道具を選ぶとき、他人の正解をそのまま持ち込まない。
道具を選ぶとき、僕たちはよく「正解」を探します。
おすすめは何か。
一番人気は何か。
プロは何を使っているか。
売れているのはどれか。
評価が高いのはどれか。
YouTubeで紹介されているのは何か。
レビューで絶賛されているのは何か。
もちろん、こういう情報は便利です。
僕もかなり見ます。
知らない道具を選ぶとき、実際に使っている人の話はものすごく参考になる。
ただ、そこで一つだけ気をつけたいことがあります。
「その人にとっての正解」と「自分にとっての正解」は、同じとは限らない。
「おすすめ」は、条件つきの言葉
たとえば、
「このキーボード、最高です」
というレビューがあったとします。
それを見て買ってみる。
ところが、自分には合わない。
キーの感触が違う。
配列が違う。
机との相性が悪い。
そもそも、使う時間が短い。
そんなことがあります。
レビューを書いた人が嘘をついているわけではありません。
その人にとっては、本当に最高なのだと思います。
でも、その評価には、
「その人の仕事」
「その人の手」
「その人の環境」
「その人の好み」
「その人の予算」
が含まれています。
だから、
「おすすめ」
という言葉だけを持ってきてはいけない。
条件まで一緒に見る必要があります。
プロが使っているから、自分にも必要とは限らない
「プロが使っている」
というのも強い言葉です。
プロが使う道具には、当然理由があります。
性能が必要なのかもしれない。
耐久性が必要なのかもしれない。
仕事として使うから投資できるのかもしれない。
長時間使うから、細かな違いが重要なのかもしれない。
でも、
「プロが使っている」
と
「自分にも必要」
は別です。
毎日10時間使う人と、週に2回使う人では、必要な性能が違います。
100枚撮る人と、年に数回撮る人ではカメラの選び方も違う。
毎日文章を書く人と、月に数回メールを書く人では、キーボードに求めるものも違う。
だから、
「プロ仕様」
という言葉に必要以上に引っ張られなくてもいい。
高性能が、使いやすいとは限らない
道具の世界では、
高性能=良い
と思いやすい。
機能が多い。
細かく設定できる。
処理が速い。
拡張性が高い。
こういう道具は魅力的です。
でも、使わない機能まで増えると、
覚えることも増えます。
設定することも増えます。
管理することも増えます。
場合によっては、
「できることが増えたのに、仕事が遅くなった」
ということもあります。
だから僕は、
「何ができるか」
だけではなく、
「何をしないか」
も見ます。
僕はHHKBを使っている。でも、全員に勧めたいわけではない
HHKBは気に入っています。
でも、
「だからみんなHHKBを買ったほうがいい」
とは思いません。
文章を書く。
キーボードを長時間使う。
独特のキー配列に慣れることを苦にしない。
こういう条件があるから、自分には合っています。
逆に、
数字入力が中心。
特殊なキーを多用する。
一般的なキーボードから変えたくない。
という人なら、別の選択肢のほうがいいかもしれません。
道具の評価は、
「良いか悪いか」
だけでは決まりません。
「何をする人が、どう使うか」
まで入って初めて意味が出ます。
GibsonとFenderも、同じ
ギターなら、もっと分かりやすい。
「GibsonとFender、どっちがいい?」
と聞かれても、
僕は簡単には答えられません。
音が違う。
弾き心地が違う。
重さが違う。
操作感が違う。
アンプとの相性も違う。
演奏する音楽も違う。
そして何より、
弾く人が違う。
だから、
「どちらが上か」
という話にすると、かなりおかしくなる。
必要なのは、
「自分が何をしたいのか」
です。
道具選びは、ランキングではない
インターネットでは、すぐランキングになります。
おすすめ5選。
買ってよかった10選。
プロが選ぶベスト3。
初心者向けランキング。
コスパ最強。
こういう記事は便利です。
ただ、ランキングは、
「多くの人にとっての平均的な評価」
であることが多い。
平均から外れる人にとっては、全然違う結果になることがあります。
僕は、
「ランキングの1位だから買う」
より、
「自分の条件なら、この中ではこれかな」
という選び方のほうが好きです。
まず、自分の条件を書く
道具を買う前に、僕なら簡単に書き出します。
何に使うのか。
どれくらい使うのか。
どこで使うのか。
何が一番困っているのか。
絶対に必要なものは何か。
なくてもいいものは何か。
予算はいくらか。
そして、
「今の道具では何が足りないのか」
を考える。
これだけでも、かなり選びやすくなります。
商品を見る前に、自分を見る。
これが結構大事です。
「好き」も、ちゃんとした条件
一方で、全部を合理性だけで決める必要もありません。
ここは、道具が好きな人間として言っておきたい。
「なんとなく好き」
も、大事な理由です。
デザインが好き。
触った感じが好き。
音が好き。
持ったときの感覚が好き。
その道具を見ると仕事をしたくなる。
こういうことも、立派な価値です。
毎日使うものなら、なおさらです。
性能表だけを見て選んだ道具より、
「これ、好きなんだよな」
と思える道具のほうが、長く使えることもあります。
合理性だけでは測れない部分があります。
ただし、「好き」と「必要」は分けておく
ここも重要です。
好きだから買う。
それ自体は悪くない。
でも、
「好きだから必要」
に変わってしまうと、少し危険です。
欲しいものと必要なものは別。
趣味として買うなら、それでいい。
仕事の道具として買うなら、
「仕事にどう役立つのか」
も考える。
この二つを混ぜないだけで、かなり冷静になれます。
Webでも「他社の正解」を持ってこない
これは、Webサイトでも同じです。
「あの会社のホームページがかっこいいから、うちもこうしたい」
という相談があります。
参考にすること自体は悪くありません。
むしろ、良いサイトを見るのは大事です。
ただ、そのまま持ってくるのは違います。
その会社には、その会社の歴史があります。
商品があります。
顧客があります。
規模があります。
人員があります。
更新できる人がいます。
予算があります。
だから、
「同じデザインにしたら、同じ結果になる」
わけではありません。
必要なのは、
「なぜ、この会社はこの構造にしているんだろう」
を見ることです。
真似るなら「形」より「考え方」
良いサイトを参考にするなら、
見た目だけではなく、
・誰に向けているのか
・何を一番伝えたいのか
・どこへ誘導しているのか
・情報がどう整理されているか
・何を載せて、何を載せていないか
・問い合わせまでどうつながるか
を見る。
すると、
「このデザインが好き」
から、
「この考え方は自分の事業にも使える」
に変わります。
こっちのほうが、ずっと役に立ちます。
他人の正解は「材料」にする
レビューも。
ランキングも。
専門家の意見も。
友人のおすすめも。
SNSで話題になっている道具も。
全部、材料として使えばいい。
最終的に決めるのは自分。
これは頑固になるという意味ではありません。
むしろ逆です。
人の意見を聞く。
ちゃんと調べる。
比較する。
そのうえで、
「自分の場合はどうだろう」
と考える。
人の意見を尊重しながら、自分の判断も手放さない。
この距離感が大事なんだと思います。
正解を探しすぎると、決められなくなる
道具選びでは、
「もっと良いものがあるかもしれない」
という気持ちが、いつまでも続きます。
Aを見つける。
でもBも気になる。
Bを調べる。
今度はCが出てくる。
レビューを見る。
また別の商品が出てくる。
気づいたら、
「選ぶこと」
だけで時間を使っている。
これも、よくあります。
だから、
「自分に必要な条件を満たしたら決める」
というルールを作るのもいい。
100点の道具を探すのではなく、
「十分に合っている道具」
を選ぶ。
仕事では、そのほうが前に進みます。
「自分に合う」は、使って初めて分かる
そして結局、
使ってみないと分からないことがあります。
レビューでは分からない。
スペック表でも分からない。
店頭で触っても分からない。
実際に仕事で使ってみて、
「これ、いいな」
となることもあれば、
「思っていたのと違う」
となることもある。
だから、
最初から完璧な選択をしようとしなくてもいい。
試す。
使う。
合わなければ戻す。
必要なら変える。
そのくらいでもいいと思います。
道具に「正解」を求めすぎない
僕は、道具には一つの正解があるとは思っていません。
ある人にとって最高の道具が、
別の人には合わない。
逆もある。
それでいい。
道具は、人間の生活や仕事に合わせて使うものだからです。
大事なのは、
「みんなが使っているもの」
ではなく、
「自分の目的にちゃんと役立つもの」。
そして、
「自分が無理なく使い続けられるもの」。
そこに、
「好き」
が加わったら、なおいい。
他人の正解は、参考にする。
でも、そのまま自分の答えにはしない。
僕は道具を選ぶとき、
「これは誰にとって正解なんだろう」
と考えるようにしています。
その一言を挟むだけで、
ランキングの見え方も、
レビューの読み方も、
おすすめ商品の見え方も、
少し変わってきます。
そしてたぶん、
Webや仕事の仕組みを考えるときも同じです。
他社の成功事例は参考になる。
でも、その会社と自分は違う。
だから、
真似するのではなく、
自分の条件に置き換える。
その作業こそが、
「自分に合った仕組み」をつくるための最初の一歩なんだと思います。