商品ではなく「時間」を売るという考え方|ドリップコーヒーが売れた理由

マーケティングの話をするとき、つい「何を売るか」というところから考えてしまいます。新しい商品を作る。商品の特徴を増やす。価格を考える。広告を出す。どれも大切ですが、もう一つ考えておきたいことがあります。それは、「お客さんは、その商品そのものが欲しいのだろうか?」ということです。

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「コーヒーが欲しい」だけではない

たとえば、コーヒー。コーヒー豆や粉を買う人がいる一方で、コンビニやカフェでコーヒーを買う人もいます。さらに、自宅で手軽に飲めるドリップバッグのような商品もあります。同じ「コーヒー」でも、選ばれる理由はまったく違います。

コーヒーを飲む理由を少し考えてみます。眠気を覚ましたい人。仕事の合間に一息つきたい人。朝の習慣として飲む人。誰かと話す時間に飲む人。少し気分を切り替えたい人。つまり、商品としては「コーヒー」でも、その人が買っているものは必ずしもコーヒーだけではありません。休憩する時間。気持ちを切り替える時間。自分のための小さな時間。そういうものも一緒に買っていると考えることができます。

商品ではなく「使う場面」を見る

小さな事業でも、この考え方はかなり使えます。たとえば、焼き菓子を販売しているとします。「北海道産の小麦を使っています」「バターにこだわっています」「一つひとつ手作りしています」。これらは商品の説明です。でも、お客さんが本当に知りたいのは、それだけでしょうか。

「仕事が終わったあとに食べたい」「家族と一緒に食べたい」「ちょっとした手土産にしたい」「自分へのごほうびにしたい」という、使う場面があるかもしれません。そう考えると、商品の伝え方も変わります。「こだわりの焼き菓子です」ではなく、「仕事が終わった夜に、ちょっとだけ自分を甘やかす時間に。」という伝え方もできるのです。

マーケティングは「商品の説明」だけではない

マーケティングを難しく考える必要はありません。まずは、「この商品は、誰の、どんな時間に使われるんだろう?」と考えてみる。これだけでも、見えるものが変わります。商品の特徴を増やす前に、商品が使われる場面を考える。広告文を考える前に、お客さんがその商品を手に取る理由を考える。Webサイトを作る前に、その商品を買ったあとにどんな時間を過ごしてほしいのかを考える。こうすると、情報発信が「商品の説明」から「選ぶ理由の説明」に変わっていきます。

小さな事業ほど、この考え方が使える

大企業のように大量の商品を作れなくても、問題ありません。むしろ小さな事業の場合、商品数を増やすよりも、「この商品は、こんな人の、こんな場面に合います」という意味をはっきりさせたほうが伝わりやすいことがあります。これはパン屋さんでも、ハンドメイドでも、飲食店でも、サービス業でも同じです。

「何を売っているか」だけではなく、「なぜ、それを選ぶのか」「どんな場面で役に立つのか」「買ったあと、どんな時間が生まれるのか」まで考えてみる。商品そのものだけを見ない。商品が使われる場面を見る。お客さんが買っている「時間」や「体験」を考える。特徴の説明だけではなく、選ぶ理由を伝える。「何を売るか」を考える前に、「それを買った人は、何をしたいんだろう?」と考えてみると、マーケティングの見え方が少し変わります。

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