわけではありません。
むしろ、必要な道具はどんどん使えばいい。
AIだってそうです。
便利なものは使う。
でも、
「AIを使うこと」
が目的になったら、少し違う。
Webサイトを作ることも同じ。
SNSを運用することも同じ。
ECサイトを作ることも同じ。
全部、
「何を実現するためなのか」
が先にある。
道具は、その後です。
使い方を変えて、それでも駄目なら変える
この順番が、僕にはちょうどいい。
まず目的を見る。
次に問題を見る。
その次に、今ある道具を見る。
使い方を変えてみる。
それでも解決しない。
そこで初めて、新しい道具を探す。
この順番なら、
「新しい道具が欲しい」
という気持ちに引っ張られにくくなります。
そして、新しい道具を選ぶときにも、
「何となく良さそう」
ではなく、
「この問題を解決するために必要」
と言えるようになる。
これは、かなり大きな違いです。
道具を変える前に、自分のやり方を見る
結局のところ、
道具が仕事をするわけではありません。
道具を使う人が仕事をします。
だから、うまくいかないときは、
道具を疑ってもいい。
でも、その前に、
自分の使い方も一度見てみる。
それで解決するなら、そのほうがいい。
今ある道具を活かせる。
余計な移行作業もない。
新しいことを覚える必要もない。
そして何より、
「自分の仕事に合わせて道具を使っている」
という感覚が持てます。
新しい道具を探すことは、いつでもできます。
でも、その前に一度だけ。
今ある道具で、
「別の使い方はできないかな」
と考えてみる。
案外、まだ使っていない機能があるかもしれません。
あるいは、道具ではなく、
自分の仕事のやり方を少し変えるだけで済むかもしれません。
道具を変えるのは、そのあとでいい。
まず、使い方を変えてみる。
僕はそのくらいの順番が、ちょうどいいと思っています。