同じ商品でも、ある人には「欲しい」と思われ、別の人には「別にいらない」と思われることがあります。同じサービスを見て「これは安い」と思う人もいれば「ちょっと高いな」と思う人もいます。ここで考えたいのが「商品価値」です。
商品と価値は、別のもの
商品価値とは、「お客さんが、その商品やサービスに対して感じる意味やメリット」のことです。大切なのは、事業者が何を提供したかだけではなく、お客さんが何を受け取ったと感じるかを見ることです。
たとえばパン屋さんのパン。商品はパンですが、お客さんが買っているのはパンだけとは限りません。朝食を簡単に済ませられる、家族が喜ぶ、焼きたてを食べる時間が楽しみになる、誰かへの手土産にできる。こうしたものも価値になります。同じ水でも、「水分補給のもの」「外出先ですぐ飲める便利なもの」「北海道旅行の思い出として持ち帰るもの」と、意味は人によって変わります。
性能が高ければ価値も高い、とも限りません。機能が10個あっても、実際に使うのは2つだけかもしれません。逆に機能は少なくても「これが欲しかった」と思えれば高い価値を感じます。価格も同じで、高いから価値が高い、安いから低いとは限りません。数百円の商品でも「毎日の小さなストレスが減る」なら大きな価値になります。問いは「その金額を払ってでも欲しいと思う理由があるか」です。
価値を考えるときの3つの視点
1つ目は機能的な価値。便利になる、早くなる、問題を解決できる、作業を減らせる。2つ目は感情的な価値。楽しい、安心する、嬉しい、落ち着く。3つ目は意味としての価値。自分らしい選択だと思える、大切な人への贈り物になる、応援したい活動につながる。
伝えるときは、特徴で終わらせないことが大切です。「軽量です」という特徴から、「軽いから持ち運びやすい」「毎日使いやすい」、さらに「毎日持ち歩くものだから、重さを気にせず使いたい人に向いている」へ。特徴→便利になること→お客さんにとっての意味、という順番で考えると言葉にしやすくなります。
価値は一つではなく、「伝わっていない」こともある
一つの商品に価値は一つとは限りません。北海道のお土産なら、「おいしい」に加えて、北海道らしい、家族へのお土産にできる、職場で配りやすい、旅行の思い出になる、話のきっかけになる、といった複数の価値があります。そして同じ商品でも、プレゼント用と自分用では感じ方が違います。「誰にとっての価値か」まで考えることが大切です。
小さな事業でとくに重要なのは、商品に価値がないのではなく「価値があるのに伝わっていない」場合があることです。何が良いのか分からない、誰向けか分からない、使う場面が想像できない、価格の理由が分からない。そんなときは商品の改善だけでなく、伝え方の見直しが必要です。お客さんから「もう少し安ければ」と言われたときも、価格そのものではなく、失敗したくない、自分に合うか分からない、という不安が隠れていることがあります。
「なぜこの商品を選んだんですか?」「使ってみて、どこが良かったですか?」と聞いてみると、自分では当たり前だと思っていた部分が大きな魅力だった、ということがあります。商品価値を考える5つの問い。この商品は具体的に何ができるか。それによってお客さんの何が楽になるか。どんな気持ちになれるか。どんな人にとって特に意味があるか。「これを選ぶ理由」を一言で言うと何か。「何を売っているか」だけでなく「お客さんは何を得るためにそれを選ぶのか」を見ることが、商品価値を考える大事なポイントです。
