「顧客満足度を上げましょう」。でも、顧客満足とは具体的には何なのでしょうか。商品がおいしかったら満足?接客が良かったら満足?価格が安かったら満足?もちろん、それらも関係します。ただ、顧客満足は商品そのものだけで決まるものではありません。
満足は「期待」と「体験」の差で生まれる
顧客満足とは、「商品やサービスを利用した人が、その体験にどのくらい満足したか」という考え方です(英語ではCustomer Satisfaction、略してCS)。ここで関係してくるのが「期待」です。「普通の商品だと思って買ったら、すごくよかった」となれば満足しやすく、「ものすごく期待して買ったのに、普通だった」となれば、同じ商品でも印象が変わります。
たとえば「10分で食べられる店」だと思って入って30分待てば、「思っていたのと違う」と感じるかもしれません。でも「注文を受けてから丁寧に作るので時間がかかります」と最初から説明されていれば、同じ30分でも受け止め方が変わります。だから、できることを正しく伝える、できないことも必要なら伝える、そのうえで実際の体験が少し上回る、という考え方ができます。SNSや広告で「最高です!」「人生が変わります!」と期待を上げすぎると、ギャップが大きくなることがあります。
また、毎回「期待を超えるサプライズ」をする必要はありません。求めていることがきちんと満たされる、説明と実際の内容に大きな違いがない、安心して利用できる。約束したことをきちんと届けることが基本です。価格についても、「安ければ満足」とは限りません。支払った金額に対してどんな価値を感じたか、が大切です。
満足は、買う前から始まっている
顧客満足は商品という一点だけではなく、その周りの体験全体から生まれます。パン屋さんなら、入りやすかった、商品が選びやすかった、会計がスムーズだった、家で食べたらおいしかった、家族も喜んでくれた。
これはWebサイトやSNSでも同じです。行ってみたいと思ったお店のホームページで、営業時間も場所も料金も予約方法も分からなければ、行く前から少し疲れてしまいます。逆に必要な情報がすぐ見つかれば「ここなら安心して行けそう」と思えるかもしれません。SNSで投稿を見てから、プロフィール、商品ページ、購入方法、問い合わせと進む流れのどこかで「分かりにくい」となれば、そこで離れてしまうこともあります。
不満と「分からない」を減らすことから
お客さんにとって「分からない」という状態は、意外と大きな負担です。営業時間が分からない、料金が分からない、予約が必要か分からない、商品が自分に合うか分からない。派手ではありませんが、「満足をつくる前に、まず不満を減らす」という考え方です。
不満やクレームは、「どこで期待と現実がズレたのか」を教えてくれる材料でもあります。「届くのが遅かった」は発送時期の表示の問題かもしれませんし、「料金が分かりにくかった」は料金表の見せ方の問題かもしれません。なぜそう感じたのかを見ると、改善の場所が見えてきます。一方で、アンケートの数字だけでは「なぜ満足したのか」までは分かりません。なお、満足したから必ずリピートするとも限らず、「リピートしない=満足していない」とも限りません。
考えるための問いは5つ。お客さんは何を期待しているか。その期待に応えられているか。分かりにくい場所はないか。お客さんはどこで「よかった」と感じているか。「もう少しこうだったら」という声はないか。「もっと喜ばせよう」と考える前に、「期待と実際の体験に、どんなズレがあるのか」を見る。
