「ファンを増やしたい」。SNSやマーケティングの話ではよく出てくる言葉です。でも、そもそも「ファン」とは何なのでしょうか。何回も買ってくれる人、SNSをフォローしてくれる人、紹介してくれる人。どれも一部は当てはまりますが、購入回数だけで考えないほうがいいと思っています。
「買う」と「好き」は違う
必要だから買う、便利だから使う、近いから行く、安いから選ぶ。こうした理由でもお客さんにはなります。それとは別に、「なんとなく、この店が好き」「この人の活動が好き」という状態があります。そこには共感、親しみ、安心感、世界観、思い出といった、機能だけでは説明できないものがあります。
同じような商品が二つあって、価格も品質も大きく変わらないのに、片方を選び続ける人がいます。「この人から買いたい」「この店を応援したい」「このブランドの考え方が好き」という理由があるからです。ファンになると、商品だけでなく、その周りにある意味も選んでいます。
小さな事業では「人」が見えやすい
大きな企業では、誰が運営しているのか見えにくいことがあります。一方、小さな店や個人事業では「この人がやっている」ことが伝わりやすい。これが強みになることがあります。ただし「顔を出せばファンが増える」という単純な話ではありません。人柄は、文章の書き方、接客、商品の選び方、店の雰囲気、仕事への姿勢、SNSでの発信など、さまざまな場所から伝わります。
「世界観」も特別なものではありません。何を大切にしているのか、どんなものを選ぶのか、どんな言葉を使うのか、お客さんにどう接するのか。それらが繰り返されることで「この店って、こういう感じだよね」という印象ができます。それが一つのブランドになります。
ファンは購入頻度だけでは測れない
ファンがいても、広告や検索で見つけてもらう仕組み、商品やサービスの説明が不要になるわけではありません。ただ、ファンがいると、事業の周りに「意味を共有してくれる人」が増えていきます。これは広告とは違う価値です。
また、小さな事業のファンは静かなこともあります。毎回買うわけではないけれどSNSを見ている。新商品が出ると気になる。誰かに聞かれたら教える。何年かぶりに店を訪れる。購入頻度だけで測ると、こうした関係が見えなくなります。
まとめ
少し矛盾するようですが、「ファンを作ろう」としすぎないことも大切です。「ファンになってください」と言われてなるものではありません。自分が大切にしているものを商品やサービスや発信を通して伝えていく。その先に「なんか好きだな」という気持ちが生まれ、ファンにつながります。大企業の商品は機能や価格で比較されがちですが、小さな事業には「物語」や「人」が見える余地があります。その余地を丁寧に伝えることが、小さな事業のブランドづくりなのかもしれません。
