商売をしていると「顧客」という言葉をよく使います。でも、あらためて考えてみると「顧客って、誰のことなんだろう?」と思うことはないでしょうか。商品を買った人?お店に来た人?SNSをフォローしてくれた人?これから買ってくれるかもしれない人?「顧客」という言葉を整理しておくことは、意外と大切です。
顧客の範囲をどう見るか
一般的に顧客とは、商品やサービスを購入したり、利用したりする人や組織のことです。美容室を利用する人、飲食店で食事をする人、ECサイトで商品を購入する人、コンサルティングを依頼する会社などが顧客になります。
マーケティングでは、顧客と見込み客を分けて考えます。興味を持って「ちょっと気になる」と思っているけれど、まだ購入していなければ見込み客。見込み客→購入→顧客→継続利用→リピーター、という流れです。
もう一つ、「購入者」と「利用者」が違うこともあります。子どものために親が購入するケースでは、買ったのは親で使うのは子どもです。企業向けなら、決める人、支払う会社、実際に使う担当者と、複数の人が関係します。「誰がお金を払うのか」だけでなく「誰が使うのか」「誰が選ぶのか」「誰が決定するのか」まで考えると、商売の見え方が変わってきます。また、顧客は「30代女性」「経営者」のような属性だけでは考えられません。同じ40代女性でも、困っていること、求めていること、情報を得る場所、選ぶ基準は人によって違います。
購入はゴールではなく、関係の始まり
顧客を「買ってくれる瞬間」だけで見るのではなく、その前後の関係で見ることも大切です。知る→興味を持つ→調べる→比較する→購入する→使う→満足する→また利用する→人に紹介する。
たとえば旭川のお店で初めて買ってくれた人が「買ってよかった」と思えば、また来てくれたり、友人に紹介してくれたり、SNSで投稿してくれたりするかもしれません。逆に「思っていたものと違った」と感じれば、一度で終わってしまう可能性もあります。購入はゴールではなく、顧客との関係が始まるタイミングでもあるのです。満足は商品そのものだけで決まらず、問い合わせへの対応、購入までの分かりやすさ、受け取り方、使い方の説明、購入後のフォローといった体験全体が関係します。
顧客の声は、マーケティングの材料にもなります。「こういう商品が欲しかった」「この使い方が分からなかった」「ここが便利だった」「この商品と迷った」。なお、「自分が売りたい人」と「実際の顧客」は違うこともあります。若い人向けだと思っていた商品が実際には50代のお客さんに人気だった、ということは珍しくありません。
数だけではなく、関係を見る
考えるための問いは5つ。今、実際に買ってくれているのは誰か。その人はなぜ買ってくれたのか。購入する前にどんなことを気にしていたのか。購入した後どんな感想を持っているのか。もう一度利用するとしたら何が理由になるのか。
「顧客を増やしたい」という目標も、「100人に一度買ってもらう」のか「20人に何度も利用してもらう」のかで、商売のつくり方が変わります。小さな事業では、店頭での会話、SNSのコメント、問い合わせ、購入後の感想、イベントでの何気ない一言が、そのまま材料になります。顧客とは「買ってくれる人」からもう一歩広く、「自分の商品やサービスと実際に関わっている人」として考える。なぜ選んだのか、何を期待していたのか、どう感じたのかまで見ると、マーケティングは数字だけではなく「人を見ること」から始まると分かります。
