地域の魅力を、仕事につなげるには? 北海道北見市で、地域の仕事づくりや観光振興に関わる人材の募集が行われています。北見市が2026年9月14日に公開したのは、「地域活性化起業人(副業型)」の募集です。民間企業などで培った専門知識やネットワークを活かし、地域資源を活用した観光振興や地域経済の活性化を進めることを目的としています。この取り組みを入口に、地域の魅力を事業につなげるために必要な「情報の整理」と「仕組みづくり」を考えます。
募集が求めているのは、魅力を見つける人だけではない
北見市の募集は、総務省の「地域活性化起業人制度」を活用した取り組みです。特徴的なのは「副業型」であることです。一定の条件を満たす企業などに所属する人が、本業で培った経験を活かしながら北見市の取り組みに関わる仕組みになっています。市の公式案内によると、主な業務は、地域の魅力を活かした観光商品の企画支援、専門知識を活かした企業間ネットワークの拡充、商談会などへの参加を含む新しい販売経路の開拓、地元企業との協力体制づくりなどです。従事条件は月4日以上かつ月20時間以上で、月1日以上は北見市内に滞在すること。従事期間は2026年10月1日から2027年3月31日までを基本とし、次年度以降の継続について協議する仕組みです。応募要件には所属企業や勤務先に関する条件などが定められており、個人事業主であれば誰でも応募できる制度ではありません。募集は公式案内上、随時受付となっています。応募を検討する場合は、最新の募集要項で条件を確認する必要があります。
地域の活性化というと、新しい観光スポットをつくることや大きなイベントを開催することを思い浮かべるかもしれません。もちろん、それらも魅力的な方法の一つです。ただし、地域に魅力的な商品や場所があるだけで、自然に人が集まり売上が増えるとは限りません。例えば地域の農産物。生産者が丁寧に育て品質にこだわっていたとしても、その存在を知らない人には購入する機会がありません。知ってもらえても、どこで買えるのか、どんな特徴があるのか、どんな料理に向いているのかがわからなければ、購入を判断しにくいこともあります。必要なのは、魅力を見つけることだけではありません。その魅力を、誰に、どのような形で届けるのかまで考えることです。
情報発信は、投稿することだけではない
今回の募集で注目したいのが、情報発信に関するノウハウの活用です。情報発信というと、SNSに投稿することやホームページを更新することを思い浮かべるかもしれません。しかし事業の視点で考えるなら、投稿することは情報発信の一部分です。本当に考えたいのは、情報を届けた結果、相手に何を理解してもらい、どのような行動につなげたいのかということです。
地域の観光商品を紹介する場合、「自然が豊かな地域です」と発信するだけでは、具体的な利用イメージが湧かない人もいます。どんな体験ができるのか、誰に向いているのか、所要時間はどのくらいか、予約はどこからできるのか。こうした情報が整理されていれば、興味を持った人が次の行動に移りやすくなります。地域の小さなお店でも同じで、商品の写真を投稿するだけでなく、特徴や購入方法、利用するメリットなどを伝えることで、お客様が判断するための材料を提供できます。情報発信は、目立つことだけが目的ではありません。相手が理解し、選び、行動できるようにすることも大切な役割です。
地域の魅力を事業につなげる4つの整理
①誰に届けたいのか。観光客なのか、地元の住民なのか、家族連れなのか、ひとりで旅行する人なのか、商品を仕入れたい企業なのか。相手によって必要とする情報も魅力を感じるポイントも変わります。誰にでも届けようとすると、伝える内容がぼやけてしまうことがあります。
②どんな価値を提供できるのか。商品やサービスの特徴を並べるだけでなく、それを利用すると何ができるのか、どんな悩みが解決するのか、どんな時間を過ごせるのか。提供する側が伝えたいことと、受け取る側が知りたいことは必ずしも一致しません。相手の視点から価値を整理することが大切です。
③どこで届けるのか。ホームページ、SNS、Googleマップ、オンラインショップ、観光案内、商談会など。すべてに手を広げる必要はなく、相手が情報を探す場所や、実際に購入・利用するまでの流れに合わせて必要な接点を選びます。
④どうすれば継続できるのか。問い合わせに対応できるのか、注文が増えても提供できるのか、在庫や発送体制は整っているのか、発信を続ける時間を確保できるのか。認知を広げることだけを考えていると、実際に反応があったときに対応できないこともあります。
ホームページを新しく作ったり、SNSの投稿を増やしたりすることから始めたくなるかもしれません。しかし、作る前に、何を実現したいのか、誰に知ってもらいたいのか、相手にどんな価値を提供できるのか、どこから購入や問い合わせにつなげるのか、反応があったときに対応できるのかを整理しておくことが大切です。魅力を見つけることと、魅力が届く仕組みをつくることは別の仕事。あなたの事業には、まだ伝えきれていない価値がありませんか?
