Marshallは、音が大きいから好きなのではない。
Marshallというアンプを見ると、
「でかい」
という印象があります。
黒いキャビネット。
白いロゴ。
金色のパネル。
大きなスピーカー。
そして、ロックのステージに積み上げられた巨大なアンプ。
実際、Marshallは1960年代にロンドンで始まり、観客の大きな会場でギターの音を届ける必要性とも深く関わりながら、4×12キャビネットやマーシャルスタックを発展させていきました。
だから、
「Marshall=大音量」
というイメージは、間違っていません。
でも、僕がMarshallを好きなのは、
単純に音が大きいからではありません。
「存在感」がある
Marshallには、
音だけでは説明できないものがあります。
ステージに置いてあるだけで、
「あ、Marshallだ」
とわかる。
これは、かなりすごいことです。
アンプなのに、
ブランドとして認識されている。
音を出す前から、
すでに意味を持っている。
僕は、そこにものすごく興味があります。
道具が「記号」になるまで
普通、アンプは音を増幅するための機械です。
ギターから入ってきた信号を増幅して、
スピーカーから音を出す。
それが役割です。
でもMarshallは、
それだけではなくなった。
ロックの歴史と一緒に使われ、
ステージに置かれ、
写真に写り、
映像に登場し、
アーティストとともに記憶される。
やがて、
「Marshallを見る」
ことと、
「ロックを感じる」
ことがつながっていった。
これは単なる製品性能とは別の価値です。
Marshall自身も、アンプを単なる機材ではなく、音楽文化を象徴する存在として説明しています。 citeturn0search5
ブランドは「ロゴを付ければ」できるものではない
ここはWebの仕事にもつながります。
ブランドを作ろうとすると、
ロゴを作る。
色を決める。
フォントを決める。
キャッチコピーを作る。
もちろん、それも必要です。
でも、
それだけではブランドにはならない。
ロゴが有名だからブランドになるのではなく、
そのロゴを見たときに、
「何を思い出すか」
が積み重なってブランドになっていく。
Marshallのロゴを見て、
ロック。
ライブ。
ギター。
大音量。
ステージ。
歴史。
そういうものが連想される。
そこまで積み上がっているから、
ロゴそのものにも意味がある。
ブランドは、説明の省略でもある
これは、Webを考えるときにも面白いところです。
知らない会社のロゴを見ても、
何もわからない。
でも、知っているブランドなら、
ロゴだけでかなりの情報が伝わります。
つまりブランドは、
「説明しなくても伝わる情報」
を少しずつ増やしていく仕組みでもあります。
これは、かなり重要です。
だから「何者なのか」が大切
Webサイトを作るとき、
「何を載せますか?」
と聞く前に、
「この事業は、何者なんだろう?」
と考えたほうがいい場合があります。
商品を売っている会社なのか。
人を助けるサービスなのか。
地域に根付いた店なのか。
技術を提供する会社なのか。
新しいものを作る会社なのか。
誰かの活動を支える会社なのか。
ここが曖昧なまま、
「会社概要」
「サービス」
「お知らせ」
「お問い合わせ」
とページを作っても、
情報は並ぶけれど、
意味がつながらない。
Marshallは「アンプです」だけでは終わらない
もしMarshallの説明が、
「ギターアンプを製造しています」
だけだったら、
たぶん今のMarshallとは違う存在になっていたと思います。
もちろん、それは事業として正しい。
でも、
それだけでは歴史や文化まで伝わりません。
どこから始まったのか。
誰のために作られたのか。
どう使われてきたのか。
どんな音楽と一緒に歩んできたのか。
何を大切にしているのか。
そういう情報が積み重なって、
「Marshallらしさ」
になっている。
「らしさ」は、後から説明できる
面白いのは、
ブランドの「らしさ」は、
最初から全部文章で決められるものではないことです。
使われる。
選ばれる。
作る。
失敗する。
改善する。
また使われる。
それが何年も続いて、
「ああ、これが自分たちらしいんだ」
と後から見えてくる。
だから僕は、
ブランド設計で最初から完璧な言葉を作ろうとしすぎるのも、
少し違うと思っています。
「らしさ」を作るより、「らしい行動」を積み重ねる
たとえば、
「親切な会社です」
とホームページに書く。
それだけでは、
親切な会社には見えません。
問い合わせへの返信が早い。
説明がわかりやすい。
価格が明確。
できないことも正直に伝える。
購入後も対応する。
困っている人を放置しない。
そういう行動が積み重なって、
「あの会社は親切だ」
になる。
ブランドは、
言葉より先に行動で作られる。
僕はそう思っています。
音も、ブランドも「一貫性」が強い
Marshallには、
音だけではなく、
見た目にも一貫した印象があります。
黒。
金。
白いロゴ。
キャビネット。
ノブ。
ステージ上での存在感。
もちろん製品によって違いはありますが、
「Marshallらしい」
という共通した印象がある。
これはWebでも同じです。
色だけ統一すればいいわけではない。
文章のトーン。
写真。
見出し。
ロゴ。
ページ構成。
SNS。
商品。
問い合わせへの対応。
全部が少しずつ同じ方向を向いている。
その積み重ねが、
「らしさ」になります。
Webサイトだけ頑張っても、ブランドにはならない
ここはかなり大事です。
ものすごくきれいなWebサイトを作る。
写真もきれい。
文章も上手。
ロゴもかっこいい。
でも、
実際の店に行ったら、
説明がわかりにくい。
問い合わせても返事がない。
商品ページと実物の印象が違う。
SNSでは別のことを言っている。
これでは、
Webサイトだけが頑張っている状態です。
ブランドとしては弱い。
Webは「ブランドの入口」
僕はWebサイトを、
「会社のパンフレットをネットに置くもの」
だけとは考えていません。
その会社を初めて知る人が、
最初に触れる場所の一つです。
だから、
「ここは何をしているのか」
「誰のためにあるのか」
「何を大切にしているのか」
「本当に活動しているのか」
「安心して相談できるのか」
そういうことが伝わる必要がある。
入口で全部説明しなくていい
ここもMarshallから学べる気がします。
Marshallを知らない人に、
60年以上の歴史を全部説明しなくてもいい。
まず、
「これはMarshallだ」
と認識してもらう。
興味を持った人が、
歴史を見る。
製品を見る。
アーティストを見る。
音を聴く。
そこから深く知っていく。
Webも、
最初から全部説明しようとしないほうがいい場合があります。
まず、
「何者なのか」
をわかるようにする。
そして、
興味を持った人が、
必要な情報へ進める。
その順番を作る。
情報を増やすことと、伝わることは違う
ホームページを作るとき、
「情報が足りないから、もっと増やそう」
となりがちです。
でも、
情報が多いことと、
伝わることは別です。
必要なのは、
情報を増やすことではなく、
情報同士の関係を整理すること。
会社概要からサービスにつながる。
サービスから事例につながる。
事例から問い合わせにつながる。
活動からブランドの考え方につながる。
そうやって、
一つひとつの情報が役割を持つ。
Marshallの巨大な壁にも役割がある
ステージに積まれたMarshallのアンプは、
ものすごく目立ちます。
でも、
ただ目立つために積まれているわけではない。
音を届ける。
演奏を支える。
ステージの存在感を作る。
そして、
その姿そのものがロックの記憶になっていった。
つまり、
機能と見た目が分離していない。
ここが面白い。
「見た目」と「中身」を分けすぎない
Webでも、
デザインと情報設計を別々に考えすぎると、
ちょっとおかしくなることがあります。
「中身は後で考えるから、とりあえずデザイン」
ではなく、
何を伝えるのか。
どういう順番で伝えるのか。
誰に伝えるのか。
そこを考えたうえで、
どう見せるかを決める。
デザインは、
情報を飾るためだけのものではなく、
情報を伝えるための仕組みでもある。
音が出なければアンプではない
どれだけ格好いいMarshallでも、
音が出なければアンプとしては困ります。
同じように、
どれだけ格好いいWebサイトでも、
必要な情報が見つからなければ、
Webサイトとして困ります。
どれだけブランドコンセプトが美しくても、
実際のサービスが伴わなければ、
信用にはつながらない。
見た目は大切。
でも、
見た目だけでは続かない。
「らしい」は、機能の上に乗っている
僕は、
ブランドらしさは、
ちゃんと機能しているものの上に乗るべきだと思っています。
使いやすい。
わかりやすい。
壊れにくい。
必要な情報がある。
問い合わせできる。
買える。
予約できる。
更新できる。
その土台があって、
そこにデザインや世界観が乗る。
だから、
「ブランドか機能か」
ではない。
両方必要です。
大きな音には、大きな理由があった
Marshallの歴史を調べると、
「大きな音を出したかったから大きくなった」
という単純な話ではありません。
観客が増え、
従来の音量ではギターが埋もれる。
もっと音を届ける必要がある。
そこでアンプやキャビネットが進化する。
その結果として、
あの巨大なMarshallスタックが生まれていった。
つまり、
「大きいこと」
そのものが目的だったわけではない。
「必要だったから、大きくなった」
ここが僕には面白い。
Webも、必要だから大きくする
Webサイトも同じです。
100ページあることが偉いわけではない。
1ページしかないからダメなわけでもない。
必要な情報が、
必要な人に、
必要な順番で届く。
それが大事です。
事業が大きくなれば、
必要なページも増える。
商品が増えれば、
商品情報も増える。
スタッフが増えれば、
採用や組織の情報も必要になる。
海外展開するなら、
別の情報が必要になる。
つまり、
「大きくする理由」
がある。
目的のない大きさは、ただの負担になる
逆に、
「競合が100ページあるからうちも100ページ」
というのは、
あまり意味がありません。
SNSも同じ。
「みんな3アカウント持っているから、うちも3つ」
ではなく、
必要だから使う。
必要なければ使わない。
Webサイトも、
必要な分だけ作る。
そのほうが、
運用しやすい。
道具は、目的から逆算する
これは、
僕が「おまつの道具箱」でずっと考えていることでもあります。
ギターなら、
どんな音楽をしたいのか。
アンプなら、
どんな場所で、どんな音を出したいのか。
時計なら、
何を大切にして使うのか。
ペンなら、
何を書くのか。
パソコンなら、
何を仕事にするのか。
Webなら、
何を伝えて、
誰とつながって、
何を動かしたいのか。
先に目的がある。
そのあとに道具がある。
Marshallを見ていると、ブランドの本質を考える
Marshallは、
「ギターアンプの会社」
というところから始まり、
音楽文化の中で長い時間を過ごして、
今ではその名前自体が、
一つの世界観を持つようになっています。
それは、
一晩で作ったものではない。
一つのロゴだけで作ったものでもない。
製品。
音。
デザイン。
人。
場所。
歴史。
使われ方。
その全部が積み重なった結果です。 citeturn0search0turn0search5
だから、ブランドを急がない
僕は、
「ブランドを作らなきゃ」
と焦る必要はないと思っています。
まず、
ちゃんと仕事をする。
ちゃんと商品を作る。
ちゃんとお客さんに向き合う。
ちゃんと情報を出す。
ちゃんと改善する。
それを続ける。
その中から、
「うちらしいもの」
が見えてくる。
それを言葉にする。
デザインにする。
Webにする。
その順番でもいい。
音を出して初めて、アンプになる
Marshallのアンプは、
ステージに置いてあるだけでも格好いい。
でも、
本当の仕事は、
音を出すことです。
それと同じで、
Webサイトも、
公開しただけでは終わらない。
誰かが見る。
読む。
理解する。
興味を持つ。
問い合わせる。
買う。
参加する。
また戻ってくる。
そこで初めて、
Webが仕事をする。
僕がWebを作るときに考えたいこと
だから、
「かっこいいサイトを作りましょう」
だけでは終わらせたくない。
何を伝えるのか。
誰に伝えるのか。
何のためにあるのか。
どこへつなげるのか。
誰が更新するのか。
どう使い続けるのか。
そこまで考えて、
初めて「作る」に進みたい。
Marshallが好きなのは、
単に音が大きいからではありません。
「必要だったもの」が、
長い時間をかけて、
そのブランドらしい形になっていったところが好きなんだと思います。
道具は、
目的のために生まれる。
使われる。
改良される。
記憶される。
そしていつか、
その道具そのものが、
文化になる。
Webも、
本当はそういうものなのかもしれません。
最初から「ブランド」を作ろうとするのではなく、
誰かの役に立つものを作る。
ちゃんと使われるものを作る。
長く続くものを作る。
その積み重ねの先に、
「ああ、これが自分たちらしいんだな」
というものが残る。
僕は、
そういう仕事のほうが好きです。
大きな音を出すことより、
必要な音を、
必要な場所に、
ちゃんと届けること。
そのための道具を、
ちゃんと選ぶこと。
それが、
僕にとっての「道具を使う」ということなのだと思います。