2026年版|「お客様は知っているはず」を、もう一度疑ってみる。情報不足ではなく「前提の違い」かもしれない

SI — Structural Intelligence

「ホームページにちゃんと書いてあります」

「SNSでも何度も告知しています」

「以前から説明しているので、知っていると思います」

仕事をしていると、そんな場面があります。

こちらからすると、

「これだけ伝えているのだから、分かっているはず」

と思ってしまう。

でも、お客様側からすると、

「そんなこと知らなかった」

ということがあります。

この違いは、どちらかが悪いという話ではありません。

情報を発信する側と、受け取る側では、見えている世界が違うからです。

今回は、マーケティングやWeb、SNSでよく起こる「知っているはず」という思い込みについて、2026年の今あらためて考えてみます。

目次

「書いてある」と「知っている」は違う

まず、ここを分けるだけでも、いろいろなことが見えてきます。

Webサイトに情報が書いてある。

これは事実です。

SNSで投稿した。

これも事実です。

チラシを配った。

看板を出した。

メールを送った。

これらも「伝えるための行動」です。

でも、

「だから、お客様は知っている」

とは限りません。

例えば、ホームページに営業時間を書いていても、初めて訪れた人がそこまでたどり着けなければ分かりません。

SNSでイベントを告知していても、その投稿を見ていなければ知りません。

以前説明したとしても、時間が経てば忘れることもあります。

つまり、

「発信した」

と

「相手が知っている」

の間には、いくつかの段階があります。

ここを飛ばさないことが、情報設計では大切です。

お客様は、あなたの情報を全部見ているわけではない

事業者は、自分の仕事について詳しく知っています。

商品も知っている。

サービスも知っている。

料金も知っている。

営業時間も知っている。

過去の経緯も知っている。

だから、自分にとって当たり前の情報を省略してしまうことがあります。

「これは当然分かるだろう」

「前にも書いたからいいだろう」

「普通はこういうものだから」

でも、お客様は違います。

初めて知った人かもしれない。

たまたま検索してきた人かもしれない。

誰かに紹介されただけの人かもしれない。

そもそも、その業界の知識がない人かもしれません。

事業者にとっての「常識」は、お客様にとっての常識とは限らない。

この視点を持つだけで、Webサイトの文章はかなり変わります。

情報は「あるか」より「見つかるか」

Webサイトを整理するとき、僕はよく、

「その情報はありますか?」

だけではなく、

「その情報は、必要な人が見つけられますか?」

と考えます。

例えば、

料金がどこかに書いてある。

場所がどこかに書いてある。

予約方法がどこかに書いてある。

キャンセルについても、どこかに書いてある。

それでも問い合わせが多いなら、

「情報が足りない」

のではなく、

「情報の位置や順番が分かりにくい」

可能性があります。

これは情報設計の問題です。

情報を増やすことが、いつも解決になるわけではありません。

むしろ、情報が増えすぎると、必要なものを探すのが難しくなることもあります。

「何を知りたいか」は、立場によって違う

例えば、新しい飲食店を初めて利用する人なら、

「何が食べられる?」

だけではなく、

「どこにある?」

「駐車場はある?」

「予約は必要?」

「一人でも大丈夫?」

「子ども連れでも大丈夫?」

などを気にするかもしれません。

同じ店でも、常連客なら知りたいことは違います。

「新メニューは?」

「今月の営業日は?」

「限定商品は?」

などになるでしょう。

つまり、

「お客様」という一つの言葉でまとめても、その人が今どの段階にいるかによって必要な情報は変わります。

初めて知った人。

興味を持った人。

比較している人。

利用しようとしている人。

すでに利用した人。

それぞれに必要な情報があります。

「伝えすぎ」も問題になる

「じゃあ、全部書けばいいのか」

というと、そうでもありません。

ここが難しいところです。

情報が少なすぎれば分からない。

多すぎれば読めない。

だから重要なのは、

「必要な人に、必要な情報を、必要なタイミングで届ける」

ことです。

例えば、トップページにすべてを書き込む必要はありません。

まず概要を伝える。

興味を持った人が詳しいページを見る。

利用を検討する人が料金や条件を見る。

予約する人が予約方法を見る。

このように情報を分ける。

Webサイトは「全部を一枚に詰め込む場所」ではなく、「必要な情報へ案内する場所」と考えると整理しやすくなります。

SNSで「何度も言っているのに伝わらない」理由

SNSでも同じことが起こります。

「もう何回も投稿しているのに」

と思うことがあります。

でも、SNSは基本的に情報が流れていきます。

今日見てくれた人が、昨日の投稿を見ているとは限りません。

先週の投稿を知らない人もいます。

そして、新しいフォロワーは、過去の投稿を全部読んでくれるわけではありません。

だから、

「一度言ったから終わり」

ではなく、

「必要な情報は、形を変えながら何度か伝える」

という考え方も必要になります。

同じ内容を毎回そのまま投稿する必要はありません。

新しい事例と一緒に伝える。

質問形式にする。

写真と一緒に伝える。

短くまとめる。

詳しいページへ案内する。

こうすれば、同じ情報でも違う入口をつくれます。

2026年は「情報のつながり」も重要になる

Web検索だけでなく、SNS、地図、レビュー、動画、AIなど、情報を知る入口は増えています。

だからこそ、一つのページだけ完璧にすれば終わり、という話ではなくなっています。

Webサイトにある情報。

SNSで発信している情報。

店舗情報。

商品情報。

イベント情報。

それぞれがバラバラになっていると、受け手は混乱します。

例えば、

SNSには「10時から営業」

Webサイトには「11時から営業」

地図には別の営業時間。

こうなれば、

「結局どれが正しいの?」

となります。

情報発信では、量だけではなく「整合性」も大切です。

これは検索する人にとっても、AIなどが情報を整理するときにとっても重要な考え方です。

「知らなかった」を責めない

お客様から、

「そんなの知らなかった」

と言われたとき。

つい、

「ちゃんと書いてあるのに」

と思ってしまうことがあります。

でも、その言葉を、

「どこで情報が途切れたんだろう?」

と考える材料にしてみる。

すると、クレームや問い合わせも、情報改善のヒントになります。

もちろん、すべての要望に応える必要はありません。

事業者側のルールや条件を変える必要もありません。

ただ、

「なぜ分からなかったのか」

を考えることはできます。

どこに書けばよかったのか。

どの言葉なら分かりやすかったのか。

いつ伝えるべきだったのか。

誰に伝えるべきだったのか。

こうして考えると、単なる「伝え方」の問題ではなくなります。

「説明する」と「確認できる」は違う

もう一つ、大切な違いがあります。

人に説明することと、

「自分で確認できる状態にすること」

は違います。

スタッフが毎回電話で説明する。

DMが来るたびに同じ回答をする。

来店するたびに同じ注意事項を伝える。

これを繰り返しているなら、その情報はWebサイトなどに整理できるかもしれません。

もちろん、すべてを自動化する必要はありません。

人が話したほうがいいこともあります。

ただ、何度も同じ説明をしているなら、

「この説明、仕組みにできないかな?」

と考えてみる。

これはお客様のためだけではなく、事業者側の負担を減らすことにもつながります。

「質問」は、情報設計のヒントになる

実は、お客様から受ける質問は、とても貴重です。

「駐車場はありますか?」

「予約は必要ですか?」

「どこから申し込めばいいですか?」

「これは誰でも使えますか?」

「料金はいくらですか?」

こうした質問が繰り返されるなら、

「その質問をする人が悪い」

のではなく、

「まだ情報が整理されていないのかもしれない」

と考えられます。

もちろん、質問そのものをなくすことが目的ではありません。

人に聞くこと自体が、サービスの一部になる場合もあります。

でも、

「同じ質問に何度も答えている」

のであれば、改善できる場所が見えている可能性があります。

小さな事業ほど「当たり前」を言葉にする

大きな企業には、専門の広報やマーケティング担当者がいる場合があります。

一方、小さな事業では、経営者自身が商品説明もSNSもWebサイトも担当することがあります。

そうすると、

「こんなことまで書かなくても分かるだろう」

となりやすい。

でも、小さな事業だからこそ、

「自分たちにとって当たり前のこと」

を一度言葉にしてみる価値があります。

なぜこの商品を扱っているのか。

誰に向いているのか。

何ができて、何ができないのか。

どんなときに利用してほしいのか。

初めての人は何を不安に思うのか。

こうしたことを整理すると、自分たちの仕事そのものが見えてくることがあります。

Webサイトは「営業マン」ではなく「確認できる場所」

「ホームページを作れば、営業してくれる」

という考え方があります。

確かに、Webサイトが新しい出会いを生むことはあります。

でも、それだけではありません。

SNSで知った人が確認する。

紹介された人が調べる。

店舗に行く前に確認する。

問い合わせる前に条件を確認する。

比較検討するときに見る。

つまりWebサイトは、

「初めて知る場所」

であると同時に、

「もう一度確認する場所」

でもあります。

だからこそ、

「知っている人向けの説明」

だけではなく、

「何も知らない人が確認できる情報」

を用意しておくことが大切です。

「知っているはず」を疑うことは、相手を疑うことではない

ここは誤解したくないところです。

「お客様は知らない」

と言いたいわけではありません。

むしろ、

「自分たちが知っていることを、相手も同じように知っているとは限らない」

というだけです。

それは、お客様の問題でもありません。

事業者の問題でもありません。

立っている場所が違うだけです。

だから、その間にある情報のズレを整理する。

それがWebやSNS、情報発信の役割のひとつだと思っています。

松井構造室が考える「伝わる」のつくり方

松井構造室では、

「もっと発信しましょう」

と、いきなり情報を増やすことだけを考えるのではなく、

まず、

誰に伝えるのか。

その人は今どんな状態なのか。

何を知りたいのか。

どこで迷うのか。

どの情報があれば判断できるのか。

その情報は、どこに置くのが自然なのか。

というところから整理します。

Webサイトを作る。

SNSを増やす。

文章を書く。

それらは手段です。

大切なのは、その手段を使って、

「必要な人が、必要な情報を、自分で見つけて判断できる状態」

をつくること。

「書いてあるのに」

から、

「これなら分かる」

へ。

その小さな違いが、問い合わせの減少につながることもあれば、新しい出会いにつながることもあります。

「伝えたつもり」を一度、外から見てみる

もし、

「ちゃんと伝えているのに、なぜか伝わらない」

と感じることがあったら。

発信量を増やす前に、一度だけ立場を変えてみる。

「自分のことを何も知らない人だったら、これを見て分かるだろうか?」

と考えてみる。

そして、

「この人が次に知りたいことは何だろう?」

と考える。

それだけでも、見え方が変わります。

情報は、発信した瞬間に完成するものではありません。

受け取る人との間に置かれて、初めて役割を持ちます。

だから僕は、

「伝えたかどうか」

だけではなく、

「相手が必要なときに、必要な情報へたどり着けるか」

まで考えていきたい。

2026年のWebやSNSに必要なのは、情報を増やすことだけではなく、

「情報の届き方を整理すること」

なのだと思います。

ホームページを作ったのに問い合わせが来ない店向け『Web整理相談』— 誰向けか・何を頼めるか・どこから連絡するかを、伝わる順番に整えます。

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