売っているのは、商品だけですか? おいしいものを食べたい人は、味だけでなく、誰と食べるか、どんな場所で食べるかも楽しみにしているかもしれません。贈り物を探している人は、品物だけでなく、相手に喜んでもらえる時間を想像しているかもしれません。沖縄のテーマパーク「ジャングリア沖縄」の期間限定イベントをきっかけに、商品やサービスの価値をどう伝えるか考えます。
飲食に、音楽と空間と文化を組み合わせる
ジャングリア沖縄では、2026年10月13日から12月27日まで、期間限定イベント「JUNGLIA×ORION 島風めんそーれ祭り」が開催されています。公式発表によると、沖縄らしい食や音楽、地元エイサー団体の演舞、写真スポットなどを組み合わせ、秋の沖縄でゆったりと過ごす楽しみ方を提案するイベントです。アウトドアレストラン「ワイルド バンケット」では、ショーの最後に会場全体で乾杯する演出が加わり、オリオンビールを使った期間限定ドリンクやノンアルコールのモクテルも用意されています。さらに、提灯を飾ったフォトスポットや、週末の地元エイサー団体による演舞など、飲食だけでは終わらない体験が組み合わされています(出典:ジャングリア沖縄公式プレスリリース)。
注目したいのは、ドリンクや料理を提供するだけでなく、お客様が過ごす時間そのものをイベントの価値として設計していることです。もちろん、大規模施設と小さなお店では予算も人員も違います。大切なのは規模をまねることではなく、価値のつくり方を考えることです。
お客様は商品だけを買っているわけではない
同じコーヒーを販売するお店が2軒あり、味も価格も大きく変わらないとき、お客様は何を基準に選ぶのでしょうか。静かに過ごせる、店主との会話が楽しい、仕事に集中できる、友人とゆっくり話せる。お店で過ごす時間に価値を感じることもあります。商品そのものだけでは違いが伝わりにくくても、その商品があることで何ができるのか、どんな気持ちになれるのか、どんな時間を過ごせるのかまで伝えられれば、選ぶ理由が変わる可能性があります。これは飲食店だけの話ではなく、雑貨、アクセサリー、食品、ハンドメイド作品、Web制作、コンサルティングなど、さまざまな小さな事業に応用できます。
小さなお店なら、何を「体験」にできるのか
「体験を売る」と聞くと、ワークショップやイベントを用意しなければならない気がしますが、必ずしも特別な企画は必要ありません。パン屋さんなら朝食におすすめの組み合わせや、おいしく食べる方法、季節の食材を楽しむ提案。ハンドメイド作家なら素材やサイズだけでなく、どんな場面で使えるのか、贈る相手にどんな気持ちを届けられるのか。雑貨店なら単体写真だけでなく、実際に部屋に置いた様子や生活の中での使い方。Web制作や事業相談なら、納品物や相談時間だけでなく、情報が整理されたことで何が分かりやすくなるのかを伝えることです。
ここで大切なのは、実際には提供していない価値をあるように見せないこと。「これを買えば必ず幸せになる」「売上が必ず上がる」といった約束は必要ありません。実際にできること、使うことで得られる具体的な利点、提供者が大切にしていることを丁寧に伝える。商品を大きく見せるのではなく、商品の価値を相手が理解できる形にすることも、情報発信の仕事です。
SNSでは、商品写真の「その先」を見せる
InstagramやThreadsなどで商品を紹介するとき、新商品の写真、イベントの告知、営業日のお知らせは必要な情報です。ただ、それだけでは発信内容が限られてしまいます。商品が完成するまでの制作風景、商品を使う場面やおすすめの使い方、素材や製法を選んだ理由、お客様からよく聞かれる質問、商品を選ぶときに知っておくと便利なこと、作り手が大切にしている考え方。これらは投稿のネタを増やすためではなく、商品を知らない人に理解してもらい、購入を考える人の疑問を解消するための情報です。
反対に、どれだけ魅力的な投稿でも、販売場所や注文方法が分からなければ購入まで進めません。情報発信では、魅力を伝えることと、行動に必要な情報を用意することの両方を考えておきたいところです。発信を増やす前に、①誰に届けるのか、②何を提供しているのか、③どんな場面で役立つのか、④どうすれば伝わるのか、⑤その先に何があるのか。この5つを整理すると、SNSで何を発信するか、ホームページに何を掲載するかが考えやすくなります。
