2026年版|「花は観手に咲く」をWebで考える。伝える側だけでは、伝わらない

目次

「ちゃんと説明しているのに、伝わらない。」

仕事をしていると、そんな場面があります。

ホームページには詳しく書いている。
SNSでも何度も発信している。
商品の特徴も、こだわりも、想いも伝えている。

それなのに、

「何をしているのかわからない」
「自分には関係なさそう」
「結局、何をすればいいの?」

と言われてしまう。

こういうとき、つい「もっと伝えなければ」と考えます。

文章を増やす。
写真を増やす。
投稿を増やす。
説明を詳しくする。

でも、本当に必要なのは「増やすこと」なのでしょうか。

僕は、Webや情報発信を考えるとき、

「花は観手に咲く」

という言葉を思い出します。

花そのものが変わるのではなく、見る人によって、その花の見え方や感じ方が変わる。

これをWebや情報発信に置き換えてみると、かなり大事なことが見えてきます。

「伝えた」は、ゴールではない

情報を発信する側は、

「これだけ書いたんだから、伝わっているはず」

と思いやすい。

でも、受け取る側には、その人の経験や知識、状況があります。

同じ文章を読んでも、

「なるほど」
と思う人もいれば、

「難しいな」
と思う人もいる。

「自分に必要だ」
と思う人もいれば、

「自分には関係ない」
と思う人もいる。

つまり、

「何を伝えたか」

と

「どう受け取られたか」

は、同じではありません。

ここを分けて考えるだけでも、情報発信はかなり変わります。

商品の説明だけでは、商品の価値は伝わらない

例えば、ある商品について、

「北海道産の○○を使用しています」
「○○という製法でつくっています」
「○○にこだわっています」

と説明したとします。

もちろん、必要な情報です。

でも、お客様が知りたいのは、それだけでしょうか。

「それって、自分にとって何がいいんだろう?」

という疑問があります。

だから、

商品の特徴
↓
その特徴によって何が変わるのか
↓
自分にとってどんな意味があるのか

までつながって、初めて「自分ごと」になる。

情報を増やすより、

「この情報を見た人は、どう受け取るだろう?」

と考える。

この視点が大切です。

「誰に伝えるか」で、同じ情報の見え方が変わる

以前の記事で「誰に伝えるか」について書きました。

今回も、ここにつながります。

例えば、同じホームページでも、

初めて知った人
↓
興味を持った人
↓
比較している人
↓
問い合わせようとしている人

では、必要な情報が違います。

初めて知った人には、

「そもそも何をしているのか」

が必要かもしれない。

比較している人には、

「なぜここを選ぶのか」

が必要かもしれない。

問い合わせる直前の人には、

「料金」
「場所」
「営業時間」
「申し込み方法」

が必要かもしれない。

だから、良い情報発信は、

「全部を詳しく説明する」

ことではなく、

「その人が、その時点で必要としている情報を置く」

ことでもあります。

Webサイトは「自分の説明書」ではない

これは、Webサイトを作るときに特に意識したいところです。

事業者側からすると、

「自分たちのことをちゃんと説明したい」

と思います。

会社の歴史。
代表者の想い。
商品の特徴。
サービス内容。
こだわり。

どれも大切です。

でも、Webサイトを訪れる人が知りたい順番と、事業者が伝えたい順番は、同じとは限りません。

だから、

「自分が何を言いたいか」

だけではなく、

「相手は何を知りたくて、このページを見ているのか」

を考える。

これはデザインというより、情報設計の問題でもあります。

「伝える」と「選んでもらう」の間にあるもの

情報発信の目的を、

「知ってもらうこと」

だけにすると、そこで終わってしまいます。

でも、本当に必要なのは、

知る
↓
理解する
↓
自分に関係があると感じる
↓
比較する
↓
納得する
↓
行動する

という流れかもしれません。

もちろん、すべての人が購入や問い合わせをする必要はありません。

「今回は見送る」

という判断も、立派な行動です。

大切なのは、相手が判断できるだけの情報があること。

そのためにWebやSNSを設計する。

僕は、ここに「伝える」の本当の役割があると思っています。

SNSでは、もっと「受け手」を意識する

SNSになると、さらに難しくなります。

発信する側は、

「今日はこの商品を紹介しよう」
「今日はこのイベントを告知しよう」

と考えます。

でも、見る側は、その投稿だけを目的にSNSを開いているわけではありません。

他の人の投稿を見ている途中かもしれない。
休憩中かもしれない。
移動中かもしれない。
なんとなく眺めているだけかもしれない。

そんな中で、

「自分に関係がある」

と思ってもらえるか。

ここが重要になります。

だからSNSでは、

「何を投稿するか」

だけではなく、

「この投稿を見た人に、どんな気持ちや理解が残るか」

まで考えてみる。

これは、単なる投稿テクニックではありません。

2026年は「受け手」を考えることが、さらに重要になる

AI検索や検索結果の要約など、情報を探す方法も変わってきました。

以前は、

「検索で見つけてもらう」

ことだけを考えていればよかった場面でも、

「その情報が、どんな文脈で理解されるのか」

まで考える必要が出てきています。

誰が、
何を知りたくて、
どんな状況で、
どんな言葉で検索して、
その情報を見たあとに何を判断するのか。

これはSEOだけの話ではありません。

情報そのものを設計する話です。

だから僕は、

「検索される文章」

だけではなく、

「読んだ人が意味を理解できる文章」

をつくりたい。

デザインも「見る人」がいて初めて完成する

旭川は2019年にユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に加盟しました。

「デザイン」というと、きれいなロゴやポスター、製品などを想像する人もいるかもしれません。

でも、デザインをもっと広く、

「誰かにとって、より良い状態を考えること」

と捉えるなら、

Webサイトも、
案内表示も、
商品パッケージも、
行政の情報も、
店舗の導線も、

すべて「受け手」との関係を考える仕事になります。

つくる側だけを見ていては、デザインは完結しない。

使う人、見る人、選ぶ人がいて、初めて意味が生まれる。

僕は、旭川で仕事をするうえでも、この視点を大切にしたいと思っています。

「伝わらない」とき、相手を責めない

「ちゃんと書いたのに読んでくれない」

「説明したのに理解してもらえない」

そんなふうに思ってしまうことがあります。

でも、そこで、

「相手がちゃんと読んでいない」

と決めてしまう前に、

「こちらの伝え方は、相手にとって理解しやすいものだっただろうか?」

と一度考えてみる。

もちろん、すべてを相手に合わせる必要はありません。

自分たちが大切にしていることを曲げる必要もない。

ただ、

「自分が伝えたいこと」

と

「相手が受け取りやすい形」

の間に、橋をかけることはできます。

その橋をどうつくるか。

そこに編集や情報設計の仕事があります。

花を咲かせるのは、伝える側だけではない

「花は観手に咲く」。

この言葉をWebに置き換えるなら、

「情報の価値は、受け手との関係の中で生まれる」

ということなのかもしれません。

どれだけ良いものをつくっても、
どれだけ強い想いがあっても、
どれだけ詳しく説明しても、

受け取る人との接点がなければ、その価値は届きません。

だから、

もっと発信しよう。

もっと説明しよう。

もっと広告を出そう。

と考える前に、

「今の情報は、見る人からどう見えているだろう?」

と立ち止まってみる。

そこから、整理できることがあります。

WebサイトもSNSも、情報を置く場所ではなく、

人と活動が出会う場所。

その先で、

「なるほど」
「自分に関係がある」
「ちょっと見てみよう」
「相談してみよう」

と思ってもらえる。

そんな状態をつくること。

それが、僕が考える「伝える」の仕事です。

そして松井構造室では、

Webをつくることそのものより、

「誰に、何が、どう伝わり、その先でどう動けるのか」

を整理するところから考えていきたいと思っています。

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